赤い街

赤い街

中二の時考えたストーリーです!
頑張りますので喜んでるお願いします!

プロローグ

街が燃えている。

雨のように降り注ぐ爆弾に、何も受け答えすることなく。

私の街は襲われた。

建物が崩れ、人々は叫び、それでもまだ何かを食べて炎は上がる。

街が赤かった。

その時はまだ何も知らなかった。

ただ自分の幸せは全部燃え尽きたのだと。

街を焼け尽くす業火を、ずっと見ていた。

不覚にも私は、その炎を、綺麗だなんて、思ってしまったのだ。

#1

この国の名は、アグゼルフという。
戦後からの復興が早く、今では穏やかな国だ。
レンガ造りの建物が立ち並び、大通りは評判の賑やかさである。
そんな街の中を、二人の人影が歩いていた。
二人は今日初めて出会ったらしい。
片方はフレン。黒髪で、黒のタンクトップにこげ茶のズボンを履いている。
黒が好きなのだろうか。年は18ぐらいに見える。
もう片方はルナ。茶髪のセミロングで、真夏だというのに長袖のパーカーを羽織っている。フレンより、かなり幼く見えるが、実際は3つ年下だと言う。
二人は、それぞれ目的があってここまでやって来た。
大切なものを、探しに。
二人は軽く自己紹介をし、他愛もない話をした。
本当に他愛もない話を。
そして、今に至る。
真夏の暑さに、そろそろ限界が来たフレンが口を開いた。
「あー、暑いな。そろそろ本当に宿を見つけないと身体が」
ふいに隣のルナに目をやると、彼女の目に光が宿っていなかった。
熱中症だ。
そう直感した瞬間、ルナの膝がガクンと折れ曲がる。
「おい!」
フレンが反射的に支えるも、ルナの目は半開きで息も荒かった。
フレンはうろたえる。とりあえず日陰に休ませたが、早く介抱してやらないとまずい。
その時、1人の少女が通りかかった。
こげ茶のボブで、少し高そうな赤いワンピースを着ている。
年はフレンと同じぐらいに見える。
「大丈夫?」
彼女がこちらへ駆け寄る。
フレンはなぜか何も言えなかった。
少女の、その悲しそうな、全てを知っているかのような目に、魅せられていたのかもしれない。
「帰る場所、無いのだったらおいで。」
少女は、全てを悟ったかのように言った。
何が起こったのか理解出来ないフレンは、「あ、宿みつかった」としか思わなかった。

#2

数時間前、少年フレンは街を彷徨っていた。
金も満足するほど無く、頼れる身内など勿論居ない。
全くの初めて踏み入れる地に、着いてから早1時間でピンチまで追い込まれていた。
後先考えない性格なのだ。
それで苦労したことは、数え切れない程ある。
心の底から後悔したことも...。
財布を見つめ、あっちへふらふら、こっちへふらふら。
腹が減っているわけでは無いのだ。
ただこのまま、居場所を見つけれず一人ぼっちで街を彷徨うかもしれないという精神的な不安が、彼の足取りを一層重くさせた。
そんなの時、1人の子供とぶつかった。
正確には、ぶつかりかけた。
だけどそんなのはどうでもよかった。
問題は、その後の少女の行動だった。
突然、何か大きな罪を犯したかのように、謝り出したのだ。
「す、すいませんすいません!」
頭をぺこぺこと下げる。
「いいって!そんなに謝るなよ。俺も悪かった。」
しかし少女は
「どうか殺さないで下さ」
「しねえって!全然大したことじゃないから。な?」
少女をたしなめる。
「ありがとうございます」
どうやら納得してくれたようだ。
「それじゃ」
フレンがその場から立ち去ろうとした
「あの」
また少女が声をかけた。
「お金って、どうやって使うんですか?」
「は?」
衝撃の一言に、フレンは凍り付く。
少女は続ける。
「ぼ...僕、い、家出なんですよ。ど、どうしてもしたいことがあって、それで...お家から出て来たんです。」
少女は俯いて言う。
フレンは、少女も今日初めて此処へ来たことに驚いた。
仲間が居たんだ。
一人ぼっちだと思ってた。
「じゃ、じゃあさ、今日泊まれるところ二人で探そう。俺も、今日ここに来たんだよ。」
本当?と少女はフレンを見る。
「本当。俺も、大事な用があって来たんだ。」
少女は、顔をぱあっと明るくさせ、微笑んだ。
「僕、ルナです。よろしくお願いします。」
少女は名乗る。
「俺はフレン。敬語やめろよ。もっと...気軽に話していいからさ。」
まだこんなに幼いのに...
ルナは一つ呼吸を置いて、
「うん、よろしくね。」
優しく言った。
「こんなの、初めてだ。こんなに親切で、なんか、友達みたいに一緒に行こうって言ってくれる人。」
「お、おう!友達!友達だよ!当たり前だろ。」
フレンは笑う
「よろしくな。」
ありがとう。そんなことを少女は口にした。
どうして礼を言うんだ?
フレンがそう疑問に思う時間もあまり無かった。
ルナは暑そうな服を着ているからか、すごく顔が蒸気している。
本当は、人と喋ったのが緊張したからなのだが。
そんなことは露知らず、フレンは宿探し再開を目論んだ。
ルナは今日会ったばかりだ。
なのに、とても懐かしい感じがする。安心できる。
それは、きっとあいつに少し似ているからかなと、フレンは思った。
その後も2人の他愛もない話は続く。
ただの、他愛もない話。

