【薔薇の根元は百合の花】
一話・二話・三話・四話・五話・六話・7話・8話・九話・十話
【一話】
生まれつき自分の性に疑念を抱きつつ自分は女であると思いつつも、自分はおかしいのだと自分を偽ってきた一人の男。
未だ世の中に性同一障害などと言う言葉自体が存在しなかった頃、男は自らを押し殺し男として生きることを決意し女性と恋愛しそして一人の子をもうけつつ、過去を振り返るこさ度々あった。
「今田孝彦・四十五歳」
彼は小学校低学年の頃、ふと、自分は男ではなく女なのではないかと思う小さな心を押し殺しながら、姉の服やスカートそして下着類やタイツ類に興味を強く持っていたが、それは異性への憧れではなく、それとは別の何か得体の知れないモノだと感じていた。
そして周囲を見回し女教師の衣服そしてストッキングを見ては、自らもその容姿に強い願望とも思える葛藤と戦いつつ一年、そしてまた一年と成長し遂には同級生の母親のパンティーストッキングを密かに盗み出しては、激しい鼓動を感じつつ自らの下半身をパンティーストッキングで覆った。
そしてその欲望は次第に大きくなりつつも、自分はおかしいのではないのかと、日々辛い毎日を過ごし何度も履いて伝線していくパンティーストッキングに悲しい思いを感じ、心のモヤを晴らすべくマスターベーションと言う男子特有の性の捌け口を見出し毎日のように自らを慰め続けた。
だが、マスターベーションと言う捌け口は彼にとっては物理的な捌け口でしかなく、心の捌け口にはなっていなかったが射精は経験することはなかった。
「小学三年生」
彼の通っていた小学校ではある特定のメーカーの靴が流行っていて、周囲の同級生達は男も女もそのメーカーの靴を履いていたが、彼はファッションには縁遠く敢えてその靴を欲しいとは思っていなかったが、ある日のこと彼の母親は彼にもその靴を買ってやろうと彼を靴屋に連れ立った。
男子は青、そして女子はピンクと言う昔ながらの決め事だったが、彼は靴屋の店内で母親が思うところの当然、青を選ぶと思っていた矢先、彼が選んだのは女子が履いているピンク色の靴だった。
何度も繰り替えし本当にピンクで良いのかと言う母親の言葉と裏腹に彼はガンとして譲らず可愛いと感じていたピンク色の靴を選んだ。
「小学校」
彼はお気に入りのピンクの靴を上履きとして学校へ持って行くと、その靴の色に周囲は難色を示しそして困惑しつつ彼をからかい、野次り罵る男子生徒が取り囲んだ。
女みたいな靴を履いて恥ずかしくないのかと、彼は毎日のように周囲の男子達から責め苦を味わう事になったものの、一部の女子や教師から男子がピンクの靴を履いてもいいんじゃないかと声援も入った。
だが彼は自分だけが履いている女子と同じピンク色の靴を恥じ、その小さな心はこれで良かったのかと言う凄まじい葛藤に苛まれて行き次第に後悔の念を強くして行った。
だが貧しい家計の中からやりくりして買ってくれた母親のことを考えると、到底青い靴に買い換えたいとは言えず彼は早く自分の足が大きくなって病む得ず靴の買い替え時期が来るのをジッと待った。
「小学校高学年」
彼の足が大きくなってピンクの靴が履けない時期を迎えた頃、母親はやりくりして彼に新しい上履きを買おうと彼を靴屋に連れ立った。
彼は迷わず周囲の男子達が履いていたのと同じ種類の同じ白色の物を選び、これまで彼を密かに苦しめ続けて来たピンクの靴とサヨナラした彼は、それまで暗かった表情を一気に明るい笑顔に変えた。
周囲の男子もようやく彼を認め仲間に加えるようになったが、彼の中では周囲の男子が履いている種類の靴に強い違和感をも抱いていた。
