恋、しませんか deux

尾高 英

“夏樹。元気ですか?私は今、頼もしい先輩後輩に恵まれて充実した生活を送っています。”
ここまで書いて筆が止まる。

もし、今でも付き合っていたら4年目ですね、、

そんな文章が頭に遮り、ふっと自嘲した笑みがこぼれた。昔の記憶が頭の中で激しくフラッシュバックする。
いつもやらないような事をするからこんな事になるんだ。そう思ったとたんに馬鹿馬鹿しくなり、書きかけの手紙をゴミ箱へ捨てた。




                  *

「では、生徒会役員を決めたいと思います。誰か立候補いませんか」
新しく決まった学級委員の掛け声でもともと静かだった教室は息苦しい沈黙へと変わった。
ああ、どうしよう。優奈と一緒に生徒会しようと約束していたのに、こんな空気の中で手なんか挙げられない。どうしよう。どうしよう。
その時、右後ろの方の男の子が手を挙げた。
それに続くように私も手を挙げる。他には誰も挙げない。
「決まりですね。」
学級委員の声とともに教室の空気が緩んだ。

恋、しませんか deux

恋、しませんか deux

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2015-05-03

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted