夜に関する4つの詩
2009年-2011年

夜明け

ある時
ふと私は目を覚ました
まだ辺りは寝静まり
静かな小鳥の囀りだけが響き
窓から零れる光は
全てを忘れるほどに
青く透明だった

世界は余りにも美しく
私は余りにも醜い

ただただ無力で
誰からも必要とされず
消える時を待つだけの
こんな私がおらずとも
この世界は変わらない
何一つとして

暫くすると
鳥の囀りは聞こえなくなり
昨日の朝と同じように
眩しい光が私を照らした

2009年7月10日

夜の街

真夜中に外へ出て
冷たい風が頬に当たる

どこを見ても
街は光で満ち溢れ
どこにも闇はない
誰も逃れられない

夜の死んだこの街で
どうして私の体に当たる風は
こんなに冷たいの

せわしなく動く人影が
ひとつ、またひとつ
すれ違う

2011年2月8日
(2015年5月6日、訂正)

真夜中に

音のしない静かな夜に
ぼんやりとした目で
窓の外を見た

あの空に光が戻るまで
どのくらい待てばいい

何も分からない
ここがどこで
今がいつなのか

陰に沈んで
見つめていた

暗闇の向こう側で
怯えている私がいる

その私の隣で
この終わりない夜に
密かに安堵する私がいる

底知れぬ夜よりも
東の空に浮かぶ朝の光に
絶望を感じる私がいる

2011年2月21日

畏怖

底知れない夜空の下で
じっと、空を見た
あまりに美しい星々の輝きの中で

わたし という存在が     消え去る

 震える身体で、私は必死に想う

           ああ、怖いな


遠くから、木々のかすれる音とともに、声が聴こえる。
老婆の声と、幼い子供の声だった。

 あの星はね、もう死んでしまっているかもしれない

 そんなことないよ、だって光ってるじゃない

 あの光はね、もう何万年も昔の光なんだ

2011年6月12日

夜に関する4つの詩(2009年-2011年)

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2015-05-06

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  1. 夜明け
  2. 夜の街
  3. 真夜中に
  4. 畏怖