金銀花
「何で貴方は私を助けてくれたの?」
「俺はお前の味方だ!何があってもお前といてやる!」
「梓....助けてよ...!」
「永遠が居なくなっても俺はこのまま___....」
「梓...皆...大好きだった!...ありがとう____..」
これは余命一年の少女と死にたくても死ねない少年のお話
「永遠が居ない世界なんて俺には...色の無い世界だから。」
「灰被りの街」
「お母さん....ねえ...お母さん⁉︎ しっかりしてよ!ねえ!」
お母さんが倒れている。
街の人が倒れてる。
「ううっ...お母さん..!!」
黒髪の少女の涙は母と思われる人の頬に落ちる
どうしてこうなってしまったんだろう。
何処で間違えたのだろう。
冷たくなる母の手を握り締め少女は母に言われた事をポツリポツリと思いだした。
♀♂
「ねーえ。お母さん?何でここの人は冒険とかしないの?」
幼い少女は母にそんな事を聞く
母「あら?またこの絵本持ってるの?本当に好きね。」
少女が持っていたのは「flower」と書かれた絵本
登場人物達が旅をして綺麗な花畑を見つけそこで暮らすと言うお話
「うん!私もお花畑行ってみたいなあ!」
母「....そうね。ここから出れる時が来たらね。」
サースリー王国の端の端、もう王国民とは扱われない私達
私達は悪い事をしていないのに。
私達がかかった感染病のせいで奴隷の様な扱いを受ける日々
向こうからこっちには入れるけどあっちにいけない
警備が厳重な上に行ったところで差別対象だからだった。
「いつかね!私はお花畑を見るんだ!見るまで死なないもんね!」
母「貴方なら見れるわ... 一緒にここから出ましょう?永遠__?」
♀♂
時は現在に戻り永遠は母の手を離し立ち上がる。
その時悲鳴が聞こえ永遠は痛む足を引きずりながらもその場所まで走る
「やめてっ...!!!お母さんを返してよ...!!!!」
首を掴まれた少女は必死に警備員に訴える
私はあの子が危ないと感じてどうにかしようと考えた
私に出来る精一杯の抵抗は...
ふと目に入った樽を見て私はある事を考えだした
「貴方は誰?」
「この樽で....」
私は樽を抱えた
思いのでふらついたがあの子のためだと言い聞かせた。
「あの!その子離して下さい‼︎」
思いっきり大声を上げる
首を掴まれた少女は顔を真っ青にしてる。
助けなきゃ
助けなきゃ
そう思うんだけど体が動か無い
「ああ?警備員にそんな口聞いていいのか!?」
そう言われてしまいぎゅっと拳を握り締める。
相手の手が伸びてくる。
少女は地面に放り投げられて苦しそうに息をしている。
-ああ、私ここで死んじゃうんだな-...
そう直感したその時。
「お前何してんの?」
茶髪の少年が警備員の手を掴む。
「お前、女の子に手を出そうとしてんの。いい年したおっさんの癖に馬鹿じゃないの?」
びっくりして樽を落としてしまう。
中のお酒が飛び散る
「ああ?お前はどっから湧いて来やがった。」
何を言ったのかわからなかった
男の子が警備員を殴ってくれた。
倒れる警備員
「あの...!ありがとうございます...!!!」
私はとっさにお礼を言った。
樽を落として酒が飛び散ったのを丸ごと被ってしまった男の子
「お礼はいいよ。」
「いえ!そんな訳には..!」
首を掴まれていた女の子に駆け寄る
もうその子は冷たかった
でも顔がふにゃっと笑ったままだった。
「なあ。お前さ、俺と一緒に旅しねーか?」
「....え...?」
金銀花