死神さんの女神様⑤
第5話です☆
退学の危機!?
「よし、かけた!」
国語の授業。
私が大好きな物語製作の時間っ!
「見せてー♪」
あれから席替えをして、私は偶然にもリンちゃんとナツちゃんに挟まれ、前にはルリちゃんがいる という形になった。
「いーよっ!」
「へぇー。出だしは『時が過ぎ、卒業式の日がやってきた。』か。あれ?でもこれ、最終話みたいだねー。」
「うん、まぁね。その続き読んでみて!」
「え?うん」
『時が過ぎ、卒業式の日がやってきた。
こんなにも早く時が過ぎたのには訳がある。
それは3年前–––––––––』
「あー、こーゆーことか!時をさかのぼるのね。」
「そう!」
私たちが喋っていると、隣のリンちゃんが
「ねぇ、私にも見せて」
と声をかけてきた。
不思議に思ったが、『いーよー!』と普通に手渡す。
するとリンちゃんが–––––––
ビリビリビリビリ
「え!?ちょ、なにするの!?」
「こんなの、読者からしてみたら最初戸惑うわ。続きを読む前に読むのをやめるわよ。そんな物語、いらない。」
「そんな……」
「ひどいよ!ティナちゃん、頑張って書いたのに!」
「頑張った?これで?貴方が言う頑張りってこんなものなのね。小さい人。」
「っ…」
「リンちゃんっ!!」
「騒がしいですよ!」
「すみません…」
リンちゃんが…こんな事するなんて…。
実力がないのはわかってる。
でも–––––––。
私は教室を飛び出した。
「どこに行くんですか!ティナさん!」
先生の私を呼ぶ声も聞こえない。
いや、聞こえてた。聞こえてたけど聞こえないふりをしていた。
どこをどう走ったのか。
気づくと見知らぬ場所についていた。
陽当たりがよく、春先の風が気持ちよく頬にあたる。
「ここどこだろう…」
「あ?なんでお前がいんだよ!」
「ケ、ケイ!?」
「あ、お、おい!」
ケイの後ろからスタスタとやってきた女の子。
それは–––––––––
「リン…ちゃん…?」
「私の事知ってるの…?」
「え?当たり前じゃん。隣の席でしょ」
「私、貴方の事知らない…」
「ケイ!どういう事か説明して。」
「…わぁったよ」
ケイはしぶしぶというように私に話を始めた。
「お前のクラスにいるこいつと似ている奴は、リンじゃねぇ。本名はシホ。…俺らが送り込んだスパイだ…。お前を監視するための…。
そいつの能力は、化けること。誰にでも何にでも化けられる。そんな能力を持っている。
この前、お前が立ち去った後アリーナと前々から決めていた作戦を実行した。
それが、お前を騙すこと。
契約とか本当はない。
でも俺は、本当にお前と契約したいと思っている。
俺を許して、本当の契約を結ばないか。」
嘘だ………………。
ケイが私を…騙した…?
そんな…。
「…よ…」
「ん?」
「嫌よ!嫌嫌嫌嫌!もう誰も信じないからっ!」
私は駆け出した。
もう、嫌だ…。
誰にも
会いたくない。
死神さんの女神様⑤
次回も読んでくださいね!