幻影の天使 そして時間を廻る

過信 Ⅰ

ーえ?          

その言葉が脳内を駆け巡った 
言葉になんてできなかった 
ただ、口からは気持ち悪い息と変なうめき声だけが漏れていた   

人が殺されるなんて、もうファンタジーとかの世界にしかないと思ってた 

「…ぅっ…ぅあ………」 

頭がうまく回らない 
どうしたらいいか分からない 

私は、もう居ない人に…この世界に存在しない人に…ただただ縋ろうとしてた 

誰よりも愛していた人に   

いつもあの人は 
私の仲間だった 
私のライバルだった 
私を愛してくれた   

黒い悪に染まった「私」の存在を白に浄化しようとしてくれた   

私は一体、どこで何を間違えた?   

どうして気づかなかった?   

見え見えの嘘だったのに  

何も黒に染まってなかったのに…!    


私は愛していた人の名前を呼んだ  


「遥紫……兄さん」                               


私が殺してしまった、美しき天使の名を

幻影の天使 そして時間を廻る

幻影の天使 そして時間を廻る

  • 小説
  • 掌編
  • 冒険
  • ミステリー
  • 時代・歴史
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2015-05-09

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