「どうして男女別々なんだろう」
着るもの履くもの全てが何故、男女別々なのだろうと言う激しい疑問と同時に、男は男物、女は女物と言う常識をも巻き込んだ激しい葛藤が彼を新たに苦しめ続けた。
本当はスカートが履きたい… 本当はブラウスが着たい… 本当は髪を伸ばしたい… 本当は白いソックスを剥き出しで履きたい… 本当はタイツを履きたい… 本当は本当は本当はと、彼の心は常に渦巻いていた。
そんな彼が目にした物は女子に流行り始めたパンティーストッキングの存在だった。
「自分も履いて見たい」
彼は嬉しそうに恥ずかしそうにスカートの裾をひるがえす女子達を遠めに見て、その美しさに過去、自分も履いたことのあるパンティーストッキングを思い出していた。
滑らかに肌に馴染む感覚を思い起こしつつ女子達の足に視線を強く引っ張られつつ、周囲の目を気にしてその目を女子達から背けた。
女子達は初めて履いたと言わんばかりに喜び、そして互いにその色を自慢し合い楽しそうにしていたのを見て彼は心の中で女子達の中に居る自分を想像していた。
そして中学に入り学生服に身を包んだ彼は、周囲に居てセーラー服姿に黒いパンティーストッキングで下半身を覆った女子達を横目に見つつ入学式に挑んだ。
東北地方の入学式は未だ残雪の残る季節であって、その寒さから周囲に居る母親達や女教師達も黒いパンティーストッキングで肌を覆っていた。
元々、学生服よりもセーラー服への執着のあった彼にとって辛い入学式でもあったが、女子達が動いた瞬間、見え隠れしたスカートの中、スリップの裾に心臓をドキッとさせた。
「自分はおかしいのだ」
彼は物心つくと同時に女子の容姿が気になり、やがて盗み出したパンティーストッキングを履いて覚えたマスターベーションの過去に嫌悪を覚えていた。
変態や変質者と言う言葉すら知らなかった頃の自分の過去を思い出しつつ、母親に頼まれたと嘘を言い雑貨屋で黒いパンティーストッキングを一枚買うと、彼は逃げるように店を出て自宅の自室に篭った。
高鳴る気持ちを抑え窓をカーテンで覆い自室に布団を引くと慌しく下半身を裸に、爪でパンティーストッキングを伝線させないようにスルスルと下半身を覆い隠した。
心臓はドクドクと高鳴り口から心臓が飛び出さんばかりの緊張と大きな期待感の中、彼はスルリとしたストッキングの密着感に首を仰け反らせ両足を擦り合わせた。
そして思い出した女子の履いていた白いスリップを想像しつつ、慌てて靴下と酢本を履くと、留守にしていた姉の部屋から白いスリップを持ち出し再び部屋へ逃げ戻り今度は、全裸になってスリップを自身に滑らせ着た。
肌にスルスルと滑る感覚のスリップに感動し同時にパンティーストッキングに滑るスリップの裾に彼は女の喜びに浸った。
そして女子がしていたように腰を左右に振ってスリップの裾がフワフワと舞う瞬間を堪能したが、彼は自らの下半身に違和感を覚えた。
それは黒いパンティーストッキングの下、硬くなっていると思っていたペニスがフニャフニャだったことと、ペニスの先っぽから溢れた透明な大量の液体だった。
精液ではない透明な液体が黒いパンティーストッキングの内側から外側に滲み出し、彼は右手の中指で液体を触れた瞬間、ヌルリとした感触と同時に触れただけのベニスの先から目の前で溢れ出た液体に恐怖に似た感覚を覚えた。
彼はその液体がスリップに付着するのを恐れ直ぐにスリップを脱ぐと、起ったまま眼下の液体を見入り徐々に黒いパンティーストッキングに滲む様を見ていたが、彼は不思議とその瞬間冷静であった。
