08
お守りみたいに持ち歩いている文庫本
読むのをやめてどのぐらいたっただろう
あたらしく聞き始めたあの子は
楽しそうに寂しそうにヘッドフォンの中で歌ってる
ひとりぼっちは戯言で
さみしがり屋が本当
どうすればよかったのかなあ
さよならはその辺に落ちているのに
だれも拾ってくれなかった
嫌われたから泣いたんじゃなくて
自分がわからなくてつらかった
どっちに行っても行き止まり
そんな気持ちで立ち尽くしている
お気に入りのひつじのブランケットは
ガラスにまみれて捨ててしまった
文庫本を読むのをやめるよりずっと前の話
心細さを売りにして
悲劇のヒロインをやりたいだけ
どうせどこにも行かないから
ここが劇場になればいい
なればいいのに
なるわけない
どうすればよかったのかな
なんてポテトチップスを食べながら
寝っ転がって考えている
その程度の憂鬱
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