薔薇

ホテルの一室の枕元にはバラの花が一輪。
あなたが持たせてくれたバラの花。
どうして出会ったかだなんて、どうして二人でこうしているかだなんて、もうどうでもいいことのように思えた。
ベッドの側でそっと渡してくれたあなたの花の香りが、あなたの香りと絡み合って抱き合い香ってくる。
うっとりしている間に、私の唇を盗んでいったあなたは、私の心も盗んでいった。
そのまま服も心も脱がせて、そっとベッドへと抱きながら倒していったあなた。
「愛している」
その言葉と共に、あなたは素肌へとキスをしていく。
赤い火柱が立つかのように、キスをした場所から炎が広がっていくよう。
私の体はしっとりと濡れていくよう。
赤く染まる白い素肌は、あなたを求めて、快感の波へと少しずつ飲まれていく。
白いシーツの上で髪を乱れさせ、乳房へのキスを、体をのけぞらせながら感じていく。
「ああ……」
ぷっくりと乳房の先端がとがり、声を抑えきれなくて、ため息のように漏らす。
あなたは私の目をじっと見つめ、微笑みながら唇へと優しいキス。
柔らかく体の奥から押し出されるような私の吐息を合図に、あなたは私の股の茂みにひっそりと熱く咲いている花びらへと指を這わす。
蜜で濡れた花びらをいじりながらあなたは私の吐息を聞く。
「ああ……もっと……舐めて欲しいの……」
私の言葉通りにあなたは花びらへと舌を這わす。
私の赤いバラの花を、音を立てて舐め、蜜を吸い尽くすように丹念にひだを吸い、花弁の奥へと舌を入れる。
「ああ……いい……いいの……」
恍惚の表情できっと私は快楽の声を上げている。
あなたの舌が私の敏感な肉のつぼみを、つんつんと突いて、私が体を強烈な刺激でのけぞらせると、あなたは強くつぼみへと吸い付き、私はしびれたように体をのけぞらせたまま、びくりびくりとさせていた。
私のぽっかりと開いた女の穴は、早くあなたの強くてたくましいものを抱きたいと、ねっとりと蜜を垂らす。
「お願い……我慢できないの……入れて欲しい……」
あなたは私の髪を撫でながら、焼けた鉄のような肉の塊を花弁へとうずめてくる。
「ああん……いや……大きいの……はあ……いい……」
ゆっくりとあなたのものは、私の濡れた花びらを抜き差して、私の花びらは恥ずかしい音をぴちゃぴちゃと鳴らす。
脳髄まで響いてくるような、津波のような快楽が、私の体の中へと押し寄せる。
とろりと、花びらが溶けて、体があなたへと流れ出すような快感。

ずっとあなたを感じていたいと思った。

何度もうねりのように押し寄せる快楽の波にゆられ、私はあなたという船にゆられて、窓の外の月を瞳に映す。
星が綺麗。
まるで夜の星空を旅する、私という小船は、あなたという星の海に抱かれていくよう。
ぐっと心の奥を快感で突かれるように、あなたを感じている。
反復するあなたの欲望の硬い肉のさおが愛しい。
部屋中に響くあえぎ声も密の音も、まるで甘美な調べのようで、私を奏でるあなたは、私を知り尽くした演奏者。
あなたの指が乳房の突起をきゅっとつまむと、私はぴりりと官能の炎を走らせる。
「ああん……ダメ……ダメダメ……いっちゃうぅぅ……」
全身を脈打たせ、あなたの肉のさおを私の蜜まみれの花びらで締め付ける。
「ああん……ちょうだい……あなたの……」
逃さないように、包み込むように、肉のさおを締め付けると、あなたはうめき声をあげて私の中に熱い液を流し込む。
私の奥に当たって、全身を花火のように発火させる。
大きく息をしながら抱きしめあう。
あなたがそろそろパーティー会場に戻らなければね、と言って私の乳房の中ほどにキスマークをつける。
焼印のようなキスの余韻が広がって、あなたを見つめる瞳がとろけてしまう。
「もう、離れたくない」
そう言って、あなたへ優しく濃厚なキスをする。
あなたは優しく髪を撫でながら、わかってるよ、と耳元で囁く。
こんな美しい夜は生まれて初めてだった。
花弁の散ったバラの花びらが枕元に横たわっている。
こうなるのなら、もっと早くにあなたを知っていればよかった。
キスマークがくっきりと胸に浮き上がっている。
花びらのあとのように。

パーティー会場に戻ったら、私は秘密を打ち明けて苦しみから解放されたい。
そう、あなたとはやっぱり結婚できない、とフィアンセに告げるために、そして本当に愛しい人と一緒にいるために、私は赤いドレスをまた身につけた。

薔薇

昔に書いたもの。ぎりぎり公開できるレベルということで。今なら私が真っ赤になるくらい修正する。
こういうところを通ってきた、ということで。

薔薇

小部屋と薔薇。

  • 小説
  • 掌編
  • 恋愛
  • 成人向け
  • 強い性的表現
更新日
登録日
2011-01-02

CC BY-NC-SA
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