それはカウパー支線液、すなわち愛液であることを知らない彼はそのヌルヌルした物を右手の中指で撫で取るとそのまま鼻で匂いを嗅ぎ、ゆっくりと自らの口の中に入れ舌を滑らせ首を傾げた。
彼は指から舐めとった液体を味わうとその塩気の利いた液体を何度か指で撫で取っては舐め続け、口の中でヌメル液体が何なのか考えつつ、パンティーストッキングを太ももまで降ろすと、ペニスの根元を指で挟んで絞り動かした。
ドロリとした透明な液体がフトンのシーツにポタポタと落ちた瞬間、彼はシーツに四つん這いになって再び、シーツの上に溜まった透明な液体を指で撫で回しそして口の中、舌に絡ませ味わった。
その十五分後、我に返った彼は慌ててパンティーストッキングを脱ぎ、シーツについた液体を自らの舌先で舐め取りそのまま姉のスリップを戻しに自室を出て直ぐに戻った。
彼は脱いだ黒いパンティーストッキングを洗濯石鹸で洗いすすぐと、手で絞って押入れの中に隠して干した。
ある意味、初めての女装は彼のペニスを勃起させずフニャフニャにし透明な液体を溢れさせそれを嗅ぎそして舐めると言う不思議な行動を彼にさせた。
【二話】
「中学に入って」
中学に入っても彼の性癖とも取れる奇妙な女装行動は無くならなかった。
こっそりと姉の部屋に侵入しては姉のパンテイーやブラジャーそしてスリップを見てウットリしていたが、それは男の性(サガ)に依るものではなく、むしろ羨ましさから来る憧れのようなモノであった。
何処までも純白で清らかな下着たちと、時折履いているのであろう丸められたパンティーストッキングに頬擦りしその感触に瞼を閉じ、胸中をときめかせた。
だが、流石に実の姉の私物である下着を借りる気にはなれず、喉から手が出るほど欲しいモノではありながらも、何とか自力で自分だけの下着(モノ)をと、考えつつ自室に戻った彼は机を前にして手中におさめる良い方法は無いものかと知恵を絞った。
パンティーストッキングなら雑貨屋で母親に頼まれたと言い買えば良いものなのだが、それがパンティーやブラジャーそしてスリップとなると話しが変わる。
男が女物を買うと言う発想自体が男姿の彼には恥辱でしかなく、まして狭い田舎町のことバレれば街中の噂になりかねない状況下、彼はモンモンとした日々を送り雑貨屋で買ったパンティーストッキングで耐えるしかなかった。
だが、そんな彼にも転機が訪れた。
「福袋」
年の瀬の迫る十二月の末、彼は普段通りに田舎町の僅かな商店街で、福袋と書かれたポスターらしきモノを見つけた。
「そうだ!! これだ!!」
彼は洋服屋の前でその身を固まらせた。
「母親か姉へのプレゼント…」
彼は洋服屋の前で頭を過ぎった言葉に満面の笑みを浮かべつつ洋服屋に入ると、狭い婦人服コーナーの方へ足を近づけた。
「婦人物福袋」
彼はその場から遠くに見える用意された福袋の発売日を目で追った。
初売りは一月三日。
冬休みに入った彼は貯金箱のフタを明けて中身を確認。
八千五百円。
福袋は一つ三千円だからあと五百円足せば三袋買える。
残りの五百円ならお年玉で賄えると核心した彼は日々をワクワクしつつ一月三日を待ち続けた。
そして一月三日、遂に彼は九千円を手に人通りの少ない商店街の洋服屋の前に立った。
喉はカラカラに渇き辺りをキョロキョロと見回し店の扉を開け中に足を踏み入れた。
「有った!!」
彼は真っ直ぐ福袋のコーナーへと移動したが一瞬ピタリと足を止めた。
「待てよ! 中に何が入っているか解からないんだぞ!?」
彼は突然の不安に変え色を変えた。
「もしも目当てのモノが入ってなかったらどうしよう…」
