うたかた

私達の恋は、瞳の中だけで感じるもの。

お互いに、気持ちを隠しているつもり。

私は、あなたの気持ちに気づいていた。
真面目なあなたは、わかりやすかったから。

一度だけ、ほんの少し、偶然あなたに抱き抱えられたことがあった。
その時に、私は自分の気持ちに気づいた。
私が感じたように、あなたも気持ちに気づいたのかもしれない。

抱きしめたいのに、抱きしめられない。
その時は、そうせざるを得ないと思っていた。
会えなくなった今になって思えば、
それは、間違いだったのかもしれない。

抱きしめたくて。

抱きしめられたくて。

二人とも、そんな気持ちをずっと抱えたまま。

どうしようもなく。

一人の夜に、静かな気持ちで思い出す。

あなたが私を見つめる瞳。

うたかた

うたかた

  • 小説
  • 掌編
  • 成人向け
更新日
登録日
2015-05-02

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