人魚姫

Mi

床下には、大きな水槽があって、僕は其処で人魚姫を飼っている。
魚たちがいつも、彼女の歌を聴いたり、遊んだりしている。
僕はそれを眺めて眠りにつく。
ある日、お姫様は泣き出した。
「こんな狭いところ、もう嫌だわ・・・・・・」
僕は何も答えなかった。

次の日からお姫様は、少しずつ小さくなっていった。
幾つもに身を崩して、そのかけら一つ一つにとっては広すぎる水槽に漂っている。
魚たちは、時折お姫様のかけらを口でつつきながら、泳ぎ回っている。
けれど、その内、水は濁り、魚たちは泳がなくなった。
水を濾過しては、お姫様のかけらが濾し取られてしまうから、
僕はすべての濾過装置の電源を切ってしまった。

お腹を見せて浮かぶ魚たちで水面は覆われてしまったけれど、
奥から楽しげに笑うお姫様の声が聞こえて、
だから僕は今もガラス張りの床の上に住んでいる。


今日は機嫌が良さそうだね。

人魚姫

今も、漂う・・・・・・

人魚姫

僕は人魚姫を飼っている

  • 小説
  • 掌編
  • 青年向け
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