♡コイゴコロ♡

知らぬ間コイゴコロ

年月が流れ、風が吹き、桜が舞い、青々と生い茂る葉も散り、もみじが落ちて、雪が降る。
雪がやむとまた桜が咲く。
人生は、そんな四季の様に、毎日同じようなことの繰り返し。
朝ごはんを食べ、仕事や学校へ行き、お昼ごはんを食べ、帰ってきて勉強や残業をし、夜ご飯を食べ、お風呂に入り、歯磨きをして、布団に入る。
朝起きたらまた朝ごはんを食べそれぞれ出かける。
そんな繰り返しの人生を楽しませるもの。それこそが、世に言う
『恋』なのである。

何もない日常が輝き、普通の何倍も楽しく思える。
それが『恋』。
でもそれは、誰にでも簡単に手に入るものではなくて。
苦労し、勇気をだして、やっと報われる努力の証。

そう。
この物語の主人公も、そんなごく平凡な日常を変えるために奮闘する。
その、奮闘の結果が、この物語の結末である–––––––。



??「えっ!?不合格!?千里が!?」
千里「そ。不合格。何回言わせんのよ香澄。」
香澄「いや…わたしどうしよう?うわぁ…次の面接先探さなきゃ。」
千里「まだ結果聞いてないでしょ。」
香澄「絶対無理だよー!千里で無理だったんだから。」

小さな丘の模型をいじりながら、故島香澄(ゆえじまかすみ)は言った。
香澄は…いつだってそう。
私、湖東千里(ことうちさと)は賢い、千里は完璧。
いつもそんなイメージを私に押し付け、私はそのイメージ通りに振る舞うしかない。
正直、もううんざりだった。
イメージ通り振る舞うことも、それに気づきもしない香澄も。
でも香澄は、私の唯一の親友で。
失うことが怖くて、私は自分から逃げてきた。

香澄「あ、そーいえば千里、洸くんとはどーなった?」
千里「んー?」
香澄「ほらー、喧嘩したんでしょ?」
千里「え?喧嘩?してないけど…?」
香澄「嘘だー!洸くん、『てめぇみてーな奴と関わる男は、俺しかいねぇんだからな!』とか言ってたじゃん。」
千里「あー、洸ね…あーいう性格だから。ドSなんだよ。だからよく勘違いされるけど、そういうことじゃないから。」
香澄「ふぅーん…まぁ、誤魔化すのは悪くないけどさ、無理はよくないよ?」
千里「だから誤魔化してないってば!」

また香澄は私の気持ちを押し付けてる。
統乃洸(とうのこう)……私の幼なじみで、ドSな奴。
根は優しいんだけど、言い方がキツイからよく勘違いされる。
香澄…私たちが付き合ってるって思ってるらしいけどそういう関係じゃない。
確かに私は洸が好き。でもそれは幼なじみとして好きなだけ。
別に恋愛感情とかそういうのは全くない…。

洸「おいお前ら。んなとこで群がって何やってんだよ?」
千里「あ、洸!!」
香澄「噂をすれば、ね。」
洸「ちっ、何が噂だよ。人の噂勝手にしやがって。…あ、そういえばよ、千里」
千里「ん?なに?」
洸「桐ヶ崎が呼んでたぜ。」
千里「え、桐ヶ崎くんが?」
洸「おう。」
千里「わかった。行ってみる。」

私はその場を後にした。
洸と香澄をふたりきりにするのは少し気が引けたが、この際それはもう仕方ないことだった。

千里「桐ヶ崎くん!呼んだ?」
優斗「あ、あぁ…」

洸の親友、桐ヶ崎優斗(きりがさきゆうと)くん。
彼は何度か私とも話していて、凄く気があうから友達としてある意味ありがたい存在。

優斗「悪りぃな…呼び出して。」
千里「ううん。それよりどうしたの?」
優斗「俺…じゃ…ダメ…かな?」
千里「え?なにが?」
優斗「千里ちゃんの支え役、俺じゃダメかな?あいつじゃなくてさ。俺なら千里ちゃんのこと笑顔にできるし、傷付けないし、1番側で幸せにできると思うんだ…。だから…!」
千里「付き合うってこと?」
優斗「…ダメかな?」
千里「ごめん、洸の事を悪く言う人とは無理。友達だよ、私と桐ヶ崎くんは。」
優斗「……………そうだよな!!悪りぃ悪りぃ。忘れてくれ!これからもよろしくな、湖東!」
千里「千里でいいよ。友達だし。」
優斗「おう!千里…!」

その呼び方は、少しためらっているようにも聞こえた。
まさか…桐ヶ崎くんにそんな風に見られてたなんて。
桐ヶ崎くんとは友達。
ずっとそう思ってた。


??「あれ?湖東さん、優斗。」
千里「え?…………当麻先輩!」
当麻「よっ!」

小笠原当麻(おがさわらとうま)先輩…。
私の憧れの先輩で、背が高くてイケメンで優しくて面白くて人思いで。
私は当麻先輩と会うといつも、胸が高鳴る。
そう、今も…。

当麻「あれ、今日はアイツいないのか?」

当麻先輩がキョロキョロと辺りを見回して言った。
アイツ というのは、洸のコトだ。
洸と当麻先輩は、何かと言い争っては仲直りしている。

洸「あ?呼んだか?」
当麻「おお、噂をすればだな。洸、少し話があるんだがいいか?」
洸「んだよ、早く済ませろよ。」
当麻「あぁ。」

2人は、どこかへ行ってしまった。
…なんだろう、嫌な予感がする。

♡コイゴコロ♡

♡コイゴコロ♡

読んでみてください!! 本当に自信作です笑 友人も絶賛してくれました!

  • 小説
  • 掌編
  • 青春
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2015-06-15

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