いるかのほし 13 しゅっぱつ

しゅっぱつ

 こんなにゆっくり、GGと話したこと、なかったな・・・・・。
GGの話しは、半分くらいしかわからなかったけど、ぼくはなんだか、しずかなきもちになっていたよ。

あおいほしは、その上にいろんな生命体を乗せて、上手にバランスをとりながら、ずるる~~~んと脱皮しないといけない・・・・。
そのことのために、このちっぽけなぼくができること・・・・。「にんげん」2人と、ともだちになること・・・・。

にんげん2人と、ともだちになれたら、いったいどんないいことがあるのかな・・・・・。

・・・・・・・まだまだ、ききたいことはいっぱいあったけど、もう時間だね・・・。とりあえず、行ってみる!!

ぼくたち、とうめいいるかは仲間と4重の輪を作った。
まん中に10頭のいるかが輪を作り、その周りを20頭のいるかが囲み、またその周りを40頭のいるかが囲んで、最後、一番外側を80頭のいるかが囲んだよ。
そして、みんなでこころを、澄ませて、あおいほしの、あおいうみのことを、思ったよ・・・・・。

GGが言った。「あおいほしに移動するのに、あおいほしに属するわしのともだちに手伝いを頼もう・・・。」
GGは、うわ~~~んうわあ~~~~~ああ~~~~~んと、澄んだ大きく響くドラのうねりのような合図を出して、その中に、ことばをのせた・・・。
「したくがぁ~~~~、できましたぞぉ~~~。あおいほしの同胞ぉ~~、ワタツミの~~サンシンどのがたよお~~~。」
「わたつみのさんしんどのがたよお~~~~~~~。ぉおおおぉおおお~~~~~~。」

・・・・GGの声は、ふかくしずかにゆっくりとひびきわたったよ・・・・。

みると、そのひびきの中で、あおいほしがほんの少しゆらめいたような気がしたよ。そしたら、あおいほしから昔の筒状の望遠鏡が、すい~~と回りながら伸びるように、あおくきらきらと螺旋に周りながら、ひかるとうめいのトンネルが、ちゅるちゅるるうう~~~~~とのびてきた・・・・。

「ワタツミのサンシンとは、すなわち、うみのかみの3兄弟じゃ・・・・。ウワツワタツミノカミ(表津綿津見神)は、あおいほしのうみの、表面にかかわっておる。ナカツワタツミノカミ(中津綿津見神)は、中ほどを担当し、ソコツワタツミノカミ(底津綿津見神)は、文字どおりうみのそこのほうを、司っておる・・・・・。」

とうめいな螺旋トンネルは、よく見ると3色の青がグラデーションになって、ねじれ合いながら回りながら、すごいはやさで流れている。

このトンネルを、流れていくんだね・・・・・。
「ワタツミノサンシンが今、あおいほしの、うみのそこに、出口をつないでくれておる。あちらに着いたら、また、声をかけるでの・・・・・・。あちらにいても、わしの声は聞こえるはずじゃ・・・・。
今かたち作ったこの、4重のいるかの輪は、おまえさんたちがここに帰ってくるための目印じゃ・・・・。それぞれ、自分の記憶メモリーの中のフォトファイルはこの台座に残して行きなさい・・・・・・。それが、すなわち自分の分身となるからの・・・・・。」

ぼくたちは、ゴクンとつばをのみこんで、のどの奥から記憶メモリーフォトファイルをとりだした。
さあ、これを置いたらしゅっぱつ!!!みんなで、いっせいにだよ!

いるかのほし 13 しゅっぱつ

いるかのほし 13 しゅっぱつ

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2015-05-11

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