いるかのほし25 ぼく

ぼく

 「おお、気が付いたようじゃな・・・・・・・・。第1関門、無事突破じゃ!!えらいぞ。」
のどの奥の「言葉」が、GGからのつうしんだって、ぼくたちみんなで一緒に気が付いたの。そう、「自分」なんじゃなくね・・・。

わあ、GGがほめてくれた。初めてじゃない?

「おまえさんがたが、とうめいないるかぼしに残してきた、分身のメモリーファイル。覚えておるじゃろ。あれを通してつうしんしているぞよ。ひとまず、良かった。中には、あまりに密度の濃くなった自分に手いっぱいになって、外からのつうしんと、自分の身体からのしんごうの区別が、つかなくなるものもおるでの・・・・・。まあ、しかたのない話じゃがの・・・・。」

・・・・・。無理もないよ・・・・。ぼくたちは、7頭いっしょだったから、まわりの仲間の反応を自分の鏡みたいできたから。GGが、つうしんしてきたとき、他のみんなも、「あれ?」って顔したよ。だから、気のせいじゃないって思えたんだ。でももし、ぼくが一人でこのほしに来ていたら、きっと気が付かない。自分の中って、外に映せない。確かめようがないからね・・・・・・。

「さあ、どうじゃな。あおいほしの海は。素晴らしいじゃろ。」

ぼくたちは、返事の代わりに、7頭で輪になって、ぐるぐるっと回転して泳いだあと、空をみあげて「コォゥワっ」と鳴いたんだ。楽しいね。
空気に響かせて、こんな歌だって歌えるよ。

「そうか、そうか・・・。さあ、では、はやいうちにとりかかるとしよう。また、遊びすぎると、忘れてしまいそうじゃからの。はっはっはっっ・・・・・・。」

「さあ、ここからは、1頭ずつ別々じゃぞ。よく聞くように。」
ぼくは、ワクワクして、心を澄ませたよ。

「おまえさんにはの、こちらで準備をしておいた2人の姉妹を担当してもらうぞよ。名前は、ピコとポコ。こんなにんげんじゃ。」

と、ぼくの頭の中が一瞬夢をみてるみたいな感じにふいっとシャッフルしたようになって、まずピコの顔が浮かんできた。
かわいいまるぺちゃな感じ。なんか、くらげマットみたいなふわふわなものを、一生懸命ころがしてるよ。
それから、ポコ。それまめのスポンジ?ああ、へちまって言うんだって。そんな感じ。かたい箱を長い棒でつっついってる。おかしな2人だね。うん、了解。・・・・それで、どうするの??

「そしたら、お次は、おまえさんにも、名前が必要じゃな。自己紹介できんじゃろ・・・・。さあて、何がよいかな・・・・・。」

「名前?名前はいるかだよ?大好きな、名前だよ。ああ、他のいるかと同じになっちゃうからだね・・・・・。うう~~ん。」

「まあ、そのうち、おもいつくじゃろ。この2人には、前もって準備をしておいた。ピコは、子供を通じてサインを送ってある。ポコは、クモク島で、うみがめからサインを送った。2人共、すでに「見えるものだけが全部ではないのかもしれない。」と、うすうす感じておる。だが、ここからは慎重にせにゃならんぞ。」

GGは、どんどん説明を進める。ねえ、ぼくの名前、どうなったんだよ!?

いるかのほし25 ぼく

いるかのほし25 ぼく

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2015-05-26

CC BY-NC-ND
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