死神さんの女神様②
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第2話です☆
少年の正体
シニガミ…たしか、《それ》を見た人は死が近いとか。
本当のところどうなのかは正直わからないが、怖くないと言えば嘘になる。
そんなシニガミが学校に倒れていたとなると、あの場にいた全員死が近いことになるじゃないか。
みんなはそんなこと知りもしないみたいに騒いでいたが、死ということはみんなの名前から消え、存在が認められなくなるということ。
それほどまでに怖いことはない。
人間として産まれてきたからには寿命というものがあるんだろうけど、こんなに若くして死にたくはない。
「ん?どした、ティナ」
いつの間にか会いに来ていたリスとリーは、私の顔を覗き込みながら不思議そうに尋ねてきた。
あー、この2人もシニガミってこと知らないのか。
「あのね、リス、リー。あの人実はシ––––––––」
私がシニガミと言いかけると、なんだか猛烈な寒気がした。
言ってしまったらとんでもないことが起こりそうな…不吉な予感。
「?」
「シって何?」
「え?あ、その、シ…シ…シラスが好きなんだって!あはは…」
「はぁ?どうしたティナ?あの子に興味あんの?てか話したの?」
「え、あ、ま、まぁ、ね。と、友達?に聞いたの。」
「もう友達できたの!?」
そんなに驚くことか……なんてちょっと病んでから愛想笑いでごまかした。
こんな小さな普通の町に突然来たシニガミ。
どんな人だろう……。
どうしても気になった私は、リス達と別れ保健室へ向かった。
保健室に行けば先生から何か聞き出せるかもしれない。
「先生入るよー」
私は保健室のユカリ先生ととても仲がいい。
友達みたいな感じで、よく相談にのってもらったり愚痴を聞いてもらったりしている。
でも今日はいないみたいだな……。
なんとなく先生の席に座って、引き出しなんかをいたずら心で覗いてみたりする。
すると、一枚の写真と手紙が目に入った。
写真の中で、楽しそうにニッコリと笑いピースをしている男の子と女の子。
男の子はまだ幼さそうだけど、女の子は少し大人っぽい雰囲気を漂わせている。
そしてセンターには–––––––––––
「ユカリ先生…?」
なんでユカリ先生がいるんだろう。
結婚はしてないって言ってたし、もちろん子供とかもいないって…。
甥か姪か…。
すると、ドアがガラガラと音を立てて開いた。
先生が戻ってきたのか。
私はなぜかとっさに写真をスカートのポケットに入れた。
「あれ?ティナちゃんじゃないの。そんな所で何してるの?」
「んー?別にー?先生の机見てた(笑)」
「もー!何も取ってないでしょうね?」
「へ?と、取るわけないじゃん!」
「なに動揺してるのよー。何か取ったんでしょー!」
「取ってないってばぁー」
私はスカートを気にしながらゆっくり立ち上がりドアに近づいた。
がチャリ
すると先生が、保健室のドアの鍵を閉めたんだ。
今思えば、さっき感じた不吉な予感はこれだったのかもしれない。
それを疑わなかった私は、バカだったのかも。
「スカート気にしすぎよ。分かりやすいわね。」
「え…?」
明らかに、いつもの先生とは様子が違う。
「貴方、例の少年のこと気にしてるんでしょ。その為に保健室に来たけど私がいなくて、たまたま私の席に座って見つけた写真をスカートのポケットに隠してる。」
「!?」
なんでそこまで知ってるの!?
まさか、私をつけてた…?
「シニガミもシニガミね。そこに隠れてるのはバレバレよ。出て来なさい。」
ベットにかけてあったカーテンを勢いよく開けるユカリ先生。
シャーーッ
「ちぇっ。っだよ、もう少し楽しませてくれてもいーのによ。」
ストンとベッドから降りた少年。
その人は、倒れていて病院に運ばれたはずの噂の《そいつ》だった。
「アリーナ、もう演技疲れたんじゃねーの?」
「別に。慣れてるわ。」
「ユ、ユカリ先生…?」
「ププッ…。ユカリ先生?だってよ!爆笑もんだぜ(笑)(笑)」
「今は私の獲物よ。狙わないでくれる?」
「へいへーい」
「ったく。あ、驚かせてごめんね、私の本名はアリーナ。アリーナ・ルイよ。」
アリーナ・ルイ…。
ユカリ先生じゃなかったんだ…。
って、そんなことよりもっと気になるのは、なんでシニガミという噂の《そいつ》と普通に話をしているのか。
「なんでシニガミと話してるのかって?」
「えっ!?」
なんで思ってることがわかってるの!?
こ、怖い…。
「私はね、《こいつ》みたいに死期が近い人の前に現れてそれを知らせたり死んだ人の魂の管理をしたりっていう能力はないけど、人の心を読む能力があるの。」
「心を読む…」
もう何にも驚かない。
動揺もしない。
もうすでに驚きすぎていて、何に驚けばいいのかわからなくなっている。
「まぁいいわ。この手紙は読んでないらしいわね。」
「あ!」
写真と一緒に置いていた手紙を私の前に差し出すユカ…アリーナ先生。
しまった…。
「読む?」
「え?」
「いいわよ、読む?」
「読みます…」
「はい、どーぞ」
「ありがとうご–––––––」
「なんてね」
バサッと手紙を上に上げる先生。
その口元は、右斜め上に上がっていた。
「そんな簡単に渡せないわ。この手紙の内容は相当なもの。」
「どうしたら読ませてくれますか?」
「そうね、貴方が天界と契約し、《こいつ》とこれからの人生をパートナーとしてともにするというなら見せてあげてもいいけど。」
「天界と契約…?」
そしてアリーナ先生から話されたのは、手紙を読む為に私がしなければならないとてつもない契約内容だった––––––––––。
死神さんの女神様②
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