いるかのほし18 反転

反転

ざらざら・・・・・・・・・。ざわざわざわ・・・・・・・・・・・。
さらさらさら・・・・さらさらさら・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

ずどおおおおおお・・・・・・!!!!
ごおおおおおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉ・・・・。

くろみつ・・・。あるいはプラムジュース・・・・。
上質のうるしがたまっているという、滝つぼとは、こんな様子だろうか・・・。
ぎらっと光沢を放ちながら、ゆっくりとたゆみながら、
変幻自在に、流れる流れの姿・・・・・・・・。

時に、一筋の流れ、時には、大量の流れ・・・・・。

ここは、ただ、とぎれることなく、流れ込む流れの淵の入り口。
ポコが夢の中で立った、矛盾の墓場の中に空いた、
あの、砂地獄の穴。

そこは、斜めから見ると、鏡のように世界を映しこんでいる。
真上から、見ると、黒く飴色の漆のように、ギラっと光る。
上の世界からつながる、風穴のよう。

・・・・・。夜、眠る時、にんげんは、誰でも、矛盾の墓場の砂地獄の
大きな穴の上に立ってるって・・・・・・・。
・・・・・・。幾人かのにんげんは、起きている間も、この風穴に吸い込まれてゆく途切れない流れを
ふと、感じたりするって・・・・。

ポコが、砂地獄の夢を見た、同じころ、ピコの家では
ピコが明け方、ふと眠りが浅くなって、半分眠っているような時に、
ふと、あたたかい、何かの気配を感じていた・・・・・。
とっさに、「怖い!!」と、ほとんど、条件反射にそう思っていた。その瞬間、
「・・・・・!!なんが・・・、動けない・・・!!やな感じ・・・!!」
ピコは、隣で寝ているクックに、「助けて!」と言おうとした。けど、声が出ない。
ベットに押し込まれるような、吸いつけられるような、身体がずしっと重い。
強烈な違和感・・・・・。
「なむあみだぶつ~~~~!!」と、思いついたままに、心の中でお経を唱える・・・、と、
ふわっと、身体が軽くなる・・・・。

「ああ。金縛りかな・・・。久しぶりや。怖かった・・・・。」
ピコは、クックが何も気が付かないで寝ているのを確かめて、、ゆっくりと起き上った。
このまま、寝たら、また金縛りにあう気がしたから・・・・。

ゆっくり、キッチンに降りていき、夜明けの薄い光を眩しく感じながら、ぬるいお湯をわかす。
夜明けの空気は、粒が目に見えるよう・・・・・。
ふんわり、やんわりと、気ままに部屋の中を漂っているようだ・・・・・・。
「・・・・、あの時、こんな、あたたかさを感じたのに、怖い!!って、思ってしまったな・・・・。」
なぜかわからないけど、ゆっくり飲んだぬるめのお湯には、少しだけ後悔の味が混じっていた。

いるかのほし18 反転

いるかのほし18 反転

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2015-05-18

CC BY-NC-ND
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