はじまり (消しゴムのカス その2)
混沌があった。
揺れ、光り、さざ波を生じ。
それはただそこにあった。
「お母さん、できたよー!」
混沌に大きな秩序が生じた。
それはあまりに突然の変異。それでも混沌は混沌のまま、一定の秩序に従い動き出す。
それはまだ混沌だったが、やがて何かを生じる気配を抱き。
「お外に向かって吹いてね。」
「はーい!」
混沌の中に、「世界」が生じた。
混沌は「混沌」ではなくなった。
突然の誕生に思えたが、それはかねてから予期されていたようでもあった。
そして、「世界」は「世界」と衝突し、眩いばかりの光に包まれる。
「お母さん、見てー!小さいのと小さいのがぶつかって、大きいのになったよ!」
「ほんとだ、大きいシャボン玉できたねぇ。」
「あ、下に着いちゃう!」
「ビッグバン」と呼ばれる爆発から誕生し、数多の生命をその中に宿した「宇宙」は、長い
長い年月を経て、再び混沌へと戻ろうとしていた。
(完)
はじまり (消しゴムのカス その2)
宇宙って、きっとこんな感じで生まれたり消えたりしてるんじゃないかなーって。