趣味の部屋
趣味の部屋
2015年4月30日 アステールプラザ
脚本=古沢良太
演出=行定 勲
キャスト
天野信親=中井貴一
土井祥太郎=戸次重幸
宮地ミカ=原 幹恵
水沢昭雄=川平慈英
金田 登=白井 晃
昨年一年の殆どを主人の看病に費やし、観劇どころではなかった。
ようやくそのショックから抜け出して、息子たちの薦めもあって観劇を復活したのだが、
広島の舞台を観るために入っていた会員の更新が出来なくて失効していたのを入り直し、最初に観たのが前回の「ショウシャンクの空に」だった。
その時次の作品を探したのだが思わしいものが無くて、少し間をおいてこの「趣味の部屋」を頼んだところ、
これが人気公演でもう満席状態で良いお席がないんですよと言われた (`□´)
会員は何時も良いお席で見られていたので、チョッとがっかり!
でも折角その気になったのだからと2階席を取った。
実を言うとこの舞台は観たくて、観たくて・・・、と思っていた訳ではない。
それだけにそんなに評判が良い作品なんだ!とチョッとびっくりした。
プログラムを買って会場に入ると、2階席は眺めもよく舞台全体が見渡せる。
幕の無い舞台には薄暗いけどとても凝った造りの部屋が見える。
なるほど、これが趣味の部屋か・・・。
舞台中央にテーブルとソファー、その後ろにキッチンのセットが見える。壁の棚には食器が綺麗に並び完璧なキッチン。
キッチンの右側には白い大きな箱と鎖のかかった冷蔵庫がでんと座っている。舞台の進行につれてこの白い箱は冷凍庫だと判る。
キッチンの右側奥の壁際に階段がありその先に部屋があるみたい。階段の前にはテーブルと椅子、壁の棚にガンダムのフィギアが沢山並んでいる。
キッチンの左側奥に出入り口が見え、その手前の壁側にはいっぱいに積み重ねた本の山とその前に椅子。
こんなに凝った舞台セットは最近見た事が無いなぁ~!
ストーリー(プログラムより)
ここは、マンションの一室。
キッチンで料理する者、ジグソーパズルをやっている者、古書を味わっている者、ガンダムのプラモデルを作っている者・・・。
ここは、男たちが誰にも邪魔されることもなく趣味を楽しむために、共同で借りている趣味の部屋だ。
呼び掛けたのは多趣味で博識で温和な内科医・天野信親。
化粧品メーカーに勤務する土井祥太郎、車のセールスをしている水沢昭雄、大学の医学部で教鞭をとる金田登が集まっている。
彼らがそれぞれ趣味に興じているところに、チャイムが鳴った。
玄関に立っていたのは、巡査だという宮地ミカ。
二週間前から行方不明になっている男の聞きこみ捜査らしい。
その男はこの部屋の仲間だった。
彼女の訪問を機に、男たちの楽園は疑いと諍いの修羅場と化す。
彼らが最後に辿り着く結論とは・・・・。
そして「趣味の部屋」の真実とは・・・?
