砂場で
秋乃 憂
砂場で子どもが遊んでいる
お伽話の世界を描いている
大きなお城、大きなトンネル。
爪の中に誰かが入っても
手指に何かが付こうとも
気にもとめず、ただ描き続ける。
私も小さな頃はそうだったかしら
汚れることばかり気にして
ひとり部屋でピアノを弾いていたのだけれど
誰も聴いてくれない
褒めてもくれない
砂場で誰かと会話をしたかった。
私は砂場には近寄れなかった。
上品でいなさい、汚してはいけない。
勉強しなさい、馬鹿なことはするな。
ああああああああああああ
まるで他人を見下すような冷たさで
嘲り笑う親族を
あああああああああああああああ
あああああああああああああああ
私も砂で遊びたいわ
夢を見て
集中して、白熱して。
深く深く、なるべく深く掘りたいわ
楽しいんだもの。
誰かと一緒に遊びたい
もう誰に邪魔をされることもないから
誰かが知る由もないように
私は砂場で遊んでいます。
砂場で