いるかのほし26 ぼく2

ぼく2

 「あ、あの・・・・・。ごめんなさい、ぼくの名前のこと・・・・・。」
GGったら、先に連絡事項の説明を続けざまに伝えてきて、もう、ぼくは自分の名前のことで、頭がいっぱいなのに、わかってくれないんだもの!!!

 「名前って、自分で決めていいものなんですか?」
 「おお、それは、決めてもいいもんじゃよ。」
 「じゃあ・・・・。すんごいかっこいいのがいいです。えっとお、ジェットとか、サンダーとか、ストームとか・・・・・・。ファイヤーとか、・・・!!」

 「うう~~ん。遊園地の乗り物みたいじゃな・・・・・。こんなのは、どうじゃ? サスケ、ライダー、ゴクー、アグー・・・・。」

・・・・・・、なんか、きっと、違う気がする・・・・・。名前って、深く考えちゃあだめなんだって。じゃあ、目をつむって、10数えたあと、1番に浮かんできたのにするよ・・・・・。1,2,3・・・・・・。

 「☆! うん?・・・・・カルイ・・・・・・?」
 「・・・・・・・って、反対から読んだだけじゃあない・・・・・・。うう。でも、しかたない。決まり!!!ぼくは、かっこいいいるか、あおいほしのカルイ!!!!」

 「ささ、自分のことはそれくらいでいいかの?よかったの、カルイよ。

 あおいほしではの、全ての物に名前があって、それぞれが別れ別れになっておるわ。それは、自分の中を映すためでもある。お互いがお互いの鏡になって、見えにくい自分の内の世界を、大きく外に映しだすためじゃ。そのために、たくさんに別れてそれぞれが名前を持って存在しておるわ。

 おまえさんも、初めに気が付いたように、ここは周りの全てが、自分に体感を持って影響してくる。濃い世界じゃ。濃いからこそ外と内の区別が、あいまいになるのじゃ。
 みんな、「楽しさ、苦しさ、心地よさ、嫌な感じ。」などの体感につかっ まているうちに、自分の枠を見失ってしまうのじゃ・・・。自分で手いっぱいになってしまって、気が付くと強烈に影響してくる、自分以外からの存在の映しを、まるで「自分自身」のように錯覚する。勘違いしてしまうのじゃな。自分は相手の「鏡」の役目をしてるだけなのじゃ。「鏡」は役目であって、それが「自分」なのではないのにじゃ。そのことは、とてもやっかいなことなのじゃ。

 ・・・・・・、今回、あおいほしの3万3千億回の循環の間に、その錯覚が行きすぎたせいもあり、新しい循環への脱皮を、わしたちが手伝うことになっておるのじゃ。錯覚しているにんげんが、多すぎるとこまるのじゃ。バランスが壊れて、大変なことになるからの。

 名前は、大事なお守りじゃ。錯覚をコントロールする役目を持っとる。名前は、外に向かって自分を発信する時と、外から自分に向かって発信される時の、両方で使われる。自分の内と外の境目、自分の「枠」にあって、自分を守るものじゃ。」

・・・・・・、ふうう~~~ん。長いなあ、GGのお話し・・・・・。でも、大事なものなんだね。きっと、名前ってね。

 「さて、これから、面白いことがはじまるぞよ。カルイに、見せよう・・・・。大切なものじゃ。」

 GGの言葉を聞いたとたん、ぼくは、気を失ったみたい。ああ、夢だね。これ。

 ぼくの見た夢はこんなだった。

 とっても不思議な夢なんだ。それは、このあおいほしのことだったよ。
夢の中で、あおいほしは、どらやきになってたよ。ふわふわのカステラ生地がおいしそうなあんこをサンドイッチして浮かんでいるの。あんこは、はみだしそう。カステラには、顔がある。1つは、笑った顔。もう1つは、泣いた顔。よく見ると、あんこもひとつぶひとつぶ顔がある。みんな、くちをまっすぐにつむってる。

 おいしそう!!!ぼくは、巨大なおおいるかになっていて、ああ~~~~~んって、食べちゃおうとした。と、その途端、どらやきは、バラバラのつぶつになって、うわ~~~~~~と散らばったの。てんでばらばらに、すごいスピードで!!!

 と、そこで我に返ったぼくは、「おいしそうだったのに!!」って、ほんとに思ったの。・・・そしたらね、お腹が、ぐうううーーって鳴ったんだ。

 ・・・・・・・、と、その時ね、ホントにどらやきを食べていたのはポコだったの。ポコは、夕飯つくりの前の腹ごしらえに、大好きな「生ドラ」なるものを食べながら、また、ぼんやりしているようだったよ。

いるかのほし26 ぼく2

いるかのほし26 ぼく2

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2015-05-27

CC BY-NC-ND
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