なにをいっているかわからない
言葉が頭のなかをぐるぐる回わっている
何回も同じことをくりかえし
もとの地点にもどり
またどうどうめぐりがはじまる
限りなく膨張する鉄の部屋のなかで
言葉がめぐり冷たい壁に反響し
なにをいっているかわからない
部屋に窓はなく
外の音は入らず
内の音は外にもれない
孤立した妄想は現実か
思いは頭で共鳴する言葉のなかにある
外の人はその声を聞きたいけれど
やっぱり聞こえてこない
真実に触れたい
目を合わせ
喉から発する声で空気を震わせて
この鼓膜に響いてほしい
宙に漫然と浮いて
重さと方向性をうしなった
入り組んで絡まった言葉の糸の塊
解きほぐして
その糸で
一つの手袋に編んでほしい
だれでも身につけられる手袋に
なにをいっているかわからない