写真立
花飾りのついた写真立にあなたの寝ころんだ写真を入れてみる。
眠そうに、気持ちよさそうに。
殺風景な部屋に、少しだけ私を落ち着かせる。
これはいつのものだったのか、記憶を辿ると、
もう、1年くらい前の出来事。
なんだか少し顔つきが変わったみたい。
私はまだ変われず、音が聞こえなくなって、言葉が見えなくなった。
悦楽すら理解できず、退廃して、
やめてしまいたい、壊してしまいたい。
私は苦しいのです、言葉が宙を舞えないことが悲しいのです。
やめてしまえば楽なのでしょうね。
それとも、まだ意味を求めています。
あなたはもっと先を行きます。もうじき、見えなくなるでしょうか。
飲み込んで、吐き出して、繰り返して、
そして、凛としています。
KLASSE Wにおさめたノスタルジックな喫茶店には
テーブルの上で揺らぐ灯と、サイホンで淹れたコーヒー。
映画のワンシーンのようで、意識が溶けていく。
時を切り取って小さな枠に保存しようとも、そのままではいられない。
秒針は鳴り止まないし、星は消えて、また沈んでいく。
心地よい重低音だけではいつか息苦しくなるように。
あなたに追い付くことはきっとできないでしょう。
あなたと同じ本を読んでも、孤独を誤魔化してるうちは。
写真立を伏せて、余韻に浸り、私はこの詩を書き終えます。
写真立