お菓子とおばけ

兎魅

お菓子とおばけ

知っていますか。
ある王国の外れにある小さなおうちに、小さな小さなおばけたちが住んでいるのです。

5〜6センチほどの体で、時計のうしろや戸棚の奥に隠れたり、キッチンの器具や果物を持ち上げて遊んだり、いつも楽しそうに暮らしています。
そんなおばけたちが大好きなのは、甘い、甘いお菓子。毎日、おいしいお菓子がないか探し回っています。
青色おばけは言いました。
「さぁ、今日もお菓子をたくさん見つけてこよう。」
すると、桃色おばけが小さなシャンデリアの上からおりてきて、
「あたしはマカロンとビスケットがほしいわ。」
と言いました。
さっそく、青色おばけと桃色おばけは出かけます。王国を出てすぐそこにある森の中に、ぐんぐん、ぐんぐん入っていきます。
「わぁ!とてもきれい!」
桃色おばけは目をキラキラさせて言いました。
そこには、とても美しい緑色の、メロンソーダの湖がありました。よく見ると、湖の中心に何かが浮かんでいます。青色おばけはそれ気付き、近づいて見ました。
なんとそこには、おばけの体よりも大きな大きなビスケット。しかも、その上にはひと回り小さな、と言ってもおばけの体より大きな大きなホイップ付きのマカロンが乗っています。
「あんなに大きなビスケットやマカロン、見たことないぞ!」
青色おばけの声で、桃色おばけもそのことに気付きました。
「すてき!早く持って帰ろうよ!」
青色おばけの手を引きながら桃色おばけは言いました。
びゅん、と空を飛んで、あっという間にビスケットマカロンのもとへたどり着きました。
「よぉし、取るわよ……!」
桃色おばけが手をのばした、そのときです。
「ぐわぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
大きなうなり声とともに、マカロンのクリームは吹っ飛び、空にただよっていた青色おばけの顔にべとり。
マカロンの真ん中はぱっくりと割れ、中は真っ赤、鋭い歯、まさに「口」が現れたのです。マカロンの口は桃色おばけに噛みつこうと倍の大きさに広がりました。青色おばけは顔のクリームを長い舌でぺろんとなめとり、ひるんでいる桃色おばけを空高くにひょいと浮かせました。
「ひどい目にあったな。もう帰ろう。」
青色おばけは桃色おばけに言いました。
「嫌だ。マカロン……ビスケット……嫌だ……食べる……。」
桃色おばけは泣きながら少しずつ、押し出すように言いました。
「また探せばいいじゃないか。マカロンやビスケットなんてたくさんあるぞ。」
青色おばけが何回言っても桃色おばけは泣き続けます。
下にはまだ、お腹をすかせたマカロンがうなっているのでした。

お菓子とおばけ

お菓子とおばけ

小説というより童話として書きました。 メルヘンでポップな世界に現実的な要素を入れることを意識しました。

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  • ホラー
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