SPEC NURSE 続き2

麻衣は軽症患者病棟の廊下を大量の点滴薬が入ったダンボール箱をかかえながら
かよわき乙女に「米原さんがはこんだ方が点滴薬達が喜ぶから!」などという理不尽な理由を無理矢理おしつけて重い荷物を運ばせておきながら、
自分は無駄に等しいくらい念入りに化粧直しをしに患者用のトイレに入り浸っているなんて。
許せない!とボヤいていた。
「はっもうなにしても変わらないのに、永遠の乙女なんて通用するかボケ。
ていうか綺麗だからって勝手に患者用のトイレ使うなっつーの。」そういう問題でもない。
関東総合病院かぁ…どんな人が来るのかな?
やはりあの関東総合病院ともなると凄い人何だろう。
関東総合病院は、これまで日本の技術では困難だとされてきた心臓付近の血管をつなぐ手術を日本で初めて成功させた
神田匡伸医師、つまり麻衣の親友 神田侑子の叔父にあたるひとが勤務している病院だ。
そしてこの病院は優秀な人材がそろっていることでも有名で、このナース達がキャンプ場や海水浴場などで
人命救助をした、といったニュースを度々目にする。
しかし、看護師の移動なんて聞いたことがない。
よほど院長の気に障る事でもしたんだろうか?
まぁ、いっか。

そのころ、1階エントランスではちょっとしたざわめきが起こっていた。
「え…やだ、ちょっとなに、あれ。」
「ナース…のコスプレかな?」
周りの声など耳に入っていないかのように、女は
ずんずん大股で歩いて行く。
女は威嚇するようにガラガラと音をたてながら、小柄で華奢
な体型には似合わないような大きな黒いスーツケースを引いて、
病院名物の美人受付嬢に
「小児科・軽症患者病棟フロアってどこなん?」と、
可愛らしく(わざとらしく)首を傾げて見せた。
美人受付嬢は、120%スマイルで、はい、とうなずき
「そちらにありますエレベーターで2階に上がって頂きましたら、
そこが小児科・軽症患者病棟フロアでございます。」
そのとき美人受付嬢が心の中で『ンなもん病院案内板見れば秒殺だろゴラァ』
と呟いていたのを誰も知らない。
すると女は、一歩後ろにさがり、ビシッと姿勢を正すと、
大袈裟にブンっとふんぞり返って、
「あざぁす!」と言いながら敬礼をした。
そしてエレベーターにむかって歩き出した。

SPEC NURSE 続き2

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  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2012-03-23

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