パリ子14

丹羽拓郎

パリ子現れる!

❶ 私の義理の弟の葬儀で妹は悲しむと思っていたが、其れ程でもなかった。まあ、あれだけ浮気をすれば仕方が無かっただろう。1週間前、私は知人のつてで、ある凄腕のデリヘル嬢を頼んだ。兄としてももう、我慢の限界だった。
 Yahoo知恵袋に『パリの日の出は何時?』と書き込むと、14時にN駅の金時計前に着いた。そこにエッフェル塔の形をした帽子をした、黒ずくめの美女に声を掛けると、
「用件はなんですか?」
と丁寧な口調で尋ねられた。
「義理の弟を殺して欲しい」
と頼むと、義理の弟の住所を尋ねられた。
 次の日、妹を新居から連れ出すと、全身黒ずくめの網タイツを履いたパリ子が入っていった。
 三日後、弟は白髪になり、五日後に死んだ。

 ❷私は刑事でこの頃ずっと連続痴女誘拐監禁事件を担当していたが、やっと犯人が捕まった。犯人は1郎といい、無職。趣味は風俗だった。
 取り調べを昨日から一日取りかかっているが、同じ事の繰り返しだ。
「何故、s子を誘拐した?」
「だから、言っているでしょ、俺はs子に騙されたんだって。あいつは俺を騙して、俺の部屋に入ったんだ!」
部下のs木が問いただした。
「あなた、クロロホルムを使ったでしょ?貴方はクロロホルムで女の子を招待するの?」
1郎は困った顔をして、
「何度言えばいいんですか、だからあの女はパリ子の差し金だって言っているでしょっ。ちゃんと僕の前で告白したぜ。」
「じゃあ、パリ子は誰なのよ?」
「さあ、わからないな。だから、あの女に聞いたんだ。」
「じゃあ、パリ子が分からないのに、s子さんを誘拐したんだ?本当は強姦目的だって知っているのよ!答えなさい!」
「だから、あの女は俺を騙したんだ。あいつはパリ子の振りをして俺の部屋に入ったんだって。」
毎回この通りだ。確かに強姦目的にしてはおかしい。s子も激しく尋問されただけと証言している。その上何もされず、1郎の家から追いだされただけだった。
 今日も進展が無かったので、留置場に預けて帰宅した。

 ふと気付くと、小屋の中に居た。
「お前、パリ子の事を吐くんだ!!」
そこには如何にも童貞そうな大男が立っていた。体は椅子に縛られていて、動けない。
「お前は誰だ!!」
「それを俺様は聞いている。パリ子を誘拐して何処にやった?正直に吐け!!」
鞭の様なもので激しく打たれた。私は根性が無いので素直に
「申し訳ありません、何でも言います。」
答えた。私は現状を打開するにはこれしかなかったのだ。多分
「パリ子をどこに誘拐した?」
私は素直に自分の職業と取り調べの内容とs木の連絡先まで吐いた。
「s子は勘違いされたってことだな?」
「はい、そうです。」
「噓をつけ!俺様には見え見えなんだよ。」
「本当です。」
鞭でまた打たれた。
「パリ子を勘違いするなんて事はあるか!」
「本当です、本当です。」
激しく鞭で打たれた後、私は気を失った。目が覚めると、
「『本当はパリ子でした』と言えばいいんだよ」
と声が聞こえた。
そのとおり喋ると、
「そうか、パリ子は無事だったか。良かった。うん、良かった。お前、噓をついていたな!何故、俺様を騙した?俺様を騙すなんてゆるせねぇー。」
私はしこたま殴られた後、パリ子の作り話と警察の重要事項を全て喋ると小屋から追い出された。

パリ子14

パリ子14

Yahoo知恵袋に『パリの日の出は何時?』と書き込むと、N駅の金時計前にパリ子というスーパデリヘル嬢が現れる。

  • 小説
  • 掌編
  • コメディ
  • 青年向け
更新日
登録日
2015-05-31

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