空飛ぶピエロと笑う猫
思いついた物語をとりあえず書き出してみました。近いうちにチャプター追加していこうと思います。誤字や表現のおかしいところがあれば意見お願いします。
出会い
街並みに沈む夕日を見ながらのコーヒーは格別の一杯である。そう思いながら一口目をすすった。起業して5年失敗もあったが経営が軌道に乗った会社は名前を言うだけで誰にでもわかる規模まで成長していた。30代にして人並み以上の物を手に入れて私はこの世界に十分に満足し、そして心の中のどこかで飽きていた。両親と婚約者は事故で他界し何不自由無い富と名声を手に入れてこの世界に思い残すことはないと思っていたからだ。机に置いてある携帯端末に「自殺の名所」と声をかけ検索をかけた。80万件がヒットし人目につかなそうな一番マイナーである○○山樹海を選んだ。
翌日、車で名所に向かいある程度の重さに耐えられそうな木を探し始めた。骸骨が一つもなくマイナーな場所であることが容易に確認できた。10分後目的の木を発見し縄をかけ目を瞑り瞑想をした。小さい頃からの思い出を振り返り成功と失敗の日々思い出す「やはり満足している。」そう思い縄を首にかけた。そのときであった、「何してんの?」と声がかすかに聞こえた。気がつき振り返ると少女が立っていた。理系の自分から見て信じられなかったが、どうやら少女は足の下から無いあたり幽霊らしい。そして声を発生させることができることにも驚いた。少し未練ができてしまった自分は、とりあえず車に戻り話を聞くことにした。少女は10年ほど前にこの樹海で家族と心中したらしく、この世に未練があり化けて出てきたようだ。「君の未練って何?」そうつぶやいた。「言えない!」、即答だった。そうか、と思いつつ場所を変えるため車にエンジンをかけ少女に別れを告げようとすると、「連れてって」と少女がつぶやく。驚きつつもうなずきその場を後にした。
2日後、あれ以来計画は延期になり少女はリビングのソファーでくつろいでいた。とりあえず会社に顔を出すため、家を出た。振り返ると少女が着いてきているらしく、どうやら遠くから自分を観察しているようだった。社員の愛想笑いと挨拶を受けつつも、社長室に入り椅子に腰をかけると少女は驚いていた。その日もコーヒーを飲み終わった後、車に乗り込むと欲しい物は無いかと訪ねた、車が発進してからしばらくして彼女は「アイスクリームが欲しい。」と言った。いかにも子供らしい意見だと思いつつ帰り道にあるコンビニの駐車場に車を止めた。どうやら、コンビニも知らないらしく興味津々のようだった。彼女は行ってみたいらしく目を輝かせながらこちらに訴えかけてきた。しぶしぶ承諾し、店内に入りかごを取った。次の瞬間奥のほうの飲料コーナで女性の悲鳴が聞こえ、声の方へ振り向くと気絶していた。俺は今の状況を把握してすぐに店内を後にした。少女は女性が気絶したのが面白かったのか笑いながら後部座席に座り込んだ。会社ではなぜ悲鳴が聞こえなかったのか聞くとどうやら姿を消していたらしく自分はほっとしてその3分後ぐらいに少女を叱った。少女は叱ったあと、ふて腐れていたが別のコンビニで買ってきたアイスを食べると機嫌が嘘のように戻っていた。
空飛ぶピエロと笑う猫