いるかのほし35 アーチャとポコ

アーチャとポコ

 いるかとつうしんできるにんげんは、名前をヤヤさんといって、だんなさんのホットさんと2人で「いるかのココロ」をにんげんに伝えるお仕事をしていた。いるかって、のんびりしていて、ぷわぷわしてて、なあ~~んにも心配しないで、ニコニコしてるから、それをにんげんの「言葉」に変えた「イルカココロエキス」は、にんげんにとっては、サプリみたいなもんなんだって。明るい気持ちになったり、心配事が解消したりするらしい。
 
 えへん!!すごいでしょ!!いるかってね。

 (さっきは、ヤヤさん、「こんにちは、もう、お話ししてもいいですか?」って言ってたんだ。お客さんに、いるか登場の挨拶をしているところだったんだね。)

・・・・ヤヤさんとホットさんは、ぼくのこともすぐに気が付いてくれたよ。ぼくが事情を伝えると、「わかりました。」と言ってくれて、ぼくはきっと近々、ポコという人が、なんらかの形でここに連絡をしてくるに違いないから、その時は、ぼくも立ち会わせてほしいと、お願いしてきたよ。

 ちなみに、さっきつうしんしていたのは、ぼくよりもうすこし前からあおいほしに来ているいるか、とのことだった。・・・・じゃあ、きっと、どこかの海で、ヤヤさんの知り合いのそのいるかさんとも、会うことがあるかもね・・・・・。

 さあ、じゃあ、ぼくはもうしばらくは待機して、ポコ、ピコのことを見守ることにするね・・・・。

 その頃、ポコの家

 「何?これ?」

 ポストに何か届いているのを見つけたのはポコだった。

 茶色の封筒で届いていたのは、沢山の痛みどめの薬。何か、おかしい・・・。何か、起きてる・・・。そんな予感のポコ・・・・。薬を注文したのは、アーチャだった。

 アーチャは半月前、慣れない出張先の水に濡れたタイル張りの道で、滑って転んだというのだ。その時のことを、「一瞬、頭が真っ白になったよ・・・。でも、良かった、頭は打たなかったから。」と言っていたのだ。でも、駅まで迎えに来てくれと言うし(いつもは、タクシーで帰ってきていたのに)、「頭は打たなかった」とわざわざ「頭」のことを、聞きもしないのに、話したりしたし、それがポコには余計に違和感を感じさせた。

 それから少したって、「滑った時に打った肩が痛い。」、とか、「痛いのは肩と打ってない頭」とか言い出して、いつにも増して、朝晩の仏頂面に拍車がかかってきた。普段からあまりしゃべらないので、もともとわかりにくいのだけど、ポコに「何かあるな」と、感じさせるに十分だった。

 そして、とうとうある朝、痛み止めもひと箱空になったころ、アーチャは言った。「ちょっと脳神経外科に行ってくる。」「うん。」軽くうなづいたポコ・・・・。そして、ほどなくだった。脳神経外科から、電話がかかってきたのは・・・・・。

 

  

いるかのほし35 アーチャとポコ

いるかのほし35 アーチャとポコ

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2015-06-08

CC BY-NC-ND
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