青い目の兎(うさぎ)
子ウサギと金髪のお人形の物語。、一途で純真な子ウサギの心の動きを感じてくだされば幸いです。喜怒哀楽、一篇の中にぎゅっと詰め込みました。躍動感のあるシーンをちりばめています。楽しくお読みください~☆
北風の吹く丘で
ボクは青い目のウサギ。みんなの目は赤いのに、なぜボクの目だけが青い目なんだろう? 子ウサギは母ウサギに訊ねた。【お母さん、ボクの目だけが青い目なのは、なぜなの?】母ウサギは、優しく子ウサギに語りかけた。【それはね、あなたが、神様から選ばれからよ。】 【なせ神様はボクを選んだの?お母さん~】子ウサギは母親の顔を覗き込んだ。【今は分からなくても、あなたが、理解できる時が、やがて来るわ~】 母ウサギは、優しく答えた。子ウサギは、首を傾げていたが、やがて、思い立ったように、駆け出した。【お母さん、北風の吹く丘に行って来るよ♪】 母親は、心配そうな表情で答えた。【あまり、遠くへ行かないようにね~陽が沈む前に帰ってくるのよ~】子ウサギは明るく答えた。【わかった♪】子ウサギは巣穴を出て小高い北風の吹く丘へ駆け出した…草をかき分け、かき分け進んだ。しばらくすると、目の前がパッと開けて小高い丘の頂上にでた。眼下には石畳の小路が続く古い町並みが見える。街の中央には背の高い教会……カーンカーンと塔の鐘が鳴った。遠くの方に、青い海が太陽の光を受けてキラキラと煌めいている。子ウサギは、この、小高い丘が大好き♪ それは教会の隣にある二階建ての、大きな窓側に金髪の赤いドレスの小さな女の子が、座っていて、いつもボクを見っけてくれるから…君に会いに行きたい♪、君と話したい♪なぜ君は、ボクがこの、丘の上にいることを知っているの?知りたい~☆
金髪の少女と子ウサギの出会い
雨……ポッリポッリと雨粒が子ウサギの背中を叩いた。あの教会の鐘塔が目印だ! そう心で呟くと子ウサギは丘の坂道を転がるように下り、石畳の小路に出た。 子ウサギは鐘塔を注意深く確認しながら小走りに進んだ。雨が強さを増してきた。民家の軒先で雨宿りをしていた数人の子供たちが口々に叫んだ。【あ!ウサギだー捕まえろ!】 子ウサギは右に左に身を交しながら、子供たちの追尾を振り切った。真っ白だった子ウサギの体は、泥水の中を走ったせいで、黒ずんでしまった。【こんなに汚れた体では、あの女の子に嫌われる…】子ウサギは少し離れたところから、女の子の様子を伺うだけにしょうと思った。やがて、鐘塔を見上げる所までたどり着いた。女の子がいつも座っている窓際を見ると、なぜか今日に限って姿が見えない……【ボクが、こんな汚れた体をしているから…きっと嫌われたんだ…】子ウサギの心は淋しさに震えた。 涙とも雨とも思える雫が子ウサギの青い目からこぼれ落ちた…しばらくすると、民家のドアが開いて母親と小さな女の子が傘を差して出てきた。【あ!あの子だ】子ウサギは咄嗟に思った。少女は手にお人形らしきものを持っている。少女がポッリと母親に呟いた。【お母さん、また新しいお人形買ってね~】少女は路地の脇にあるゴミ捨て場に着くと、手に持っていた人形を置いて、また家に入って行った。あの子は金髪でもなく赤いドレスでもない…子ウサギは人違いだと悟った。雨がザーザーと街を包み込む。子ウサギは窓際が、よく見えるゴミ捨て場の傍らに走った。やはり窓際には金髪で赤いドレスの少女の姿は見えなかった。 諦めて帰ろうとした、その時、子ウサギの目に金髪の少女が映った。【君だったんだね…】無造作に捨てられている赤いドレスのお人形、君も淋しかったんだね…こんなに涙を流してる、子ウサギは金髪の人形を雨に濡れないように体で包み込んだ。もう、だいじょうぶだよ。これからはボクが君を、いつも見守っていくから……子ウサギの体は雨でみるみる元の白さに戻っていった。やがて、雨は止み暖かな日射しが子ウサギと金髪のお人形を照らした。神様、ボクの目が青いことに感謝します…この、青い空のように心が晴れました♪
青い目の兎(うさぎ)
私はoヘンリーの短編小説が好きです。中でも【最後の一葉】に心の琴線を振るわせたのを今でも鮮明に覚えています。人々の心の中にある目には見えない思いや感情を小動物の演出でシンプルに表現できたらと思い筆を走らせています。これからも、新しい発想や知識を取り入れて作品に反映させてゆきたいと思います。どうぞ、よろしくお願いいたします♪