奇妙な関係性

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奇妙な関係性

 奇妙な関係性

 窓からは暖かな光が入ってくる休日の昼下がりがカフェにあった。中では少人数ではありながら高校生から老人までもが思い思いの時間を過ごしてそこで時間や会話を楽しんでいた。主人公のみさきもその一人だった。ただ一人コーヒーを片手に読書をして、ただただ仕事以外の貴重な時間を十分に浪費をしてはその浪費をする自分に酔いしれていた。岬は20前半でありながら、カフェで友達と話したりするのではなく他人を見ては誰かとも知らない人を見ながら自分の一生今どこにいて未来を勝手に考えてしまう癖がある。
 そうこうしているうちに時間は過ぎて、朝の10時に入ってようやく11時になろうとしているところだ。カフェは平日だろうと休日だろうと常連客がほとんどを占めているので特に忙しいわけでもなければ暇でもないという。だから、ここは気兼ねなくいつで入れる。みさきはそれでもさすがにきつくなったので店員にコーヒーの注文をするために読んだ。店員は注文表を持ってきてくれて注文を取る。
「ご注文は?」
「コーヒーだけね。あと、砂糖多めに入れて。」
 そういうと、店員はそさくさと行って注文をマスターに持って行った。マスターも手際よくやり5、6分くらいで来てしまった。
 しかし、コーヒーと共にパフェがきた。みさきは店員の間違いだと気付き、店員を呼び止めた。
「すみません。パフェなんて頼んでないんですけれど。」
「ええ、知ってます。どなたかは知らないのですけれどあなたにパフェをご馳走したい人がいたらしくて。」
 みさきは困惑した。ここには足繁く通ってはいるがここの常連と仲良くなった記憶もなければ話したこともなかった。申し訳ないと思い、返却という形をしようにも生物に近いものでもあるから返却はできない。せめてその代金だけでもと言ってももう払っているのでそうすると会計の帳尻が合わないと店員入った。みさきは半信半疑ではあったがもったいないと思いパフェを黙々と食べ続けた。
 みさきは不思議がっていた。ただただ頭の中ではてなが量産されていくだけで真相のようなものが何であるのかが気になって仕方がなかった。まるでこの現象がなんらかの知らない力によってもたらされていたのだとするならばそれはそれで嫌だ。みさきは神様を信仰しているわけでもない。だが、神自身を否定している立場でもない。職業上そういう人間もいるので、安易にそういうことを考えてはならないという思いが自然とみさきの中で湧き上がってきた。
 食べ終えるとみさきはマスターの元に向かって、話しかけた。
「マスター、ちょっといい。」
「何でしょう。」
「さっきの、パフェって誰からなの?」
「守秘義務がありますからお教えすることはできません。」
「あなたは医者じゃないでしょ。」
「そうでなくてもコンプライアンスは守らなくてはなりません。これはこの店始まって以来、守り続けたことですので、これを破ることはすなわちこの店の歴史に泥を塗ることになります。」
「こっちだってパフェ一つだって金を払えなければ気持ち悪いんです。」
「でしたら、探してみてはどうですか?」
「それはコンプラインスに反するんじゃないんですか?」
「さあ、どうでしょう。名前自体を出しているわけではありませんからね。」
「でもさ、どこにいるかどうかぐらいは教えてくれてもいいんじゃないんですか?」
「あなた、けっこう積極的ですね。あなたが常連というのは知ってはいますけど、あなたの名前を僕は知らないですよ。それなのに結構いろいろなことを聞いてくるんですね。」
「は~。わかったわ。一人で探します。」
 みさきはそういうと店の中に目を配った。誰か知り合いがいるかどうかを探すために。
 目を配っていると一人だけそわそわとしていた。女の人でなんだか職場のお茶汲みのような人当たりの良さそうな人だった。みさきはこの顔に見覚えはなかったがなんらかの理由で向こうが知っていると思った。みさきは自分の席にあった冷めきったコーヒーを持って彼女の隣に行き、
「ここ座っていい。」
 と言った。そういうと困惑した顔で
「どうしてです?他にも席は空いているじゃないですか?」
 みさきは困ったと思った。こういってしまうとみさきはストーカーか詐欺師などの犯罪者扱いをされる。そうなってしまえばこのカフェに来ることはできない。そうなってしまえばたった一つの休日の楽しみがなくなってしまう。
 みさきはさっと方便を垂れた。
「いや、そちらが常連さんと思って。」
「はあ。まあ、よくはきますけど。」
「やっぱり!お仕事は?」
「お仕事は。まだ。」 
 まずいことを聞いたとみさきは思った。まさかニートのような人がここに通っているとは思わなかったのだ。
「じゃあ、主婦とか?」
「いえ、まあ、理由はあるですよ。仕事ができない理由が。」
 これこそバツが悪いと言うのだろう。針の筵だ。自分の行動の愚かさにこの時みさきは初めて気づいた。気付いた時にはいつも遅いのだ。
「まあ、色々とあるわよね。」
「あなたも何で私に話しかけに?あなたいつもの席に座って一人でいるじゃないですか。」
「なんで知っているの?」
「いつも同じ席でいつもと同じメニューを頼む人なんてそうそういないからね。まるで気難しい作家のような生活をしてるんじゃないかって思ってたわ。」
「そんなことはないわ。気難しい生活をしてるわけじゃないし、気難しい性格もしてません。ただ単にいつもとおなじような生活になっちゃうんです。」
「でも、飽きることないの?」
「飽きることはないかって。飽きることなんてないわよ。いつもの生活が飽きつくほどの嫌な出来事。暴言を吐いてくる上司。無茶を言ってくる顧客。そんなことの方が飽きるよ。だからコーヒーとか自分の決めるメニューは自分で決めるんじゃなくて自分にあったものを頼みたい。それなのに誰かわからないけどパフェを私によこしてくれた。嬉しいんだけどそれと同時にね、それが自分の好きなものからは外れているんじゃないかっていう考えにもなるの?」
「単純に好意として受け取ればいいのに。」
「そうにもいかないのよ。お金だって払っていない。きっちりとお礼をしつつお金は払いたいの。押し売りのような気がするけどそれは私が知らないといけないこと。」
「もしかして、その人を探してるの?」
「そうよ。あなたはただそこに座っているだけだけど。」
「私も人探しのようなものでここに来ているの。」
「へ~。恋人かなんかなの?もしかして、仕事ができない理由ってそのこと?」
「そうじゃないわ。でも、それに近いもしれない。恋人っていうの。」
 みさきは黙った。黙ってはいても何もならない。みさきはそう思いながら、この女の人がどうしてここに来てまで会いたい人に会うために途方もない投資をしているのかが気になり始めた。
「あなたそれほどまでになんで会いたいの?」
「顔はよく思い出せないんだけど、報告したいことがあるの。」
「顔を覚えてなくてきてるの?忘れちゃいそうな人を会うためにカフェにまで来るなんてね。」
「でもそんなものじゃないんですか?会いたい人に対してはあなただってパフェのために私に話しかけてきて、気難しい性格も出させていて、それでもってここまで話して。あなたも早く探したらどうです。」
 みさきはこの女の人がうるさくなってきた。働いてもいないくせにこういう能書きを垂れては私に説教してくるなどあなたが神様仏様であろうと労働者に対しては敬意を払わなければならい。ということはここでこういうことを自分に対して言ってくることは不条理なことである。へんな三段論法でもあるとみさきは思いながら、その女に対してパフェのことを聞こうと思った。
「ねえ、つい一時間前、あなたはここにいた?」
「ええ。いたわよ。」
「だれかマスターと話をしている人はいた?」
「そりゃいたわよ。ウェイターさん。」
「ウェイター以外でよ。」
「そうね。二人くらいいたわ。なんかまた常連さんでね。でも三人で話しているわけでもなかった。一人一人が時間をずらしながら話していたわ。マスターも大変ね。」
「ふーん。で、じゃあ、今もその人はここにいるっていうわけね。」
「そうね。一人は男性でもう一人は女性だったかしら。」
 みさきはその時店内を見渡した。そして女に聞いた。
「その二人、今どこにいる?」
「え?」
「その二人って今もいるかって聞いてるの?」
「ええ。一人はカウンターでもう一人は。ああ、一番窓際ね。あのハットをかぶった人。」
