ねむい

ねむい


ねむい
昨日テレビ見過ぎたせいだ
頭がぼやぼや
カプチーノの表面のあの、泡みたいのがあたしの脳内に渦巻く
先生のメガネが歪みはじめて、見た事ない動物に変化する
宿題忘れた生徒に怒鳴る時と似ている

意識は完全に、肉切り包丁みたいなものでぶった斬られた

ぐるぐると暗転する中にちらほらと散らばる記憶の破片
友達のやけに残る笑い声、あの人の日焼けた太い腕、寝坊で猛ダッシュするあたし、何かいっぱい泣いた時、スカートの裾のレース、甘い香水、エトセトラ…

と、そこでテレビ現る
何故かテレビ画面が巨大化してみるみる記憶たちを飲み込んでく
“持ってかないで!”
叫んだあたしは精一杯手を伸ばして…


こん、と音が脳天からゆるうく広がる
見上げるとあの異生物みたいな怒り顔
あれは夢でしたか
それから少ししてあたしが見つめるのは
昨晩のテレビの中のコメディアンでなく、巨大化していくテレビでもなく、
ただっぴろい校庭の見える廊下なのでした

ああもう眠い テレビ見過ぎたせいだ

ねむい

ねむい

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2015-05-12

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