SPEC NURSE 続き1
「えーでは皆さん、今日も張り切っていきましょう!」
『はい!』
看護師長の山口静子含むこの病院の看護師は全部で60人。そのうち
麻衣が勤務する2階の小児科・軽症患者病棟フロアには山口静子含めて15人だ。
看護師の朝は早い。新米ナースの米原麻衣は強烈な眠気とアクビ魔の罠に必死に
耐えていた。
…ちくしょ~眠い~あのブス、無駄に話が長いから困ったものね。麻衣は心の中でこっそり毒づく。
麻衣は表向きは素直で明るく謙虚な面もあるその上美人という優等生だが、実は超毒舌なのである。
それを知っているのは両親と唯一の本当の親友、神田侑子だけだった。
「あっそうそう、きょうは関東総合病院から新しく看護師が移動してくるみたいだから、
皆さんちゃあんと案内してあげてね♡」
気持ち悪ッ!黄ばんだ歯をみせてかわいこぶる山口静子を見て麻衣は思わずうえっ と顔をしかめてしまった。
それより、周りのナース達が嫌に盛り上がっている。こういう時は上目遣いで聞いてみるに限る。
「あのぅ…どうなさったんですか?移動のナースがどうかしましたか?」
えぇっと大袈裟に驚いてから、
「どうかって、どうもこうもないわよ!あの関東総合病院からくるのよ?
関東総合病院っていったら日本有数の大病院じゃない!だから上手く行けばお医者様紹介してもらって
玉の輿じゃない!ヤダぁどぉしよ」
あんたには無理だよ、と心の中で軽く突っ込み、
「ホントだぁ~困っちゃいますね。」と言っておいた。
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