 それを聞くとみさきは冷めきったコーヒを飲み干しまずはじめにカウンターに入る男性の方に行った。近くに行くとマスターにコーヒーを一杯頼む。そのコーヒーを待つ間にどういう話を聴きだそうかと施策を練っていた。
 考えている間、ちらちらとその女性の方を見た。この男性が本当に自分にパフェをおごってくれたのかと考えると、自分もまだ捨てたものでもないという意味不明な自信が湧き上がってくる。こういうことは漫画の中だけの世界にしかにと思っていたのが現実となったのならば自分は現実に生きているのではなくどこか違う誰かの主人公として生きているのだと勘違いをしている。みさきという女はこの一件訳のわからない意味不明な解釈をしている。
 コーヒーが届くと、その男性に大胆に話しかけた。
「こ、こんんにちは!」
 みさきは単価を切ったのはいいもののまるで壊れたペッパーちゃんみたいに言葉ががががが、と刻んで話した。男性はそれにたいして笑顔で接した。
「こんにちは。」
「もしかして、ここの常連さんですか?」
 声が裏返るみさきに対して男性は気さくに話す。
「ええ。それにあなたも知っていますよ。いつもの席でいつものようなメニューを頼むって。」
「へー私そこまで有名だったなんて。」
「有名というか。まあ、有名でしょうね。この空間って不思議な情報が飛び交っていますからね。」
「またまた。実は常連さんどうしたがみんな顔見知りっていうような感じでしょ。」
「顔は知っていますよ。ですが、みんなの情報は知らない。知っているのはこの店内で何があった買っていること。もっとも、誰の情報かなんて見当もつきませんしね。でも、不思議ですね。あなたから話しかけてくるだなんて。」
「いや、まあ。たまには誰かと話したほうがいいかなって。」
「そうなんですか。珍しいこともあるもんですね。いつもはこの日にこないもので。」
「え?でも、じゃあ、なんで知ってるんですか?」
「だから行ったじゃないですか。情報は飛び交っているって。」
「ああ。」
 みさきは妙な納得をした。妙な納得というのはそれこそだれがどこのものだとも知らないで情報をつかっているのなど個々の外の世界を覗いてみればそう珍しいことでもない。ネット上にもそんな訳のわからない情報を使ってはまた変な情報がまた生まれる。なんというかこの空間が私が思っていた以上に自分の知らないことが起こっているらしい。
「じゃあ、ある程度のことは知ってるってころでいいのかしら?」
「まあ、そうだね。でも、誰が誰を知らないのかはわからない。もちろん、君がさっきあの女性と話していたこと以外で関連する関係は僕にはわからない。」
「へー。でも、あなたは私のことを知っていた。なんか不思議ですね。」
「まあ、そうですね。ここに来る人ってなんか不思議な人が多いんですよね。僕も含めて。」
「じゃあ、なんで足繁くここに通っているんですか?」
「まあ、なんとなくかな。でも、ここに来たのも誰かの紹介で来たような気がするし。まあ、なんとなくが正解なのかな?」
「私もそんな感じです。なんで通い始めたかなんてわかりません。どうして、こうして話しているのかもね。あ、そうだ。パフェのことだ。」
「パフェ?パフェが好きなの?」
「違います。コーヒー飲んでいたら、パフェが届いたんです。それで、パフェの代金を払って早くしないとって思って。」
「どうしてです?貰い物ならいいんじゃないんですか?」
「そうはいきません。好意としては嬉しいのですが、お金を誰かから恵んでもらう筋合いはないし、ましては自分に好意を持っているのであれば直接言ってくれた方がいいわ。なんかきみが悪くて。」
「少なくともここに毒を仕込むような連中はいないと思うけど。」
「そうだったしてもさ。」
「まあ、人間関係なんて自分の与り知らないところ築かれものなんじゃないのかな?自分の知らない人が自分のことを知っていて知らないうちに恋心なんて持たれて。」
「恋心!」
「そう。有名芸能人だけに限ったことでもない。外でもそうだけど知らない奴が知らない奴を好きになることなんて珍しくもない。この時代だしこの店内だけの通信網なんてそんなものだよ。僕だって君の隅々まで知っているわけでもないけどさも君の全てを知っているように話すことだってできる。」
