ロストメモリー 5

シアトリー・サンシト

解読

リーチが戻って来ない…本当にアンナを置いて出て行ってしまったのか?アンナは少しずつ不安を感じ始めた。私もとりあえずこの場を離れたい。でも、部屋を出たら誰かがいたらどうしよう。死んでも、裸なんて見られたくない。せめて何か着るものでもあれば…アンナはアキラとユウセーの部屋にあるクローゼットを開けてみたが、当然子供の服だけしか見当たらない。辺りを見渡しても、服の代わりになるようなものは、アンナには思い付かなかった。最悪カーテンを身体に巻きつけるか…アンナがそうこう考えていると、ドアをノックする音がした。誰?!リーチ?でも、もしアキラのママだったら、どういう風に説明しようか…そんなことを思いながら、アンナはその場から動くことができず、ただドアを見つめていた。「アンナ?開けるぞ。」とリーチの声がしたので、アンナはホッとした。リーチは、黒のカットソーのシャツと白い七分丈のパンツを身にまとっていた。アンナはそんなリーチを見て、アキラのパパのものだろうかと思った後、ぼーっとリーチに見とれてしまっていた。ドアの前に立っているリーチは、180センチメートル近くの高身長で、身体の線が細くスラッとした体型だった。そして、髪の毛は短くイケメンで、どこか清潔感の漂う青年だった。「アンナ?どうかしたのか?」リーチに声をかけられ、ふと我に返る。「うっ、ううん。なんでもないよ。それより、私も何か着たい。その手に持ってるやつ、私が着るモノなの?っていうか、アキラのママは?一体何がどうなってるの?」「アンナ、そんなに一気に質問されても、答えられないよ。それより、これアキラのママの服と下着だよ。とりあえず、これでいいだろ?体型は変わらないかも知れないけど、ブラジャーはどうだろう?アンナに合うか分かんないけどさ。」「サイテー!」アンナは、そう言いながらリーチから下着と服を受け取り、「後ろを向いててよね。エッチ!」と付け加えた。リーチは黙ってアンナに背を向けた。だいたい今まで小学生だったアンナが急に大人になって、裸になってても、興奮するわけないだろ?恥ずかしがるアンナが理解できないぜ、とにかく、早く着替えてもらわないと…リーチはただ一早く、この状況を把握したかった。アンナは初めてブラジャーを着けるのにも戸惑わなかった。17歳になっているお陰で、付け方にも手慣れていた。アキラのママのモノは、少しアンナには小さかったが、それでもブラジャーを着けずに服を着るよりはマシだ。アンナは、下着を身に付けた後、リーチから受け取ったボーダーのTシャツに、フレアパンツを着た。そして、「リーチ、もういいわよ、こっち向いても。」リーチが振り返ると、そこには大人っぽく変身したアンナが、立っていた。無言でリーチは、服を着たアンナを確認した後、「さてと、とりあえず今の情報を得ようか。」とだけ言って、部屋にあったテレビをつけた。テレビをつけると、そこにはお笑い芸人がコントを繰り広げていた。リーチとアンナがまだ小学三年生だったときに流行っていたものと、全く同じ芸人がそこにいた。ということは、時間は小学三年生の時のままストップしたままなのか?いや、恐らく今この世界は、以前と変わらぬままで、リーチ達が何かの現象で大きくなってしまった、そう考える方が妥当だろう。ということは、アキラのママが家の中にいるはずだが、いなかった。外へ出かけたのか?いや、ユウセーが帰ってくるまでは、絶対にそんなことはしないはずだ。ということは…ただでさえ、普通じゃ考えられないことが起こっている。ある漫画で読んだことがあるが、まさかパラレルワールドが実在するのか?にしても、年齢だけが上がるなんて!?…ゲーム?ゲームで確かに、年齢を入力した。ゲームを開始した途端に、今の状況になった。まさか?ここは、ゲームの中なのか?画面の中に入るなんて、あり得ない…ただ、一つだけ理解できるのは、きっとこの世界は今までの世界とは違うということだ。これだけは間違っていないはずだ。そう思うしかない…

ロストメモリー 5

ロストメモリー 5

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2015-05-16

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