写真立

 花飾りのついた写真立にあなたの寝ころんだ写真を入れてみる。
 眠そうに、気持ちよさそうに。
 殺風景な部屋に、少しだけ私を落ち着かせる。

 これはいつのものだったのか、記憶を辿ると、
 もう、1年くらい前の出来事。
 なんだか少し顔つきが変わったみたい。

 私はまだ変われず、音が聞こえなくなって、言葉が見えなくなった。
 悦楽すら理解できず、退廃して、
 やめてしまいたい、壊してしまいたい。

 私は苦しいのです、言葉が宙を舞えないことが悲しいのです。
 やめてしまえば楽なのでしょうね。
 それとも、まだ意味を求めています。

 あなたはもっと先を行きます。もうじき、見えなくなるでしょうか。
 飲み込んで、吐き出して、繰り返して、
 そして、凛としています。

 KLASSE Wにおさめたノスタルジックな喫茶店には
 テーブルの上で揺らぐ灯と、サイホンで淹れたコーヒー。
 映画のワンシーンのようで、意識が溶けていく。

 時を切り取って小さな枠に保存しようとも、そのままではいられない。
 秒針は鳴り止まないし、星は消えて、また沈んでいく。
 心地よい重低音だけではいつか息苦しくなるように。

 あなたに追い付くことはきっとできないでしょう。
 あなたと同じ本を読んでも、孤独を誤魔化してるうちは。
 写真立を伏せて、余韻に浸り、私はこの詩を書き終えます。

                
 

写真立

写真立

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2015-05-23

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