机と花
木目調の机しかない、簡素というよりは冷め切った部屋で私は棒と立ちすくんでいた。
私はこの部屋で生活している。
布団を敷き、机に向かい、日々寝食を過ごしている者だ。
私は物を置くのがあまり好きではなく、自炊も服の種類もなかったので机以外の家具は一つも買わなかった。
服や布団等は全部押し入れに仕舞った。
仕舞うほど、物もなかったが。
兎に角、部屋にはこの背の低い書き物机以外に家具はない。
窓の近くに置いた机に、昼下がりの弱った陽が窓越しに落ち込む。
その陽の中に、ぼんやりと浮かぶ白。
寝かせておいた白い木春菊が私の顔を不思議そうに覗き込んでいる。
私はもうかれこれ小一時間ほど、この机の前に立ちすくんでいた。
嗚呼、どうしたものか。
今日の仕事帰り、下の階の娘にもらった白い木春菊を部屋に持ち帰った私は大変なことに気がついた。
辛うじて花瓶はあったが、花を飾るような場所がない。
飾れる場所と言ったらこの無骨な机のみ。
だがこのような可憐な花を飾るには些か似つかわしくない。
下手をして、花瓶を倒してしまったら事だ。
どうしたものか――迷い果てた挙句、机上で一等日当たりのいい端に花瓶を置いた。
一段落して、一息つき、今一度まっさらな木春菊を見つめる。
そうして、これを渡してきた娘の赤い顔を思い出して、また腕を組み思惟した。
嗚呼、どうしたものか――。
机と花
漢字多めの文体で書くのが苦手なので、練習ついでに短編を書きました。