放浪男の末路

一部分を切り取ったくらいの短さで淡々としたショートストーリー。
この男、いつまで経っても留まる巣すら見つからない。
そんな愛に飢えた男の行き着く先とは。

超ショートストーリー

俺は三十路を超えて、決まった恋人もいない。ふらふらと生きている。一度、こいつだと思って結婚を経験したが、俺の性に合わずにやむなく離婚。冷めた生活に飽き飽きし、刺激を求めてさまよった。
そして、ある夜。
俺は女の元へ足を運んだ。
玄関のチャイムを鳴らすが、一向に出てこない。突然来ても、彼女はすぐ出てきて招くのに。
俺は女に連絡もしない、というか、連絡先を知らないからしようがない。
「いねーのか?」
もう一度鳴らしてみる。
すると、慌てたように扉が開いた。
「き、来たの?」
「今都合悪い感じ?」
「えーと、友達とホームパーティしてて……」
「そ。それなら帰るわ」
しかし、中から半裸の男が気だるげに歩いてきた。
「……なるほどな。了解したわ。じゃあな」
何をしていたか察した俺は、その場を立ち去った。引き止めるでも、言い訳するでもなく、ただ扉を開いたまま俺が見えなくなるまで見ていた彼女も、きっと俺と同じようなつもりだったのだろう。
ふらふら、ふらふら。
いつまで経っても俺は放浪し続けるのか。虚しさと諦めに心が満たされてしまった俺。刺激を求めていたはずが、今ではただ虚しさが募るだけ。
気がつけば俺は1人だった。

「大丈夫ですか?」
突然、女が声をかけてきた。少しあどけなさの残る感じからして、まだ20代前半か?でも、今このタイミングで現れたのは、俺にとっては運がいい。
「大丈夫、かな。でも、ちょっと話を聞いてもらえる相手探してて」
「そうなんですか。何か辛いことでもあったんですね」
「まあ、ちょっとね」
「良かったら、私がお話聞きますよ。

私、こういう者でして……」
差し出された一冊の本。表示には、何やら社会の授業で見たような姿の男が。
「え……」
「きっと神はあなたをお救いくださいますよ」

放浪男の末路

最後の女の正体わかったでしょうか。

放浪男の末路

男は1人。 退屈な毎日をただただ目的もなく過ごす。 適当な快楽に身を任せ、いつまで経っても落ち着くことができない。 そんな男に差し伸べられたか弱い手。 男に一体、どんな未来が待っているのだろうか。

  • 小説
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  • 全年齢対象
更新日
登録日
2015-05-02

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