仔犬と赤いリボン♪
仔犬と、少女をモチーフにして叙情的な場面を、ちりばめました。母子家庭で育った彼女の心に、様々な出会いにより変化が起きます。日常世界から、離れた不思議世界の扉、物語りの展開をお楽しみください♪
麦ワラ帽子にフルジャンプ!
赤いリボンの、麦ワラ帽子がクルクルと宙を舞う。仔犬のバロンがフルジャンプ! 愛は思わず叫んだ【ナイスキャッチ!】 餌をもらえると分かっているバロンは、愛の元へとって返した。バロンの頭をなでて、ビーフジャーキを1本、バロンの口へ。尻尾をしきりに振り喜ぶバロン♪ 【お母さん、遅いなぁ~】花園公園の入り口で、辺りを見回す愛。【あ!、お母さんだぁ♪】母親の、姿が見っけて手を振る愛。小走りに母親の、幸が近付いてきた。【愛ちゃん、ごめんなさい…遅くなっちゃつたわね。】愛は母親の、後ろに男の人がいることに気が付いた…【お母さん、後ろの男の人は誰?】幸は、男性の二の腕辺りを軽く押してた。【紹介するわね、この方はお母さんと、同じ会社で働いている、犬飼 守さん】 愛はペコリと頭を下げて挨拶した。【愛です。】それに答えて、犬飼も笑顔で愛に話しかけた。【犬飼 守です。よろしくね、愛ちゃん♪】 犬飼はポケットから銀のメダルを出して愛に手渡した。【お母さんから、愛ちゃんが仔犬を飼っていることを聞いていたので、ワンチャンの首飾りを用意しました♪】 愛はありがとう♪と言って受け取った。仔犬の首にメダルを下げてやると、バロンも、その場をクルクル回り始めた♪【この子は、珍しい物が大好きなの♪】愛はバロンの顔を両手で優しくなでた。幸はしやがんで愛の視線で、話始めた。【これから、お母さんは、犬飼さんと、大事な話があるから、少し二人にしておいてね…】【この公園の真ん中にある、テニスコート辺りで待ってるから、愛ちゃんは、バロンと右の道を行ってくれる、私と犬飼さんは、左の道へ行くからね。】じゃ、15分くらい後でまた、会いましょう】愛は軽く手を振り【わかった~】と一言。母親の横顔が笑みであふれている…久しぶりに見るキラキラした瞳。愛はぼんやりとした、予兆のようなものを心に感じた。愛と幸、2人暮らしの母子家庭。母の髪にも白いものがチラホラと見え隠れしている。愛は心で叫んだ。【お母さんが、今度こそ幸せになりますように】愛はバロンと右の道を、しばらく進んで行くと1人の老人がブロックの上に座り込んでいた。猫車とシャベルが無造作に置かれてる。愛は毎日この公園を散歩しているので、微妙な変化に気がっいた。老人が座っているブロック沿いに新しい石畳の道ができている。【お爺ちゃん、こんにちわ…この道、昨日までなかったよね…ここに】老人はそれに答え【いや、この道は、100年前から、ここにあるんじゃよ~お嬢ちゃん。】老人は顔にシワを寄せて笑いながらに語った。
不思議世界の扉が開かれた~☆
お爺ちゃん、多分、もう、お歳でボケてるのね…心の中でそう、愛は呟いた。すろと、老人は、何を思ったか、突然、愛に話しかけた。【お嬢ちゃん、その仔犬の首に下がっているメダルを何処で手に入れたのかな?】愛は、すかさず、答えた。【これは、お母さんが会社の人から、もらったものだよ。】と、愛は老人に答えた。老人はメダルを指さし、語りかけた。【そのメダルは、シルバーキーと言って、願いを何でも叶えてくれる素晴らしい鍵なんじゃよ!】愛は戸惑いながらも、老人に答えた。【わたし、お母さんに幸せになってもらいたいの!】老人は、待ってましたとばかりに、語りかけた。【その願い叶えよう!但し条件があるのじゃが……】愛は【条件とは、何?】と、老人に訊ねた。老人は、少し時間を、置いておもむろに話始めた。【願いが、叶った暁には、その仔犬をワシにもらえるかのぅ~♪】愛は即答で、イヤだー!!】と、答えた。【なら、この話しはなかったことにしよう…】と老人は答えた。 愛も、多分、このお爺ちゃんは、お歳でボケてるから、あまり、相手にしない方がよいと考えて、その場を立ち去ろうとしたその時、折からの突風が吹き赤いリボンの、麦ワラ帽子が、老人の傍らを、過ぎてレンガ道へと飛んで行った。仔犬のバロンは、いっもの習性で、麦ワラ帽子を追う…老人は、ポッリと、話しかけた。【お嬢ちゃん、この道に入ったら契約者となる…サァ、どうする?】バロンは、麦ワラ帽子目掛けてハイジャンプ!老人が、一声、【ナイスキャッチ!】 バロンは石畳の小道に着陸した。バロンはそれに答えていっものように尻尾をしきりに振り喜ぶ仕草を見せている♪ 愛は、覚悟を決めて、小道に足を踏み入れた。ビーフジャーキをバロンの口へ、その時、老人が愛に話しかけた。【さぁ、契約は成立した。願いを話なさい…】愛は老人に答えた。【お母さんを、幸せにしてください!】老人は深く首を縦に2度振り、【確かに承った。】と言葉を残し木立の中へと姿を消した。愛は、何か悪い夢でも見ているのだと思い石畳の道を進んだ。周りが、急に暗くなり仔犬のバロンが立ち止まり、話し始めた。【愛ちゃん、幸せになってね♪、愛ちゃん、と過ごした日々を決して忘れない!】そう言うとバロンは、老人の方へ走り出した。愛は叫んだ!【バロン!、わたしを捨てるの!】辺りが明るくなり、母親と犬飼の姿がテニスコート近くに見えた。
母の幸せと、消えた記憶。
愛は、まるで夢から覚めたよう感覚を感じた。テニスコートの、近くで母親の幸が笑顔で愛を手招きしたいる♪ 愛は小走りに母親の、元へ…幸が笑顔で愛に話しかけた。【愛ちゃん、落ち着いて聞いてね。犬飼さんが、あなたの新しいお父さんに、なってくれることを承諾してくれたのよ♪】 愛は、始めは驚いた表情を見せたが、事の次第を悟ったように母親に語りかけた。【お母さん、おめでとう♪これで、また親子3人で暮らせるね…】 【もう、無理して夜のコンビニバイトとか、しなくて済むよ…】【犬飼さん、母とわたしを、これから、どうぞ、よろしくお願いします!】愛はペコリと頭を下げた。犬飼も、愛の落ち着いた、立派な挨拶に感銘を受けたのか、目に、うっすらと涙を浮かべた。【愛ちゃん、こちらこそ、よろしくお願いします!】 犬飼と幸は、愛を間に挟んで両手をそれぞれにつないだ。傍目には、もう、親子3人と見えた。【愛ちゃん、お家でお祝いのパーティーしましょう♪】【犬飼さんが、美味しいお肉を買って来てくれたのよ♪】【やったー!】愛は満面の笑みを浮かべて喜んだ♪ 3人が花園公園の入り口まで来たとき、仔犬を連れた少年と、すれ違った…少年の手には円いフリスピー、少年はフリスピーを高く投げあげた。仔犬はフリスピーを全速力で追った。仔犬はフリスピー目掛けてフルジャンプ! 少年がその時、思わず叫んだ!【バロン!、ナイスキャッチ!】 その様子を見ていた愛が一言呟いた。【お母さん、家にも、あんな可愛いワンチャン、欲しいね♪】幸も笑顔で、【そうね、そのうち、ワンチャン飼いましょう♪】と答えた。3人の姿は夕暮れの街に吸い込まれて、見えなくなった…少年は、その後ろ姿を見送って一言呟いた。【幸せに、なるんだよ…お嬢ちゃん~】少年も、また夕暮れの公園の木立の中へと姿を消した。夜空にキラキラと☆星が煌めき始めた。流れ星が一筋光の尾を引いた。コンビニの灯りの前で、座り込むホームレスの男性の前に、その時チャリンと、空から銀のメダルが降ってきた。男性は、不思議そうに眺めていたが、しばらくすると、ポケットにメダルを、しまい込んだ。その時、明日、契約の切れる携帯電話が、鳴った。男性の暗い顔は明るい表情に、みるみる変わった。その、電話は新しい職場で、社員採用決定の通知だった。1年前の犬飼の姿が、そこにあった…
仔犬と赤いリボン♪
この物語りを、書くに辺り、因果の法則性を考慮してみました。街ですれ違っただけの人でも、見えない縁(えにし)の糸で繋がっているかもしれませんね。あなたの人生に深く関わってくる人物かもしれません。人知を越えたところで、深く、絡み合った縁の糸、あなたは、信じますか?