いるかのほし21 クックとコイン2

クックとコイン2

知らず知らずに、緊張がたまっってしまったんだ・・・・・。

「あまり眠れなかった」と、今朝もはれぼったいまぶたのクックは、朝ごはんをのろのろ口に運んでいる。

姉のココとは、まるでタイプが違うということは、もしかして、行くべき学校もココとは違うのかもしれない・・・。

ココはココらしく。クックはクックらしく・・・・。それが、ピコの願いだった。

好きなことには、圧倒的な集中力を持続させるクック。ちょっとマニアックな、誰にもマネできない特技もある。
昨日、部屋でおこづかいを数えていたのは、息抜きの趣味の、フェイクスイーツ作りのキットを、それでどれくらい買えるかと、計算していたのだろう。

これから、受験本番までの残りの半年を、どうやって乗り切ろうか、「眠れない」というクックのサインの深い意味を
見逃さないようにと、ピコは気持ちを引き締めていた。

その日の夜は、ピコはクックの帰りを待ちながら、なんとなくつけたテレビで映画の放送を見ていた。ココは、自分の部屋で勉強しているようだった。
「ガーディアンズ」というCGアニメーションで、見えない妖精に気が付くことができる子供がいて、協力して問題を解決する、という物語だった。

男の子が、妖精に気が付くきっかけとなる出来事。男の子の乗っていたスケートボードが暴走して、車道に飛び出し、あやうく事故をおこしそうになる。そこを、雪の妖精が助けるのだ。車とぶつかりそうになるのだけど、妖精の手の一振りで、スケートボードは車を飛び越えて大ジャンプ!・・・・・・と、そのあたりを、綺麗な画像にうっとりしながら、見ていたときだった。

「ただいま!!」クックが帰ってきた。
走ってリビングに入ってくるなり、「お母さん、今、車とぶつかりそうになってん。それで、自転車こけちゃってん。車の人、家の人呼んで来て、って言ってる。」と、そこまでを、一気に話した。

「ええ!!けがは、大丈夫??何があったん??」びっくりしたピコ。でも、幸いクックは、見たところ外傷はないようだった。
しかも、とても落ち着いている・・・・。朝のはれぼったさは、どこかに消し飛んでいた・・・。

とにかく、無事でよかった!!詳しくは、わからないけど、現場に急がなくては!ピコは、夫のオカキに電話しながら、クックと家を飛び出した。


いるかのほし21 クックとコイン2

いるかのほし21 クックとコイン2

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2015-05-21

CC BY-NC-ND
原著作者の表示・非営利・改変禁止の条件で、作品の利用を許可します。

CC BY-NC-ND