いるかのほし 44 ウミガメは?!

ウミガメは??

 しばらく進んだボートが、また止まった時、ピコたちは息もしないで足音もたてないで、一瞬ではしごの前に移動していた。
 1番に、入りたい!!
 
 「これで、最後ですよ。さあ、ほら、イルカがあんな近くに泳いでいますよ・・・・・・。では、ゆっくりね、疲れてきてますから早めに上がってください。油断しないで、無理しないでくださいね・・・・・」
 感情の抑揚のない、変にこなれた話し方で、まったりと繰り返すスタッフの男を、オカキが「もう、いいですね。」と遮って、やっと海へ入る。全くどうなってるんだか・・・!!でも、これがラストチャンス!!!!

 ピコは、上がったり入ったりでなんだか消耗した身体をしゃんとさせて、ゆっくりと海の中をのぞいた。深いところにいるのは、わかったいた。そう、どのへんに泳いでいるかも・・・・。もう、探さなくても・・・・・。目線の先には、イルカの群れがいた・・・・・。

 すいいいぃぃぃぃ~~~~~~~~~ぅんんんんん・・・・・・・・・・・・。
      しゅいいいいいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
         すううううううぅうううぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ~~~~~~~~~~~~~んん・・・。

音のない海の中の世界・・・。白くゆらめく光のリボンが、消えてなくなり海にすいこまれていくかいかないかの、ひたすら青い海の中に、10頭くらいの群れと、少し白っぽい少し大きいイルカが見える・・・・・。「あれ?あの、イルカ、こっち見てるね?!」

 気のせいだか、1頭の白っぽい大きなイルカが、群れのイルカとは、少し違う動きをしているように見えるのだ・・・・・。
・・・・と、思ったら、そのイルカがこちらに向かって泳ごうと、尾びでぐ~~んと水を蹴った・・・・。

 「ドキドキ!!!ドキドキ!!!!!!……」・・・来る?・・・・・こっちへ・・・?

 確かに、目が合った!!と思った瞬間だった、腕をつかまれて、もう上がる合図!振り返ると、みんな上がってしまっていた。
 !!ああ!!また、また、、、、ねえ!!!

 こころの中で、思いっきり叫んで、ピコは船に戻った。

 「あの、白いイルカ・・・・・。こっち、見てたな・・・・・。」

 ぼんやりと、思い出していると、またボートは動き出す・・・・。

 「はい、この辺ですね。ウミガメの見えるポイントです。」
・・・と言うものの、ボートは速度をゆるめることなく走り続ける・・・・・。ハーバーを出発して、かれこれ3時間、もう、とりあえずは満足したのか、どの人も、ぼんやりと海を眺めて座っている・・・・・・・・・。

 「あれ?ウミガメのポイントでは、潜らないんやね・・・・・?」と、思った時には、すでにハーバーが見えてきていた・・・・。

いるかのほし 44 ウミガメは?!

いるかのほし 44 ウミガメは?!

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2015-06-22

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