うーーーん、この作品を一言で言えばどんでん返しのオンパレード(笑)
もうこれでもか、これでもかと言うほど、物事がひっくり返る。
天野の趣味は料理を作る事、加藤の趣味はガンダム、水沢は古書の収集(?)だが、土井はいまだに趣味は見つけられなくて、盛んにストレッチなどをやりながら、ジグソーパズルにはまれるかどうかを試しているらしい。
そしてもう一人木下という人物も参加していて、彼の趣味は亀を育てることらしいのだが、しばらく姿は見せていない。
そこへ婦人警官が行方不明の男を捜していると木下の写真を持って訪ねて来るところからこのややこしい物語は始まる。
4人はこの部屋が趣味のための部屋であるということを説明する。だが婦人警官が部屋のあちこちを探し回り冷凍庫の中を見せろと迫る。
なぜかしらここに木下の死体があるのかも・・・という流れになり、そこから水沢が天野が嫌いだったということを言い出し、雰囲気は険悪になる。
結局冷凍庫をあけて見てみて死体は無く、天野の疑いは晴れるが・・・。
そこに木下から電話がかかり、実は婦人警官というのは嘘で木下の彼女だとわかり、木下の所在は明らかになった。
水沢と天野が対立し、天野がこの部屋を始めた理由を話し出す。自分の病院の看護師・オオタヨウコの死が、実は殺されたのではないかと疑っていて、
その犯人が、看護師と付き合っていた水沢ではないかと疑い、水沢を監視するためにこの部屋を作ったと告白する。
だが水沢は反論に出る。 彼女をストーカーしていた事は認めるが、土井が彼女とつきあっていたとを告げしかもそのために土井が家庭を壊したことまで告白する。今度は土井に疑いの目が注がれるが、土井は同じようにストーカーまがいのことをしていたときに、加藤が彼女の部屋にいたことを暴露し、今度は加藤に疑いの目がむく。
だが 加藤も、彼女と食事をしたときに、彼女がアレルギーで具合が悪くなったから介抱しただけと説明する。
結局、看護師は警察の捜査どおり事故死で、殺人事件は天野の思い込みだったということになる。
このように一つの事件の訳あり被疑者が次々と変わり、えっ? えっ? の連続だった・・・(^v^)
しかもここからまた物語りは急展開していく・・・。
天野が急に様子がおかしくなり、実は解離性同一性障害(多重人格)で、精神科医の加藤の患者だったと加藤が言う。 天野は普段は温厚な人間だが、もう一つの凶暴な人格をもち、そちらの人格で看護師を殺害したらしい。
時々切れるシーンもあったようだが、タバコを吸うと凶暴な人格が現れるらしい。
天野が殺人犯だったとわかれば、この部屋ももうお終いだと、警察に出頭しようとする。
すると土井が「まだジグソーパズルが終わっていない」と叫びみんなでパズルを始める。
が、お約束のように、最後のピースが見つからない。みんなそのピースを探し始めるがなかなか見つからない。
と、天野が土井に「もういいだろう」といい、土井がポケットから最後のピースを出す(ここの意味が良くわからない・・・(涙)。
そしてみんなそれぞれに部屋を出ていき、舞台は暗くなり、これで終わりなのか、と思っていたら・・・・
ふたたび、4人が現れ、またまたどんでん返しだよーーー。
今までの話はみんなお芝居で、実は木下が彼女に趣味の部屋の存在がばれてしまったので、これをごまかすために打ったお芝居であり、また、土井に進める趣味として「お芝居」はどうかということだった。
そのお芝居の観客は木下の彼女の一人だけ。壮大なる計画だった、ということでようやく幕になった・・・、かと思えば・・・(笑)
最後にまた天野が一人舞台へ出てきてボールをかき回しながら
「ヨウコ・・・、君の代わりが見つかったよ」とにやりと笑うところで暗転。
やっとこれで本当に終わったらしい(*^O^*)
そしてカーテンコール! 天井からきらきらと金や赤の紙吹雪が大量に落ちてきて、その中で出演者全員のダンスが始まった!
そしてもう一人・・・、多分演出の行定さんだろうと思うが・・・おかっぱ頭の男性も加わって・・・。
このシーンがとても楽しそうで良かったよ!
この広島公演が千秋楽なのね!
最後にドカーーーンと金色の糸が大量に客席に降って、ド派手なカーテンコールが終わった(笑)
趣味の部屋1場面のみ、場面転換も休憩もなし、2時間少々のこの舞台、もう何がなにやらややこしい 混乱するほどお話がひっくり返る。
この作品は再演で2年前に初演があり、大変評判が良くて同じキャストで再演という事になったらしい。
企画は中井さんだという。
しかしこれほどのどんでん返しが何故必要なのか?(笑)
確かに面白かったし飽きもこなかったけど・・・、残念ながら私好みの舞台では無かったなぁ・・・ (*^-^*)ゞ
趣味の部屋