いるかのほし26 ポコと天使

ポコと天使

 ここに生クリーム入れるの考えた人、偉いわ・・・!

 ポコは、午後6時、これから夕飯を作るその仕事の為に、いつものように腹ごしらえをしている。
よくポコの母も、「なんでこんな時間に?」という、このタイミングで、ちょっとした甘いものを口にしていた。
 「今なら、わかるわ~~。私も同じことしてるもの・・・・」ただ、昔はきっと、生ドラはなかっただろうけどね・・・・・・。

 最近すっかりマンネリになりかけていた夕飯だったが、ネットのレシピサイトが救ってくれた。冷蔵庫の材料で検索して、その日の気分に合うレシピを選び、「食べたいな~~。」と気持ちを盛り上げる
それから作ると、不思議に一味違った、家族のわがままな舌にも多少はアピールする夕飯が出来上がるのだ。検索の手間はあるが、絶対この手順をふむ方が、結果目に見えて自分を含め満足度がアップする。
 今日もレシピはさっき決めた。手際よく集中して夕飯をこしらえて、テーブルをかたづける。

 テーブルの上、さっきの生ドラの空袋の側には、1枚のチラシがある。夕方、偶然に駅前の集会所の前に置いてあるのを見つけて、1枚もらってきたチラシだ。古新聞やダイレクトメールに紛れてしまわないように、ポコはそれを冷蔵庫の扉にマグネットでとめた。
 「虹色ライヤー・わらべうたの会:保育園ベルボックル」チラシには、そう書いてある。

 「昨日、美容院の雑誌で見て、気になっていたライヤーのこと。それを聞けるチャンスが、今日偶然に、見つかるんだもの・・・・。なんだか凄くない?この、保育園の場所も、近いんだよね・・・・。」行けってことでしょ!! 「来週の火曜日ね。」ポコは、その場で、カレンダーに丸をつけた。

 クモク島でウミガメに偶然遭遇してから、ポコは気分がすっかり軽くなっていた。明るく、軽く、まずは動いてみよ!!そんな風に思えてきたし、マイナスに感じる何かも、もしかしたらプラスへの助走かも、思いこまないように、気持ちを持ってかれないように・・・・。自分の見たうしろむきの砂地獄の夢の中での決意も、ポコの新しい支えになっていた。
 ピコからはクックのコインのサインの話しを聞いた。それは、ピコの夫さんオカキの気づきで、5年前に不思議に気になった仙人の存在と結びついたりして、色々なことが何か今までと違う歯車に乗って、ゆっくりではあるが動き出している気配があった。

 何か、始まってるんだ・・・・。カレンダーの丸印を見ながら、ポコはそう思った。「ただいま~。」カタロに続いて、ミーコも帰ってきた。
さあ、夕飯。今日のメニューは、チキンロールのバター醤油ソースと、ししゃものリンゴ酢焼き、茹でキャベツの塩ガーリックサラダに、ミーコには欠かせないスープも忘れずに付けた。

いるかのほし26 ポコと天使

いるかのほし26 ポコと天使

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2015-05-28

CC BY-NC-ND
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