彼は唇を噛んで考えた。
「そうだ! 目当て以外のモノは素直に母親と姉にプレゼントすればいいんだ!」
彼は湧き出た名案に間仮面の笑みを浮かべ再びコーナーへと足を運び年老いた女性店主に声を掛けた。
「あの! お母さんと姉にプレゼントしたいので!」
年老いた女性店主はニッコリと微笑んで母親と姉の年齢を聞いて来た。
彼は直ぐに年齢を伝えると年老いた女性店主は、ここら辺がいいかなと、彼に片手を回して場所を示した。
彼は福袋を見回すと目の前にあった福袋を三つ手に取り会計場所へ移動した。
すると突然別の客が来て彼は慌てたが、会計場所は男性用と女性用の中間にあったことで彼は汗だくになりつつも、ホッと胸を撫で下ろした。
彼は抱えた福袋を持って人目をはばかりつつ自宅の裏側へと足を急がせ、自室の少し開いて置いた二階の窓からぶら下がるロープに福袋を結びつけた。
「成功だあ!!」
彼は慌てて玄関から家に入ると自室に入り窓からぶら下げたロープを慌てて引き上げると、一旦は押入れにソレらを隠した。
彼は額から溢れる汗を服の袖で拭い取ると、海中電灯を持って押入れに自らを新入させた。
ドキドキドキドキと鼓動が激しく脈打ち、全身から湧き出た汗が彼を蒸し風呂状態にさせた。
そして一つ目を開くと彼の思惑通りその中に女性用の衣類と下着そしてストッキング類が入っていた。
彼は心躍らせて満面の笑みを浮かべると、押入れの中で声無き歓喜を噛み締め手に取った白いスリップとブラジャーに顔を埋めた。
彼は自分に必要なモノとそうで無いモノを幾度も迷いつつ選び出すと、二つ目そして三つ目と袋の中身を抜いて行った。
そして何度も閉じた福袋の紐を解いては自分が着れそうな服かそうでないかを根を詰めた。
押入れの中は彼の熱気で一月だと言うのに夏場を思わせるほどの熱気が空気を暖めた。
そして押入れから出た彼は全身汗だく状態を脱するため全裸になって汗を拭き男物の衣類に着替えると、押入れから取り出した二つに纏めた福袋を再び窓から吊るして外に下ろし、慌てて家を出て家の裏へと足を急がせた。
「これ… 母さんと姉ちゃんに…」
彼は夕方、父親も揃った辺り家から一旦出て裏へ回り両手に抱えた福袋を母親と姉に手渡した。
「どうしたの? コレ?」
「姉ちゃんと母さんにプレゼント♪」
姉と母親の問いに嬉しそうに笑みを浮かべた彼は、照れくさそうに二人と交互に目を合わせた。
「お! いいなあ~♪ 父さんには無いのかぁ?」
「ご、ごめん予算がちょっと足りなくてさ~」
父親の問いに俯いて照れる彼を母親と姉もまた照れくさそうに視線を向けた。
「俺の分も無いんだから堪忍してよ~♪」
彼は恥ずかしそうに父親にチラっと目を合わせ直ぐに視線を外し、二階の自室へと駆け込んだ。
彼は静かにドアを開いて一階の様子を窺うと、母親と姉と父親の楽しそうな話し声に耳を傾け、ホッと胸を撫で下ろすと勉強机に向かってガッツポーズを決めた。
こうして彼は悲願を達成し、且つ家族を喜ばせると言う二重の幸福感に浸った。
そして再び一階に下りて一家団欒の夕食を済ませ風呂に入るとウキウキした気持ちで二階の自室へ移動した。
彼はウットリして隠してある押入れを見つめると一人恥らったが、その姿はまるで女の子のようであり、彼がゲットしたモノは彼の予想を遥かに上回っていた。
【三話】
「深夜一時」
彼は自室の布団を静かにかわすとそのまま押入の前へ移動すると、静かにソッと押入れの戸を開きかくしてあった福袋を取り出し布団に戻った。
小さな裸電球の下、福袋を開いて中にあるモノを布団の上に並べた。
パンティーが数枚の他、ブラジャーとスリップとパンティーストッキングそしてデニムのスカートにブラウスと、夫々を種類ごとに小分けしソレに見入った。
隣室の姉を気にしつつ、ドキドキと鼓動が鳴り響き彼の耳にはその他は何も聞こえず。
彼は息を殺して小さな灯りの下で身に着けたいモノを別にするとその他のモノは福袋の中に静かに戻した。
彼は全裸になると、震える手に一旦拳を握り静かに深呼吸して時計を見た。
生まれて初めて女性(おんな)になろうとする彼はフリルの付いたピンク色のパンティーを手にすると、再び深呼吸して立ち上がりソレに両足を交互に入れスルリと股間を覆った。
「玉が邪魔だな…」
彼は身に着けたパンティーの中に右手を入れると、モゾモゾと玉袋を玉ごと手前に引いて収め眼下に盛り上がるパンティーを見て静かに溜息をついた。
彼の心臓はドキドキと早く鼓動を響かせ額を汗ばませた。
夢にまで見たパンティーのモッコリを見て彼は愕然としつつも、ホックを前側にAカップのブラジャーをクルリと回し方費もに両腕を差と込んだ。
ブラジャーのカップは潰れていて再び彼をガックリさせたが、彼は側にあったティッシュを詰め込んでブラジャーのカップに丸みをつけた。
そしてラストブラウンのパンティーストッキングを慣れた手つきでスルスルと下半身を覆うと、再び大きく深呼吸をしてスリップとブラウスを着衣しデニムのスカートで下半身を包みこんだ。
「心地いい…」
パンティーストッキングに包まれた下半身の全てがデニムのスカートとスリップに滑ると、彼は思わずその心地よさに布団の上に斜め座りし胸に右手を左手で体を支えた。
「……………」
彼は無言で女性(おんな)になれたことをシミジミと噛み締めつつ、大きく吐息を立てスカートの裾を見入った。
そして二度三度と斜め座りの姿勢を左に右にと変えストッキングの擦れ感を楽しむと、そのまま布団に仰向けに身体を倒し小さな裸電球を見つめた。
「スルッ! ッッッッッ」
彼はストッキングに包まれた右足のヒザを右手の中指で軽く擦ると、その激しい心地よさに思わず喘ぎ声を上げそうになって唇を強く噛み締めた。
そしてそのまま中指でスカートを捲くり上げつつストッキングに包まれた右足を滑らせると彼は、思わずその快感に首を左に勢いよく倒した。
「気持ちいい…」
彼は両足をヒザたてすると両手の中指でストッキングに包まれた両足をスルリと滑らせ首を左右に振って身悶えを激しくさせた。
彼の手はまるで彼から離れたかのごとく自由気ままにスカートの中を滑り出し彼は顔の表情を強張らせ、身悶えと越えに出せぬヨガリ声を喉の奥に溜めた。
「そして数十分」
彼の両手は彼の下半身を届く範囲で自由に滑りまわると、彼の左手は下半身から離れ慌しくブラウスのボタンを矢継ぎ早に外し右肩からスリップとブラジャーの肩紐を外した。
「あんっ!」
彼は無意識に右乳首を左手の中指で擦ると、我慢出来ない快感にヨガリ声を吐き出し、自分の声に仰天して荒くなった吐息を静め隣室に聞き耳を立てた。
心臓はドキドキと高鳴り隣室に聞こえたのではないかと緊張しつつ、彼は右手と左手を静かに動かし声を立てぬ範囲で自分を慰めた。
そして次ぎの瞬間、右手の中指が彼のペニスの先辺りに滑った瞬間、彼はガクッンと仰け反って両足の爪先をギュッと閉じた。
だがペニスは完全には勃起しておらず、彼は思うがままにストッキングの上、パンティー越しに中指をペニスの先に滑らせた。
そして感じたペニス付近のグショグショ感とヌルヌル感が彼を驚かせた。
