昔からいつもそう

昔からいつもそう

 あなたって昔からそうよね。そうやっていつも、自分の都合が悪くなると逃げようとするの。変にむずかしい単語をつかったり、仕事に遅れるからって部屋を出たり。ちょっとは私の話も聞きなさいよ。スナックのママの話ばかりじゃなくて。
 あなたって昔からそうよね。そうやっていつも、自分ばかりが楽しい思いをするの。私はいつも部屋でひとりぼっちなのよ。あなたが帰ってくるまでご飯も食べずに待ってるの。私は、あなたがなにか事故にでも遭ったんじゃないかと心配でしょうがないのよ。なのにあなたはスナックでママといちゃいちゃ。
 あなたって昔からそうよね。そうやっていつも、話をはぐらかそうとするの。スナックでもキャバでも関係ないじゃない。あなたが楽しい思いをすることのどこに違いがあるのよ。えぇ、わたしはどうせ、スナックとキャバの区別もつかない田舎者よ。
 あなたって昔からそうよね。そうやっていつも、わたしを見下すの。そんなことないって? あるわよ。その目。それは完全に見下してるわ。いいわよ、放っておいてちょうだい。
 ……え? お前は昔からいつも自分を卑下している、って?
 やめてよ。昔の話なんてしないで。昔話なんて聞きたくないわ。
 あなたって昔からそうよね。そうやっていつも、昔の話を持ち出すの。

昔からいつもそう

昔からいつもそう

「あなたって昔からそうよね」

  • 小説
  • 掌編
  • コメディ
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2015-06-06

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted