人気者だって色々大変なんだから!
登場人物
ジェイト
アメリカのセレブ高校(通称イケてる学校)に通う、17歳。学校では人気者グループのリーダ。ファッション、メイクが大好きな少女。
ルーカス
ジェイトのボーイフレンド。23歳のアメリカ俳優。熱狂ファンに付きまとわれている。
ハンナ
ジェイトのとりまき。チアリーダーで男子に人気。
ナディーン
黒人でいることを誇りに思っている。歌唱力が凄く学校の歌姫。
リンジー
ジェイトのいとこでジャーナリスト。ジェイトの秘密を知る一人。
キャサリン
両親が敬虔なカトリック。イケてるグループの相談役。
ファーテン
エジプトから来た交換留学生。キャサリンと仲がよくて、イケてるグループにいる。
1人気者
やあ、こんにちは。ニューヨークのセレブ高校(通称、イケてる学校)に通う、ジェイト、17歳よ。ボーイフレンドのルーカスは俳優、オシャレでハンサム。エキゾチックな彼に私はメロメロ。
イケてる学校では、私は人気者(そのなも、人気者グループの中のクゥイーン)。「君はチアリーダー?」いいえ、違う。パパがファッションデザイナーで、ママはスチュワーデス。両親ともに仕事が忙しいから家にはいないの・・・。パパとママとジェイト3人で暮らしいと思う。でもその想像はすぐに打ち消す。パパがデザイナーとあって、ファッションに凄く敏感。勉強は大学にいくために頑張っている―。休みの日は、ショッピングにパーティ。傍から見れば順風満帆の生活をしていると思われがち・・・。でも実際は悩みがいっぱい。学校の皆が思うジェイトじゃない。まさに悩めるティーンエンジャー。
2ルーカス
ルーカスとのデートは―ルーカスは家で夕食を食べているのが好きだから―いつも夜。私は、映画を観たり、ドライブしたり、レストランで食べたいのに。ジェイトは心のうちでつぶやいた。彼の料理は―赤いワイン―いつも決まっている。この事について疑問には思ったけど、聞けそうにないからすぐにその考えを打ち消した。きっと何か理由があるのだと自分に言い聞かせて。今夜の食事はフランス料理。コースは嫌いだけど、彼との食事の時のコースは別。ご飯を食べ終わったら、二人は夜のお楽しみ。うー。顔が真っ赤になっちゃう。
03/03/2012親愛あるダイアリーへ。
パパとママとはいつ会えるのかしら?去年の新学期から会ってない。本音を言えばもの凄く寂しい。二人にはいえないけど。ルーカスとのデートはいつも通り変わらない。いつになったら外でデートができるわけ?彼は最高な人だけど…。おやすみジェイト。
3ハンナ
玄関の鏡の自分の恰好を確かめる。今日もイケてる私。心のうちでつぶやく。腕時計に目をやると8時11分を指していた。ハンナが着くころね。外は晴れていて気持ちよかった。
ハンナが手を振ふりながらいう。「はあ~い!今着いたところ!」
車の中はハンナが大好きなシャネルの五番の匂い。私は香水が嫌いだけど、彼女の好みには口は出さない。「ルーカスとの進展は?」ハンナが質問する。
「特になし。彼って何考えているか分からない。デートでは、私はご飯・彼は赤ワイン。これっておかしくない?」
「確かに。彼に聞いてみたら?」
「聞けないよ。もしかしたら…」この言葉を言ってはいけない気がする。
「もしかしたら、何よ?」
携帯の着信音が響く。なんてタイミングがいいのかしら。ママからだ。「どうしたの?」
「パパが帰ってくるわよ!それとあなたに後で話さなければならないことがあるの。とても大切な話だから。じゃ学校終わったらね。」いつものママとは思えない慎重な声だった。
「ジェイトのママ?あなたのママは最高にいい人よね」
「ありがとう。あなたのママも最高じゃない」本当にハンナのママは凄い人。なんたって、レズビアン専用のファッションコレクションを開催した人なんだから。ハンナのママは、結婚して出産したけど、夫とは馬が合わなく離婚。そんな時友人の誘いでレズビアンバーに行ったら、こっちの世界もありかもって。ふと思ったらしく、ハンナのママはあの世界にまっしぐらしってわけ。どう?すごいでしょう?ハンナのママの行動は子に影響してハンナはレズビアに・・・。これにハンナのママは娘がレズになるとはビックリして娘と自分の将来のために今は元夫とよりを戻し普通の生活を送っている。しかし、ハンナの気持ちは変わらないわけよ。ハンナは、ママがレズじゃなくても私はレズになっていたって言うわけ。ハンナはチアリーダーで、男子からちやほやされている。当の本人はこのちやほやされるのが女子だったらいいのにと私にいつも愚痴っている。女子たちはハンナがちやほやされていて、妬んでいる。学校の皆は(私以外は)ハンナがレズってことには知らない。ハンナはブロンドに瞳はブルーで肌は小麦色。まさにチアリーダーって感じ。彼女の悩みはレズだってことを友達や学校の人に内緒にしていること、あとママのことも・・・。レズ世界で有名な母を持っているなんてとてもじゃないけど言えない。そのことを私にだけに打ち明けてくれたハンナは凄い人だと思う。
「で、話ってなに?」トルココーヒーを一口飲む。ママは大のコーヒー好きで世界のコーヒーが我が家に沢山ある。「そうね・・・。」言いながら部屋を出て行った。しばらくすると茶色い一通の手紙を手にしていた。ソファに腰を下ろしと、ママは深呼吸をしていった。「今から話す話はとても大切な話で、あなたの将来にかかわることなの。いいわね?」ママはつづける。「あなたのお父さん(マシュー)は、あなたの、そう・・・ジェイトのパパじゃないのよ。あなたのパパは違う人なの。いい?その・・・。あなたのお父さんはね、国王なのよ。」ぶっ!あやうくコーヒーを噴き出すところだった。「ママ、何を言っているの?国王?!パパが違うならまだしも・・・。パパが国王?テレビの見すぎじゃない?」ママのおかしな発言に笑いがとまらない。「ホントよ。ジェイトのパパは国王なの。」ママの瞳がこちらを真剣に見てくる。これは本当なのかもとジェイトは思った。「先日、ジェイト宛てに手紙が届いたの。読みなさい」ママが茶色い手紙を差し出す。
信愛なるジェイトへ。
ジェイトがこの手紙を読んでいるころには、あの真実を知ったのだろう。このことについて内緒にしてすまなかった。ママからいつもジェイトのことを聞いている。
今度、フォーロン王国に来てみないか?ママと一緒に。一人で来たいならきてもいいぞ。
この世で一番君を愛しているパパより。
パパ・・・。パパに会いたい。私の本当のパパに。涙を拭って、鼻をかむ。ママは娘の頭を撫でた。大丈夫よ。もう泣かないで。「パパに会いたい」ジェイトはひとり言のようにつぶやいた。いつのまにかママの中で眠ってしまった。
人気者だって色々大変なんだから!
次回に続く。