パンティー越しストッキングから滲み出たヌルヌルした液体に彼は、咄嗟にパンティーストッキングを両手でヒザまで降ろし、パンティーをヒザ手前まで下ろした。
そしてグッタリと半起ちしたペニスを上下に扱いたもののペニスは一向に硬くなる気配無く、ただ無音でヌルヌルした液体だけがペニスから溢れだし彼の右中指はクチャクチャとその液体を滑っていた。
彼はペニスからの激しい快感に身悶えしつつ右乳首からの心地よい反応に無意識に吐息を荒くさせ全身を左に右にと大きく揺れさせた。
そして感極まってか、彼は彼の右手に絡みついた透明な液体を自らの口の中に指ごと入れ、レロレロピチャピチャと舌を絡ませ舐めとり飲み込んだ。
塩気のある奇妙な味が彼の味覚を刺激して彼は再びその指を自らのペニスの先に滑らせた。
彼はこの時点で自分が何をしているのかなど考える余裕なくひたすらに絡み取った液体を口中に運んで舐め取りつつ、グッタリしているペニスを扱いた。
そして数分後、半起ちしたペニスと乳首からの物凄い快感に彼は一気に快感の頂点へと達し凄まじい射精欲に彼は左手の平に半起ちのまま射精をした。
ハァハァと息を荒くした彼はその左手を顔付近に近づけると、自らの口の中に左手の平にあるモノを流し込み舌を絡ませつつ飲み干した。
ヌルヌルした感触と塩気の利いた生臭く苦い液体はスルリと喉を通り彼の胃袋に到達したが、彼は再びペニスの先を右手の親指と中指で回すように擦り続けた。
すると今度はグニャグニャの半起ち状態だったペニスはギンギンに硬くなって、彼は右手で硬くなったものを包むと前後に扱きつつ左手で右乳首を擦り始めた。
硬くなったペニスから来る男の刺激と乳首から来る女の刺激が反発しあいつつ彼を二度目の射精浴に繫げた。
そして二度目の射精欲が彼の脳を支配すると、彼は布団から外れ勉強机に両足を垂直に凭れさせ口元に近付いた硬いペニスの先を自らの口元に向け射精した。
彼の口元(かお)に勢いよくピチャピチャと撃ち放たれた精液はその大半を彼の口の中に入り、彼は口中に入った精液に舌を絡ませ飲み干し唇を舐めまわして飛び散った精液を飲み干した。
心は女でありながら身体が男である彼は、後に言われる性同一障害であることを知らぬまま自らの感覚でそれを証明した。
彼はこの夜、数回の愛欲(ほんのう)を自らの身体に絡みつかせ全身が溶けるまで一人セックスを続けた。
そして乳首が感じることを知った彼は一人で部屋に居れば暇を見つけ両手の指で乳首の刺激に酔い痴れた。
【四話】
「恥ずかしい…」
中学二年に進級した彼は身体検査で乳首を出すことに抵抗を感じていた。
周りは一年生の時と同じようにワイワイガヤガヤと騒がしく、パンツ一枚になって互いに筋肉を見せ合ったりしていたが、彼は腕組してできるだけ乳首の露出を避けていた。
だが、心の中で彼は何故、男にはブラジャーが無いのかと恥ずかしくもなく両腕を広げる同級生達を疑問視してもいたし、無防備の彼らを不安にも思っていた。
そして身体検査で自分の番が来ると彼は心ならずも恥を捨て、弄りで少し大きくなった乳首を晒すことになったものの、誰にも肥大した乳首を見られることなく検査を終えた。
彼は例え誰にも見られていなくても恥ずかしいと言う女心を誰にも打ち明けられず一人、慌しく着衣し逃げるようにその場を去った。
「すね毛が無い」
男女混合の体育の時間、トランクスになった折、女子達から足のすね毛が無いとべた褒めされた彼は周囲の同級生達の足を見てドキッと胸を高鳴らせた。
男だろうにこの違和感はと、同級生達のすね毛を見て頬が火照る思いがしてすね毛の濃い男子から距離を置いた。
