いるかのほし24 何かいる?2

何かいる?2

 うおぉおおおお~~~~んんん・・・・・・・・・・・・。
 
 ううぃぃいいいいいいい~~~~~~ぃぃぃいいんんん・・・・・。

あおいほし(ちきゅう)の海溝に開いた、ワタツミサンシンとGGがつないだとうめいトンネルを抜けた、ぼくたちとうめいいるか。
いるかのほしを150頭で出発したけど、みんな別別の持ち場に分かれたようで、気が付いた時には、7頭の仲間といっしょだったよ。
ぼくたちは、とうめいいるかじゃなくて、あおいほしのかっこいいいるか、になっていた。

 海の底を抜けて、徐々に海の中ほどへ上がり、見上げると、きらきらゆらゆらとした、光が見えてきたよ。

 ふいいいいぃ・・・・・・・・ん・・・・・。・・・・・・・・・ちゃぷんっ!!ちゃぷんっ!!・・・・・・。

 うわあ!!   外だ!!   外だ 外だ!!!!!

 これが、風??  これが、波?????
 光!!  ああ、太陽だね!!!!   うわっ、まぶしい・・・・・・!!!

 ちゃぷん、 ちゃぷん・・・・・・・・!!!

仲間も、みんな顔を出した。ねえ、ぼくたち、頭の鼻で、何か吸い込んでるよ・・・。  ずうぅおっ!!  ずうぅおっ!!

 なにこれ!!  空気??!!!!

もう、なにもかもが、初めてで、まだぼくたちは自分の身体に、しっくりきていないと言うのに、次次やってくる感覚に目がまわりそうになったよ。 

これなんだね、あおいほしから帰ってこれなくなる理由・・・・・・・・。
まだ、ほんの少ししか、ここに来て時間はたっていなかったけど、十分にその理由がぼくには解ったような気がしたよ。

海水、海流、波、光、空気、音・・・・・・。

あおいほしの中の、ひとつひとつが、全部ぼくのからだと、おしゃべりするんだ。全部、全部が、だよ。
水の粒粒、光の粒子、さざ波も、糸のような風も・・・・・・・。
だからなんじゃないの、自分を忘れてしまう程・・・・・・・。全部のおしゃべりをいつまでも、聞いていたいよ・・・・!!

ちゃぷん、ちゃぷん、と、仲間と波に浮かんで、ぼくはぼんやりと漂っていたよ・・・・・。

「ぅおぉぉぃい・・・・・・。そろそろぉ~~いいかぁのぉ・・・?あおいほしのいるかさんがた・・・・・。聞こえるかのぉ~~???」

うん??何??今度は外じゃなくて、自分ののどの奥に、何か浮かんでくる「言葉」があるよ・・・・。
これって、ぼく?自分が思ってるの??かな・・・?

「おうおうおう・・・・。ちがうじゃろ。しっかりせい!!!おいおい。おいおい!!!!」

うん??何?何かいるの???

ぼくは、自分ののどの奥に「言葉」があるって、それって自分だって、思っちゃうんだけど、だって、自分の、のどの奥だよ。だったら、自分でしょ???

まわりの6頭の、仲間も、みんな、「あれれ?」って顔してる。「う~~ん。なんだろ、よくわからない・・・・・・。」

・・・・と、そのとたん、空に雲が現れて太陽を隠したと思ったら、ぽっかり穴が開いて、そこから光が一筋きらんきらん回りながら射したんだ。

「こらこら!!いいかげんにせい。わかったか?」と「言葉」。

「ああ!!!トンネル、そうだ、GG!!!」
「GGですね??この「言葉」GGからの、通信ですね!?」

ぼくたちは、みんな一斉に我に返って、「そうだ、自分たちったら、宿題やりにきたんだった。」って、GGとの約束を思い出したんだよ。

いるかのほし24 何かいる?2

いるかのほし24 何かいる?2

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2015-05-25

CC BY-NC-ND
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