「どうやって?」
「じゃあ、君の持っているパフェの情報を教えて。」
「は?まあ、いいけど。でもあなたがパフェを持ってきたかどうかだけ教えてよ。そうすれば私は払うことができる。」
「まあ、いいけど。それに僕はパフェなんてあげてないよ。」
「本当?」
「嘘をついていたとしたら、あとは君がもう一人の容疑者を探せばいい。それでだめなら僕が犯人ということになる。」
「犯人って。私は犯人探しをしたいわけじゃない。私はただ金を払いたいだけ。」
「だったら行けばいいじゃないですか。ここで話していてもすぐに行ってしまう。」
「わかりましたよ。私は払ったらすぐに帰ります。こんな三流サスペンスに付き合わせて悪かったわね。」
「そうでもないですよ。三流サスペンスは犯人を見つけ出すものです。あなたは犯人なんて探してませんよ。」
 その男性の意味不明な発言が気持ち悪くみさきは感じた。まるで三流ではない。これは中学二年生、いや小学生が考えるようなサスペンスのようなまるで誰が犯人であるかを顔を出しているように作っているような作品だ。
 自虐でないとするならばこれは大抵の同人作家に言えることでたとえ、その主人公が犯人を知っていたとしてもそれを犯人からいってもいけないし主人公本人が言ってはならないんだ。いってはいいのは作者がこれを知るている時だけであり、これは男性からの自供だと考えるのが妥当だ。
 みさきはそう考え、もう一人のマスターと話した女の人の元に向かった。
 その女性は女性誌を読んでは自分の見地が広いと勘違いをするような人ではなさそうだった。手に持っていたのは今は昔に発行されていたであろう本だった。ほんの名題は「深夜の逆光」だった。その作品はみさきは知っていた。1990年代の世に言う世紀末が訪れようとしている頃に京急の社長が書き記した未来を暗示して書き記した論説文とも捉えられるエッセイだ。
 みさきはその人に対して深い興味を持った。このような人がなぜ私にパフェを与えたのか。その女性は私に対してどう思っているのか。みさきはすぐにその本に関して話をしようと話しかけた。
「それって深夜の逆光ですよね?」
「ええ。よくご存知ですね。この本なかなか出回っていないのに。」
「いや、古本屋で本当に古そうな本を探していたら、見つけて読んでみたんですよ。」
「そう。私もこの本を読み始めたばかりですし。ですが、いいセンスをしてますよね。この作者。」
「そうですよね。しかもこの人社長をしながら書いたというのだから驚きです。」
「そうなの。社長としての知性があるかどうかを除いて、315事件を教えた教師のことはかなり印象的でたね。」
「そうなんですよ!まさにこの本の重要な点であり、未来を見据える時にその過去の人たちがどのようにして行い、その結果がどうでありこの国のためにやったことが悪人として扱われるべきではないとい解釈ができて、まるで歴史の傍観者のような書き方をしているのは今の作家になかなかいない存在です!」
「そうね。今の新書ものってなんだか安易なタイトルで誘って内容を読んだらすごくつまらないものに成り下がることなんてザラですしね。それに書いている内容だって、それほどいいことを書いていない。まるで自分の考えが正しいと言わんばかりの内容をダラダラと書いているだけ。そんな本が乱造しているのはあまりいい本が出てこなくて困るわ。」
「わかりますわかります!まあ、市場の10%しか良書があってもその良書も信用でいませんからね。今の評論家という概ねの人たちは見る目がないというか金の亡者というか、ちゃんと見れる人がいないんですよ!」
「そうでもないと思うわ。確かにメディアに出てくるような人たちは見る目がないというの意見には賛成するけど、そうでない人たちだって信用できる人がいる。それこそ市場10%しかいない信頼できるものっていうのが見つけ出すのが難しいというのと同じくらいに信頼出来る評論家も見つけ出すのが難しい。問題はそのマスコミ関係の人たちの目が節穴になったっていうこと。もし、批判の目を向けるのであればそこに尽きるわ。」
「確かにそうですが。」