だが、女子達の声は周囲の男子生徒にも飛び火してすね毛の無いツルツルした彼の足を一目見ようと男子達は彼を取り囲んだ。
そしてすね毛の無い彼をオカマ呼ばわりして傷つけたものの、毛の濃い女子達からは羨ましいの声援が彼を救った。
「白いスベスベの肌」
そして女子達から足が綺麗と絶賛された彼は男子達から気持ち悪がられつつも、女子達からの熱い声援の下、悪い気はせずすね毛の無いツルツルした両足を女子達に触らせた。
だが、女子達の細い指が彼の両足を滑った瞬間、彼は思わず出掛かった喘ぎ声を喉の奥に閉じ込めその心地よさに無言で全身を硬直させた。
彼は他人に触れられることの喜びを密かに心の中に仕舞いこんだ。
この頃の彼の日課は学校が終わって帰宅した後、家族の目を盗み更には留守の時間帯を見計らって夜な夜な身に着けている下着類(おんなもの)を洗い、押入れで乾燥させることに時間を割いた。
そして宿題中、女子達に騒がれた自慢のツルツルの両足を見ては満足げに笑みを浮かべ暇を見ては、服の上から腕組し両乳首に両手の中指を滑らせ机の上に頬をピタリと張り付かせた。
こうすることで突然、誰が部屋にきても直ぐに勉強中のスタイルをキープ出きると彼は思っていたし、実際のところ乳首(はだ)に直接触れるよりも衣服の上からの方が彼を感じさせた。
そして乳首が肥大するにつれ彼は、どうしてこの身体には乳房が無いのだろうと真剣に悩み苦しんでも居たし、少しずつ膨らみを見せる女子達に嫉妬にも似た念が生じていた。
「本当に体毛が無い」
彼は生まれつき体毛が薄く、学校での体育時間に周囲の男子の両腕や両足を見入ることがシバシバあった。
彼の両手足には殆ど体毛が無くスベスベしていたものの、それは彼にとって苦ではなくむしろ夜な夜なパンストを履いた時には好都合ではあった。
だが、当時テレビで流行っていた猿の惑星に出ていた猿が自分達から見て人間達を裸の猿と呼称したことで、彼は中学校では裸の猿と陰であだ名されていた。
そんな裸の猿的な彼は、当然自分のあだ名を知っていたものの、差ほどの苦ではなく喜ばしいさえ思っていて悪い気はしていなかった。
「中学三年生」
彼は進学すべく受験勉強に突入していたが、中学最後の身体検査の日、彼は肥大した乳首がバレませんようにと心の中で神様に祈っていた。
他の男子より極端に大きく肥大した乳首は近くに居れば誰にでも直ぐに確認出切るほど大きく、本来なら筋肉質的な胸も毎日のように揉んでいる所為で幾らかの膨らみさえ感じられた。
そして中学の一年、二年と腕組みして乳首を隠していた彼は今日もまた常時、腕組して乳首ならぬ乳房を隠していたが、聴診器を当てる医師が彼の胸の膨らみと肥大した乳首に気付かぬはずは無かった。
だが、彼の異変に気付きつつも医師は次々に待っている生徒達をほっとく訳にも行かず、取敢えずその場は彼を解き放ち、再び聴診器を手に次々に生徒達を診て行った。
「AAカップ」
彼は家人の留守中にコッソリと母親に来ている通販雑誌を手にとり勉強机に向かっていた。
見ていたのは自分の胸にフィットするブラジャーとスリップだったが、色や柄やその種類の多さに驚きを隠せなかった。
そして上半身を裸になって巻尺を使って、通販本に書いてある測定図を参考に自らの乳房の大きさがAAカップであることを知った。
そして何よりもブラジャーの種類の豊富さに目を丸くしてメモ帳に手に必死に書き込んだ。
アンダーとトップの図り方から学んだ彼は、続けて二段ホックや三段ホック、強いては五段ホックに至るまでビッシリとメモ帳に記入した。
