綺麗さと乱れた君

百合です。
意味わからん文章です。

1話「君の告白」

「みちる。あなたのことが好きよ」
 
 教室には誰もいなくなった放課後。
 そこにいたのは加世と私だけ。
 そんなとき、加世は私に告白をしてきた。

 驚き暇もなく、加世は小さく私の名前を呼び、
 私の制服を引っ張り、私の唇に唇を重ねてきた。

 それは、キスだった。

 加世はそっと遠のくと、
 にっこりと笑顔を見せた。

「……みちるの唇、やっぱりやわらかいね」
 
 そう言って、加世は自分の唇を綺麗な指でなぞった。

 加世は綺麗なな女の子だった。
 誰にでも優しく、品があり、それなのに飾らない人柄。
 誰もが羨む人だった。私はそんな加世と友達になれたことが嬉しかった。
 
 私も、加世が好きだ。
 だけど、加世は私の好きとは違う好きという感情を私に抱いているらしい。

「……加世。私とはどうなりたいのかな」

 私は、その気持ちで私とどうしたいのかがまず、気になった。
 友達が同じ性別である私に異性に抱く気持ちを抱いていることや、
 その気持ちを突然言ってきたことへの疑問などではなく。

 加世は少し考えるような素振りをしたあと、
 遠のいた距離を詰めるように、近づいてきた。

「私はみちると恋人になりたいと思ってるわ」

 近い距離で私の目を見て、
 強い目力で瞬きすることなく真っ直ぐと言った。

 どうやら、告白をし、キスをしてきた加世は私と恋人になりたいらしい。

 それもそうか。そうだから告白をしてきたのか。
 友達じゃ、いたくなくなったから。
 そう思ったから、本当の気持ちを言ったのか。

「……私が加世とは友達とでしかいられないと言ったら……どうするの?」
 
 加世は考える素振りをやめ、
 呟くようにすっと言った。

「そんなの、私のものにするだけ」

 近かった距離をさらに縮め、
 私の制服をめいっぱい引っ張り、抱き寄せ、
 さっきのキスとは明らかに違う、深いキスをしてきた。

 唇が重なったち思いきや、
 その中から舌が絡まり、私の舌も彼女の唇の中へと。
 どんどんお互いの唇が絡まり合う。
 
 少し息苦しくなったと思っい、加世の制服を少し引っ張った。

 すると、唇は少し離れ、加世の吐息が小さくかかる。
 私より身長の高い加世は私の顔を眺めるように、目をそらすことなく、
 離れたと思った唇がまた重なった。

 私の視界は加世だけになった。
 
 それは数分も続く、深いものだった。
 息もままらなくなり、変な声もでる。
 それすらも許されないほど、加世は私の唇に何度も唇を重ねた。

 最後にはそれから、加世の必死さを感じた。
 加世は、ずっと想っていたのだろうか。
 私のことをいつから好きになったのだろうか。
 どうして、告白をしようとしたのか。
 それまで、加世はこの気持ちをどうしまっていたのだろうか。

 あの綺麗な加世が、
 私の前で、私で、必死に私にキスをしている。

 私は加世の今までにみたことのない必死さに。
 綺麗な顔が少し乱れる表情に、
 不思議な気持ちを抱いた。

 キスは拒もうと思えば、拒めたと思う。
 告白され、キスをされる前までは加世を友達としてしか見ていなかったし、
 友達として好きだった。
 
 たしかに私は友達だった。
 告白をされ、キスをされる前までは。

 そして私は、そんな友達を破ってまで、こうして私を求める加世に、
 ――興奮したのだろう。
 
 加世の白い肌がほんのり赤くなったのに気付いたとき、
 私へこんなことをしていることへの、少しは照れなどがあるんだな、と。

 キスが終わったとき、加世は初めて、私に涙を見せた。

 加世は綺麗だ。
 それは今まで誰にも触れられなかった綺麗さ。

 そんな加世に触れた。
 誰も触れなかった綺麗さに触れることができた。
 綺麗な顔が乱れ、涙を見れた。
  
 告白の最初こそ、余裕さがあったものの、
 キスを必死にやったあとはやはりギリギリのところだったようだ。

 何も言わず、涙を流す加世に私は言った。

「……キスをありがとう。私、加世と恋人になるよ」

 加世の告白に承諾の返事をした。
 
 

綺麗さと乱れた君

綺麗さと乱れた君

綺麗な子とその友達のお話。 百合になります。

  • 小説
  • 掌編
  • 恋愛
  • 青年向け
更新日
登録日
2015-05-23

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