死神さんの女神様①
新作です☆
読んでくれたら幸いです!
出会いは突然に?
春の風が心地よく吹く部屋に、一人で立つ私。
最も今は、家の中で自体一人なのだが。
窓を開けると、ものすごい勢いで飛び込んでくる風圧に負けそうになりながら、春休み明けの新学期初日を謳歌(おうか)する。
「ティーナー!」
「はーい!今行くー!」
朝の陽を浴び、明るく鳴く小鳥たち。
小さな町のはずれにたたずむ私の家は、花に囲まれた白い屋根。
『小さな幸せが一番の幸せ』
そう親に教えられてきた私は、ずっとこの家で暮らすと決めた。
それが、私の一番の幸せだから。
とは言っても、一生暮らすわけじゃない。
将来は、結婚し、子供を産み、家庭を築くであろう私に出来ること言えば、少しでも長く、少しでも早く親を安心させ、親孝行すること。
人が賑わう商店街を抜け、久しぶりに通う学校。
私、ティナが住む町、ランドールは小さな小さな田舎町。
その代わり、親戚や友達も多く、馴染みやすい。
小さな田舎町でも、住めば都だ。
「久しぶりだね、この学校ー。」
「そうだねー」
「よぉ!来てたのかー」
「あ!リス!」
小学生の頃からずっと仲良しの男友達。
名前はキース。通称リス。
リスが好きすぎて、暇さえあればリスの本を読んだり絵を描いたりしてるからそう呼ばれている…らしい。
私も詳しいことは知らないが(私が仲良くなった時にはもうリス呼ばわりされていたから)まぁそういうことにしておく。
ところで、さっき私を呼んでいた女の子。
いつもニコニコしている明るい性格で、誰からも好かれるタイプの子。
名前はリウ。通称リー。
『リウ』より『リー』の方が呼びやすいという単純な理由。
で、お待ちかねのクラス発表ボード前。
人混みの中、中学3年にして身長148の私には、到底ボードが見えない。
それに比べてリーは、157という高身長を見事に活かし、いつの間にか同じクラスらしき友達の所へはしゃぎに行っている。
はぁ…。
私がチビなの知ってるんだから見て欲しいものだ。
「ん?見えねーの?(笑)」
いたずらそうに笑うリスに少々イラつきながら、私は仕方なく頷いた。
「えーと、ティーナー…は…4組だな!」
「リスは?」
「俺は7組。ちなみにリーは6組みたいだな。」
「えー!じゃあみんなと離れるのー?」
「そういうことか」
ガックリと肩を落とした私を慰めるように、リスは『会いに行っからよ!』と私の肩を叩いた。
会いに来ると言われても、勘違いされたら叶わない。
正直、友達と言える友達がクラスにいない場合、ちょっと面倒くさいことは控えたいという気持ちもなくはない。
とくに恋愛関係でつっこまれるのはまっぴらごめんだ。
そんな私をよそに、ニコニコニコニコしながら私を見つめてくるリス。
いや、そんな見られても、何を求められてるの?反応?返事?喜び?
「ありがとー」
なんて言ってみても、なんかイマイチ。
「嬉しいなっ♪」
イマイチ。
それなら!と、
「毎日でもリスと会いたい!」
心にもないことを言ってみる。
すると…
「え、まじ!?いーぜ?俺は暇だし。毎日会いに行ってやるよ☆」
「わーい嬉しいなー(気づかれない程度に棒読み)」
てか、男って単純!!
しかもリスの場合、とんでもない勘違い野郎じゃないか。
私は、友達として毎日会いたい(なんて思わないが)ってだけで、べつに恋愛感情なんてありえない。
最も、私は今まで一度も誰か好きになったことなんてない。
それ以前にまず、恋愛感情というものがよくわからない。
好きって何?
一緒にいて楽しい?嬉しい?それなら友達もそうだ。
ずっと一緒にいたい?それは大切な人みんなに思うことで、特別な気持ちではないような気がする。
というわけで、私は恋がわからない。
みんなが言う『リア充』なんてのも、べつに羨ましくない。
だって私は、恋を知らないんだから。
それに、別にしてみたいなんて一度も思ったこともない。
一人の時間を恋に邪魔されるのは嫌だ。
将来家庭を築くなんてさっき言った気もするが、あれは仮定?の話で実際そうしたい人もいない。
まぁ、そういうわけで恋とか愛とか好きとかそんなのは私にとってはどうでもいいこと。
「あれ?なんの人だかりだよあれ」
「?」
前方に見えるのは、気持ち悪いほどの人の軍団。
『行ってみよう』というリスに連れられ近くに行ってみる。
「なんですか?」
「人が倒れてるのよー」
「人が!?」
それ、救急車呼んだ方がよくない?
なんて思ったが、私は基本自分から何かを言うのが苦手なもので。
「救急車は?」
「呼んだわ、もちろん」
ほら、こうなると気まずい。
でもリスは
「そっか。とりあえず保健室に運びましょう」
なんて話を続けている。
こういう人のことを、話し上手って言うのだろうか。
やがて救急車が到着し、倒れていた人(よく見れば以外とかっこいい少年)が病院へと搬送された。
そこから学校の雰囲気は最悪。
1日中その少年の話で持ちきりで、校長の話までその話題が出てきた。
でも校長は、不自然にその話題を止めたのだ。
横から教頭が出てきて何やら校長の耳元で囁き、驚いたような顔をした校長はすぐに話題を変えた。
教室に戻って聞いた話では、その囁いていた内容は–––––––––
『倒れていた少年はシニガミだった』らしい–––––––。
死神さんの女神様①
最後まで読んでいただいてありがとうございます♡
今回はすごく描きやすいです笑
次回もお楽しみに!