08

山田

お守りみたいに持ち歩いている文庫本
読むのをやめてどのぐらいたっただろう

あたらしく聞き始めたあの子は
楽しそうに寂しそうにヘッドフォンの中で歌ってる

ひとりぼっちは戯言で
さみしがり屋が本当

どうすればよかったのかなあ

さよならはその辺に落ちているのに
だれも拾ってくれなかった
嫌われたから泣いたんじゃなくて
自分がわからなくてつらかった

どっちに行っても行き止まり
そんな気持ちで立ち尽くしている

お気に入りのひつじのブランケットは
ガラスにまみれて捨ててしまった
文庫本を読むのをやめるよりずっと前の話

心細さを売りにして
悲劇のヒロインをやりたいだけ
どうせどこにも行かないから
ここが劇場になればいい

なればいいのに
なるわけない

どうすればよかったのかな
なんてポテトチップスを食べながら
寝っ転がって考えている

その程度の憂鬱


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08

08

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2015-05-11

Copyrighted
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