取り戻すために
沖縄奪還作戦・壱
欝蒼と茂る密林、暑い日差し、昔映画で見たベトナムの戦場を思い出す。
俺、山城 亮太は戦場へ向かう。今回の作戦目標は山地内の中国軍・民兵部隊のキャンプ地の部隊の撃破、物資の補給を断つことだ。中隊の仲間と共に山中を隠密行動で進む。
何故こうなったか?俺は以前、陸上自衛隊改め日本国陸軍、第一空挺団に所属する二等軍曹、下士官だった。沖縄奪還の任務でここに着いた後、民兵部隊と合流し、作戦行動を開始することになった。
まったく戦場ほど嫌なものは無い。以前、陸軍が陸上自衛隊と呼ばれていた頃は戦闘より災害救助などが主な任務だった。それでも我ら精鋭の第一空挺団は厳しい訓練を重ねてきた。いつか戦場に向かうことになったらどうするかという自問を重ねながら。
そして遂に自問の答えが出た、と思った。
世界中で広がる戦争、そして我が国に対する近隣諸国による侵攻。
俺は何度か戦場を経験した。それでも分かったと思った自問の答えはまだ朧なままだ。
そんなことを考えてる暇は無くなってきた。攻撃目標が近づいてきた。
あとは敵に向かって銃の引き金を引くのを待つだけだ。
プロローグ
201X年、世界的な経済崩壊を機に世界は爆ぜた。
世界各国で続いていた領土の紛争・緊張、経済危機、民族・宗教問題。
この争いにより世界は再び世界大戦に突入し、世界各国の政治・経済は崩壊、軍事に関しても正規軍の戦力は疲弊、代わって民兵が台頭、これに正規軍の残党が加わり、国同士の戦闘に向かう。それが世界各地で見られる光景になった。
それは東洋の日出ずる国、日本国とて例外ではなかった。
長きに続いてきた領土を巡る張り詰めた緊張の糸は切れた。中国による尖閣諸島・沖縄への侵攻、韓国による竹島・対馬の占領、ロシアによる北海道への侵攻。
これを受けて日本国政府は憲法を改正し自衛隊を国軍へと昇格。
しかしながら相次ぐ戦闘により日本国軍は疲弊、そして日本国内においても民兵が台頭。国軍の残党と共に祖国、未来、そして希望と大切なものを取り戻すために戦場に向かう。
これはその1人の兵士の物語。
取り戻すために