非日常に潜む人材

星空文庫初の掲載です
まだチャプター1までしか書いていませんがこれから話はまだまだ続きます
是非読んでください

プロローグ

「就職氷河期か……… えぇっと鍵、鍵」
鍵を探しながらエレベーターを出る
すると、白いダンボールが自分の部屋の玄関前に置かれているのが見えた
そして黒いダンボールで頑丈に蓋が閉じられていた
「はぁ……… また母さんの蜜柑か」
今にも切れそうな古い蛍光灯の点滅する弱々しい明かりが俺の全体像を照らしていた
箱を両手で持ち上げてみるとかなりの重量が全身で感じられた
思わず「重っ!」と口にしてしまう程だ
俺は噛んでいた肩がけバックのファスナーを開け、中から鍵を取りだした
扉を開け、ダンボールを居間までよろめきながら運ぶと中かなガチャリ、と言う音がした
バックをソファーに投げて袖を捲りビリッとガムテープを勢いよく剥がしていく
宛先も書かれていない奇妙な蓋を開けると俺は言葉を失った
数秒間、息すらできなかった
「………」
黒光りする長い物……… 銃器だ、確かに銃器だ
どうやら形状からして軽機関銃(ライトマシンガン)のようだ
その側には何本かストック用のマガジンがいくつか添えられていて、完璧本物の造りとなっている
趣味で何度かサバイバルゲームを体験したことはあっても実物に触れたことは一度もない
それから一枚の紙切れと一本のビデオテープが置かれていた
「汚ねぇ字……… わざとこう言う感じで書いてるのか?」
まるで子供が悪戯で書いたような書体であるメッセージが箇条書きで刻まれていた

・コノじゅうは五十嵐 雄平、アナタのモのデス

・アナタはオシゴトでお困りのようデすね?

・ソコデ、良いシゴトありますヨ?

・こちらが指定したターゲットとヨバレる相手をソレを武器にコロシテください

・コロセバ自動的にアイテの人間的価値ニヨッテホウシュウキンが貰えます

・サンカスル場合は下に明記してある電話番号におかけクダサイ

・ソシテ参加をセンゲンすればソコカラ詳しいことガツタエラレマス


俺はその紙切れを眺めたまま静止していた………

金欲と言う名の敵わぬ相手

俺はビデオテープも拝見した
液晶画面に現れたのはスーツ姿の髭を生やした男だった
黒いサングラスをかけていて自分の前の机に両肘を着いている
男の後ろの赤い壁には一輪の百合が描かれた絵画が額縁に飾られていた
「私の名前は桐島と言う よろしく」
怪しい営業スマイルを振りまく
「五十嵐君には紙に書いてあった通り、我々がターゲットと呼んでいるとある人間を始末して欲しい」
それがこの闇の仕事の内容ってことか………
「君の家には銃器が包装されて届いているはずだ それと、もし抹殺に成功したら勿論報酬金を与えよう」
いくらだ?しかし、こんな犯罪行為で金を手に入れるなんて………
「最低でも一回の仕事につき50万円はやるつもりだ 仕事の依頼はランダムで訪れる だから君の仕事日は定期的ではない」
ランダムに適当な日に連絡が来るってことか
「対象者は何をするか分からない 基本犯罪者だが凶器を常備している可能性も充分にある」
このまま腐っているよりマシかもしれない
しかし、俺は殺し屋みたいな真似をして自分の命を顧みず動くなんて考えられない
50万円……… 対象者によってはもっと高額な報酬金が手に入る
「君にはやってもらうよ、じゃぁ依頼が来たら連絡するよ」
ちょっ、強制?!無理だ、俺に人を殺すなんて!
待て待てどうする?何故、俺なんだ?ランダムに選ばれているのか?
抽選なんかで勝手に決められたとするならば相当の不幸者だ
やらなきゃやられる、金は莫大、今のフリーター貧乏生活からは抜けられる
だけどそれはあくまで仕事に成功し続けたらの話だろ?
今までにない鼓動の動き方を感じる やたら速いし不規則に動いているようだ
変な汗も滝のように流れる 手足が震えている
呼吸が乱れ、不調を感じた俺はそっとテレビの電源を消した


アロエヨーグルト、ハムと卵で作ったサンドウィッチ、野菜ジュース、あらびきウィンナー
今日の朝食だ 本当だったら今日もハローワークへ向かう準備をしているはずだ
でも、もう違う 朝一に会社の方に電話をかけると既に依頼があった
対象者は30代後半の麻薬密売人 池袋を拠点として裏で売買をしている
何度も警察の目から逃げてきたハツカネズミだ
今、腐れ切った若者たちの間で流行っている合成麻薬を売って大儲けをしているらしい
警察がどうにかしろよ、と嘆きたくなるのが本音だ
男は墨田と言う偽名を使っているらしい 墨田は暴力団との交際があり、拳銃を常に隠し持っているらしい
俺は青いYシャツにジーパン姿で必要な物だけ持ち家を後にした

天候は非常に良く、太陽がぎらついていた
都会が一瞬、南国の島国にも思えてきた
それから俺は交差点の人の群れを眺め、自分自身の存在の小ささを強く感じたのだった

非日常に潜む人材

色んな人から感想、問題点何でもいいので欲しいです
読んだらちゃんとコメントくれたら嬉しいです
必ずそれをめあすとして書いていくので評価、コメントはお願いします!

非日常に潜む人材

一人の職探しに悩む男 五十嵐 雄平 彼が家に帰ると白いダンボールが置かれていた それには物語の全てが詰まっていた

  • 小説
  • 掌編
  • アクション
  • サスペンス
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2012-03-18

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted
  1. プロローグ
  2. 金欲と言う名の敵わぬ相手