「まあ、わかるわよ。あなたの気持ちもね。面白いものを見つけ出したいというのに面白いものが専門誌にもないネットにもない。今の情報網は発達はいったけど、どうしても自分が求めた本当に面白いっておもう物とみんなが面白いっておもう物が違うっていうのは辛いものがあるわね。」
「質のよいものを求めて行ったら必然的にこうなることも分かっているんですがね、でもそうしてこんな風になちゃうんですかね。」
「恋愛と同じなんじゃないのかしら。みんながおもうものっていうのが誠実紳士なイケメンであるのと正反対に質実剛健の人を好きになっているあなたは巷にあふれる合コン情報誌を漁っても自分の好きなもにありつくことはできない。それと同じように好きなことが否定されたような気がする。否定されて否定されて、ダメになってダメになって、それでも好きなものがあるからこうやって話をすることもできるし、質の良い話もできる。だから、いいのよ。こういう本を読めるっていうのはね。」
「励ましてるんですか?」
「そうでもないわ。まさか、ここまで知っている人がいるだなんて、思いもしなかった。」
「え?」
 その時みさきは疑問に思った。
「どうしたの?」
「いや、あなた、私にパフェをおごってくれたんじゃ?」
「なんのこと?」
「え?」
 みさきは唖然とした。今までの無駄に構築された推理推論が全てが崩れた。もし仮にあの青年がパフェをおごってくれたのだとしたら、なぜこの人に合わせるように仕向けたのか。また、仕向けたのが自分の都合で、なんらかの意図があったのだとしたらどのような意図がある?単純にパフェをおごってくれたのであればそのおごられた経緯を話せばよかった。幸い、まだ金は払っていない。
 みさきは青年の方を向いた。青年は会計を済ませようとしていた。
 みさきはその彼を食いるように掴んだ。
「逃がさない!金を払わせろ!」
 みさきは青年を腹辺りを強く掴んで虎の牙のように話そうとしなかった。
「なんですか!僕はパフェをあげてないとさっきも!」
「しらばっくれてんじゃないわよ!さっさと払わせろ!」
 鬼神のようなみさきの目つきが青年の視線に集中した。本来であれば逆にお礼をしなくてならない状況だというのにみさきはそれを仇で返す勢いで支払いをしようとした。
「ぼくはやってない!」
 マスターもその状況を察知して近づいて
「本当です。彼払っていない。」と諭すようにいうとみさきはみさきは声高々に言った。
「うるさい!誰でも彼でもすきになれる権利なんて誰にも持ち合わせていない!したがって彼が好意で行なったパフェのおごりという暴挙もこの権利がない限り私の法律では施行されない!」
 何を言っているのかわからないであろう。このばにいる人全てがわかろうとはしなかった。解っている真実はただ一つ。このみさきという女は誰にも借りを作ろうとはしないのだ。
 マスターはため息をついて、ぽつりと言う。
「私が頼んだんです。」
 そういうとみさきは動きを止めて、マスターの方を見て言った。
「なんで?」
「は~。常連さんがね、ただただあそこで何時間も休日を過ごしていると思うとね、なんだか面白くないと思ったからなんです。あなたの知らない世界がここで行われているというのにあなたは知ろうともしない。ただただあぶく銭のように時間を浪費をしてね、その優越感に浸ろうとする気持ちもじゅうぶんにわかりますよ。でもね、こういう不可思議なネットワークが自分の見えないところで行われているっていうのは面白いものですよ。ものがものだけにね、見えないからこそ知ることができなという大昔にノスタルジックに感じるよりもね、こんなふうな形で見える方が常連にとって良い買い物ができると思った次第です。どうか、その青年を責めるを許していただければ幸いです。」
 

 その後、青年は会計を済まして岐路に立った。店内には女4人とマスターだけが取り残された。みさきは思った。このようなネットが張り巡らせれているような世界が自分の周りにもあるのではないか。

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頼んだ覚えのないパフェが届いて主人公みさきはパフェを頼んだ人を探そうとする物語です。

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