うたかた
私達の恋は、瞳の中だけで感じるもの。
お互いに、気持ちを隠しているつもり。
私は、あなたの気持ちに気づいていた。
真面目なあなたは、わかりやすかったから。
一度だけ、ほんの少し、偶然あなたに抱き抱えられたことがあった。
その時に、私は自分の気持ちに気づいた。
私が感じたように、あなたも気持ちに気づいたのかもしれない。
抱きしめたいのに、抱きしめられない。
その時は、そうせざるを得ないと思っていた。
会えなくなった今になって思えば、
それは、間違いだったのかもしれない。
抱きしめたくて。
抱きしめられたくて。
二人とも、そんな気持ちをずっと抱えたまま。
どうしようもなく。
一人の夜に、静かな気持ちで思い出す。
あなたが私を見つめる瞳。
うたかた