好きならば-3-
大抵の女は愛を求める..が、私は愛を求めない。何故なら、彼に愛を教えたいから...
side kouyu
「俺に愛を教えて」そんなことを言ってしまったことに一瞬だけ後悔した。でも戸惑いながらも宜しくお願いしますって
言ってくれたことが少し嬉しくて、後悔なんて一気に吹っ飛んだ。
あれからというもの1度も会ってない。メアドもケー番も交換してないから連絡を取ろうにも取れない。
しかも、帰りに東高を通ると言っても、帰る時間なんて違うからすれ違いもしない。
てかこんなに会いたいとか夏帆に会いたいとか思うことはおかしいのだろうか?
愛がないとか自分で言ってるくせに、愛がないようには全く見えない..
愛がないというのは単なる言い訳に過ぎないのかもしれない...それか夏帆にだけ愛がある..?
一応受験生だってのに授業中にまでこんなことを考えてしまう自分に嫌気がさす。
まぁ、席が窓際の1番後ろということで考えているのかもしれないが...
...野..「荻野!」ふいに先生に名前を叫ばれた。
「あ..はい」「はいじゃない!何度名前を呼んだと...」どうやら指名されていたらしい。
なんか俺って夏帆のこと考えると周り見えなくなっちゃうのかなぁ-とか思いながら
言われるがままに問題を解いた。
なんでこんなに夏帆のこと考えるんだろ...だって好きでもなんでもないし、会って間もないし..付き合ってるかどうかも
あやふや...
めんどくせぇ..こんなこと考えるのも周りが見えなくなってしまうの色々とめんどくさい。
じれったいから夏帆んとこの高校で待つことにした。
待っていると夏帆は他の男女数名と笑って出てきて...男とは距離が近くて今にも手と手が当たりそうな距離だった。
あんな所を見て後悔と嫉妬と怒り...こんな感情に、悩みに飲み込まれることはなかった。
もう何もかもがどうでもいいなんて思わなくて済んだのに。理由も聞いてないのに、話の内容も何も聞いてないのに裏切られたとかいう
自己中なことを勝手に考えていた。
ここに来なければ...夏帆が好きだって気がつかなくて済んだのに..嫉妬なんてそんなもん好きなやつにじゃなけりゃ
わかない感情だ。何が愛を教えてだ..何が愛がないだ...愛なんてもんあるじゃねぇかよ..
この時だった。本当に夏帆に一目見たときから惚れ込んでいて、本当に好きだということに気がついた。
好きならば-3-