僕の権利

パンし

8歳の春

僕は何を求められてるんだろう?
僕は何をすれば喜ばれるんだろう?
何をしても基本的にこなせてしまった僕は。
必要とされる存在になれるって言われ続け
何にでもなれる存在になれるって言われ続け
自分の権利は無く
言われる事をただ淡々とこなし、
何でも余裕でしかも一級品を作る
簡単にいえば神童
期待され続けその才能を何に使うか、
いや使用するかは大人が決める事だ
逆らわずただ目の前の物を余裕で
淡々と一級品を作る。
機械のように動けばいいの?
そんなことを悟った8歳の春

12歳の夏

あれから僕は何を求められてるんだろう。
何も求められて無いのだろうか?
僕は凡人になりたいだけなのに。
笑顔も泣き言も弱音も吐く弱い人間になりたい。
いやそんなことをできるのは強い人間なのかも知れない。
他人を信じ、騙し、騙されながら苦労する人の方が
確実に強くなれる。絶対だ。
僕の周りからは1人、また1人と消えていく。
僕には普通の感覚が分からない。
笑う、悲しむ、楽しむ、そして努力する。
そんな普通のことでさえも出来ないんだ。
僕の才能ではインフルエンザがかかってても余裕な学校に行って普通の生活を送ろう。
あぁ僕は今から初めて努力をする。
普通の感覚を創造して、誰とでも楽しく接するように・・・。
才能に溢れた僕は封印しよう。
最後に僕の才能が生かされたのは
新しい感覚を創造する事に使われた。
努力を始めた12歳の夏

16歳の秋

普通のことでさえも楽しく思えた中学生活
散々な事をして笑って、下らない事をして怒られて、
勉強は平均点より少し上位の点を取り、
体育でも平均タイムよりちょっと早い位を取り続けた。
それでも僕は不安になる。
テストでは満点を取るのも余裕のテストで加減してること、
体育でも学年一位になるのも簡単なもので加減してること、
バレてないかな?
僕は小学校のときの事を聞かれても何も答えなかった
ただ今この瞬間笑えていれば。それだけで良くないか?
上手く笑えてるよね?まだまだだ。
絶対に分からない新しい自分を作らなきゃ。
そんな風にして完璧な自分を目指して笑い続けた。
高校生になり、気づけばグループの真ん中にいれるような、
女子とも仲良く喋れた。
どうやら完璧な笑顔が作れてるようだ。
それでも自分では見えない笑顔を他人に見せる。
それだけでもっと完璧な笑顔を目指した。
鏡の前でいくら笑っても満足は出来なかった
しかしそんな心配とは裏腹に、人生初の彼女が出来た。
恋愛というものは初めてだ。
人を愛する。親からも誰からも愛されず、でも必要とされてきた
僕は人を愛せるのか?
そんなことを思い初めた16歳の秋

20歳の冬

君と付き合い始めてからもう今日で四年目になる。
今日で僕は今までの自分と別れて、君にプロポーズする。
でも今さらだけど君を騙してた事は打ち明けた方が良いのかな?
そんなことしたらまた僕の周りから離れていく。
言わないでおこう。そう決めて一生このままで良いと思った。
自分の為、相手のために言わない方が良いんだ。
ディナーも終えて、今から君にプロポーズ。
「一生このまま僕と一緒にいてくれませんか?」
返事はイエスだった。少しの沈黙の後君は
「隠し事はしないようにね!」
ほんの少しの約束なのに。
僕は返事が出来なかった。
君は心配で不安そうにこっちを見てる。
早く笑って、君を見なくちゃ。
返事をしなくちゃ。嫌われたくない。
「何かあったの?隠し事?」
そんなものはないから、とは言えなかった。
今までの事を全て話そう、そう決めて君に話はじめた。
君は全ての話を黙って聞いていたが、話終わって
「そんなことか。別に今さらどっちでも良いよ。」
笑い飛ばした。
やっぱり言ってよかった。
胸の迷いがすぅーと消えていった。
隠し事無く君と明日から生きていく。
それが僕の得た最高の権利だ。

僕の権利

僕の権利

  • 小説
  • 掌編
  • 青春
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2015-06-04

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  1. 8歳の春
  2. 12歳の夏
  3. 16歳の秋
  4. 20歳の冬