いるかのほし 42 ピコ、カルイを見る

かるいいるか

ピコ、カルイを見る

 まぶしい・・・・・!スピードが遅くなったな、と思ったら、ポンと身体が重くなったよ。トンネルの出口・・・・・。

 海があかるいね!!発光してるみたい。超特急海流トンネル。ありがとう!!ありがとう!!

 見上げると、少し上のほうにボートが浮かんでいるのが見えたんだ。きっと、あの中にピコはいるんだね。

 ボートの周りには、何艘かのレジャ-ボートが浮かんでいて、足に大きなひれを付けたにんげんたちが泳いでいる。ボードにまたがったり、浮かんだり潜ったり、なんだか忙しそうだったよ。

 少しの間、ぼくは、離れてじっとしていたよ・・・・・。あたまのぷるぷるアンテナを、ボートに向けて、「ピコ」とお腹の底で思う。
・・・・・・・・・。「あれ???ピコ、泳いでないね・・・・。」のどの受信変換機には、なんだかザワザワした、ピコのモヤモヤが伝わってきた。

 どうしたんだろ、ピコは泳いでいないみたいだよ。

 そうしているうちに、にんげんはみんなボートに戻って行ったよ。レジャーボートも、大きなボートに取り込まれた。

 そして、しばらく浮かんでたあと、ビューンンンと羽を回して、ギュンギュンいいながら動き出したんだ。

 ぼくは、離れながらついていった。

 そしたらね、ず~~とむこうのほうで、す~~~~~いいいぃぃぃ~~~~~んと、動く何かの群れが見えたの。

 「!!!!あのときの、イルカさんたち!!!!」

 会えた会えた・・・・!!!

 「こんにちは~~~~~キュウキュウ!!ウゥウウ、ウウゥウゥウゥウウウゥウウウウ!!」

 ぼくは、うれしくって、思いっきり話しかけたよ。すごいでしょ。うまいでしょ!!あおいほしのイルカの合図さ~~!!

 あおいほしのイルカさんたちは、ぼくに気が付いて、すぐに近づいてきてくれた。10頭くらいの群れ。「やあ!!」と、挨拶をするかしないかそのうちに、ピコのボートから、また足ひれをつけたにんげんたちが、ばしゃんばしゃんと、海の中に入ってきた。今度はレジャーボートは降ろさないらしい。

 「うわあ!!!ピコ、ピコだね。ほらほら、あそこ、あれ、あれ!!!!」
 オカキさんと、ココちゃん、クックちゃん!!ちゃんと、知ってるよ。家族っていうんでしょ。ピコのだんなさんと、子供だね。

 ぼくは、わあ~~~~いいって、近くに泳いで行こうとしたの、そしたらね、あれ??もう、行っちゃうの??みんな、すぐボートにもどっちゃった。

 そんなのを、あと2回くらい、繰り返したよ・・・・・・・。近づこうと思ったら、あっちが離れていく・・・・。

 ぼくの、イライラをわかったイルカさんが、笑ったんだ。

 「だめだよ・・・。あのボート、イルカのこと全然感じてないから。ぼくたちのことを、わかってないんだもの。はじめはね、1回、1回丁寧に、おきゃくさんを案内して、ちゃんと時間もとって、ぼくたちと、にんげんが通じ合えるように気持ちを使ってたんだよ。でも、なんだか、最近は、全然さ。ばしゃばしゃやってたと思ったら、ちらっとぼくらの上に浮かんでて、すぐに帰っていくよ。そんなんじゃあ、ぼくたちだって、近づけないよ。船のほうの、気持ちがどっかいっちゃってるんだ。」

 えええ~~~~~!!!そうか、ピコがズットツアーズの予約をしていたとき、せっかくピコが海のことを考えていても、ツアーズの雰囲気では、全然うまくマッチしてなかった・・・。このせいだったんだね。

 こんなに、近くにいるのに!!!

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  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2015-06-18

CC BY-NC-ND
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