『 相合い相合い相合い傘 』
。
そいつはいつも傘を広げていた。
とんでもなく大きな青い傘。
……きっと凄く重いんだろうな。
初めて見たのは幼稚園の帰り道だったっけ。
しっかりと傘を支え、毅然と立ち尽くすその姿は結構素敵だった。
どんなアイドル歌手より憧れてた。
私の胸がそれなりに大きくなった頃。
彼の手は小刻みに震えるようになっていた。
額には大粒の汗。
そりゃあ疲れるよね、うん。
「おりゃあ」
容赦ない一撃。
私は華麗に跳んで、背後からキツいドロップキックをかましてやった。
彼の体はくの字に折れ曲がり、大きな青い傘もぐしゃりと潰れてしまった。
雨が落ちて来て、あちらこちらから悲鳴があがる。
知るか、馬鹿ども。
世界が雨に襲われようが、私がこのまま死んでしまおうが、そんなのどうでも良い。
彼は床に突っ伏して、情けない姿を晒していた。
私はそれにゆっくりと体を重ねた。
彼を休ませてあげる事が出来るなら、それで良い。
『 相合い相合い相合い傘 』