燦々追想戦記#1

その日、アグゼルフという国は敗戦した。

突然の奇襲に打つ手がなく、首都全体が焼き尽くされた。

戸惑う人々に容赦なく降りかかる火の粉。

この空襲は、歴史に残る大空襲になった。

奇襲をかけたのは、ウィルグロードの国とされる。

#3

部屋の中。
広くはないが、きちんと整頓されている居間だ。
少女が一人で住んでいるのだろうか。
「あの、助けてくれてありがとな。」
フレンは口を開き、礼を言う。
自分とルナは、今日初めてここに来たということを、一応説明はした。
「構わないよ。大変だったね。」
そう少女は言う。
一方、倒れた少女、ルナの容体は回復したようだった。
ゆっくりと体を起こす。
「ほら、ちゃんと礼言えよ。」
フレンがルナの背中を軽く叩く。
「あ、ありがとう...ございました。」
やはり俯いて言う。
フフッと少女が笑った後、
「二人は、親子か何かかな?」
直後、フレンは硬直する。
「い、いや...」
半分うなだれたように言う。
「冗談だよ。すまない。」
少女は撤回する。
「ほんのアグゼルフジョークというやつだよ。」
少女は面白がっている。
はあ...とフレンは息を吐いた後、またも少女は口を開く。
「さて、2人に自己紹介してもらおうか。泊めてあげるから、名前と出身地教えてよ。」
それが条件、と少女は自己紹介を求める。
なんだか怪しさもあるが、泊めてくれると言うなら感謝する他ないとフレンは思った。
「じゃあ俺から。名前は、フレン。ウィルグロードの国から来た。」
次にルナが口を開いた...が。
「あ、僕、ルナです。えっと、えっと...」
きっと自分の国の名前が分からないのだ。
「もういいよ、ありがとうルナ。」
少女は切り上げた。
少し冷たく見えるが、ちゃんとルナのことを気遣っての言葉だ。
「私のことを話してなかったね。私はアリス。この国で生まれ、育った。」
アリスと名乗った少女は、自分の自己紹介を始めた。
「8年前の大空襲、分かるだろう?それで家族を亡くしてしまって、ここで1人で暮らしてるよ。」
アリスは淡々と語る。
フレンは申し訳ない気持ちになった。
きっと、謝罪はしない方が無難だろうとは思ったが。
アリスは続ける
「一応小説を書いて何とか食べているよ...全然売れないんだけどね。」
少女は不敵に笑う。
それなら、一層早く宿を見つけなければいけないとフレンは思った。
まだまだ、アリスには何かとありそうだ。

赤い街

赤い街

8年前、ある国が空襲により戦争に負けた。 この大空襲から始まる、戦中と戦後の物語。 人は何を守るのか。何を失って泣くのか。 やがて全てが繋がる、ファンタジーでもなく戦記でもない物語。

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2015-05-05

Copyrighted
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  1. プロローグ
  2. #1
  3. #2
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