通販本の中身に心を躍らせワクワクしながら見入る内に、彼は家人が留守中にシバシバその通販本を覗くようになって行った。
「AAカップが欲しい」
彼は受験勉強も手に付かないほどにAAカップの二段ホックのブラジャーが欲しくて欲しくて堪らなくなっていた。
値段は小遣いの中から出せるがどうすれば買えるのか通販本の買い方と言うコーナーの隅々まで読み漁った。
だが当時は今のように曜日や時間帯指定等は到底無い時代であって、付いている葉書を郵送して二週間前後が目安と言うだけの内容に愕然とした。
「絶対に無理だ…」
彼は通販で購入することを諦めなければならなかった。
注文後、二週間前後と言うアヤフヤな到着日では注文してもいつ到着するかハッキリしないことで、彼は涙を飲んで無理だと言うことを自分に言い聞かせた。
そしてガックリと肩を落とす彼は押入れに隠してあるAカップのブラジャーを見て、自分で手縫いで出来ないものかと考えもしたが、縫い物などしたことの無い彼にとってそれは至難の業だった。
だが、彼は諦めきれない自分を抑えることが出きずに遂に見様見真似で母親の縫い物の本を失敬して、針と糸を使って数枚ある内の普段使っていないブラジャーを犠牲にしようとカツプに挟みを入れた。
だが、上手く行かずの上に指は針の刺し傷が何箇所も出来、遂に業を煮やした彼はブラジャーのカップ部分をハサミで切り取ってしまい、上手く出来なかった自分を何度も責めつつ、本も針も糸も密かに母親の部屋に返した。
彼は愕然としてカップだけが無くなったブラジャーを横目に、こんなことなら手芸部にでも入って置くんだったと、自分を何度も責め失ったブラジャーをどう処理するか方法を考えつつも、カップの無いブラを手に持って観察した。
【五話】
「その夜」
彼は受験勉強を終え十二時になるのを待ってから、一階へ行き両親が寝静まり隣室の姉も寝静まったことを確認して自室に静かに辿りついた。
そしていつものように全裸になると押入れから取り出した女性(おんな)になるための衣類を取り出し、パンティー、パンティーストッキングで下半身を包んだ。
そしてブラジャーを手にした時、彼はフッとカップ部分の無い失敗ブラジャーの存在に気付きゴソゴソと福袋から取り出すと、裸体乳房の上に着けて見た。
すると何を思ったか彼はブラジャーのカップ部分に乳房の肉を両側から集め乳房を形成し始めた。
「これは!?」
彼は昔は無かったブラジャー型のバストニッパーを作ったことに目を丸くし、両乳首を両手で撫でて見た。
その瞬間、彼は突然の激しい快感(しげき)に思わず、ああんっ! と、声を上げて悶えてしまった。
彼は再び我に返ると手作りのバストニッパーを見てその上から白いスリップを着けて見た。
そして当然のことながら彼は、スリップ越しに乳首を両方撫でると、薄生地一枚隔てた乳首からの凄まじい快感(しげき)に、吐き出しそうになったヨガリ声を枕の中に吐き出した。
彼は当時は無かったブラジャー型のバストニッパーを着衣しつつ、ワンピースに身を包み小さな裸電球の下でスカートの裾を左右に揺らし女性(おんな)として学習机に向かい椅子に腰掛けた。
その時、彼は確かに胸に自分の乳房を感じ感激のあまり涙ぐんで声を殺した。
これならAAブラジャーは必要ないと彼は何かから解き放たれた思いがした。
「自分はおかしいのだ」
自分はおかしいのだと思いつつも止める事の出来ない秘密の女装に彼は、誰にも相談出来ない辛さを背負って中学を卒業し高校へと進学した。
高校へ入学した彼が真っ先に目にしたのが中学生とは比較にならないほどに成熟した先輩女子達の姿だった。
尻はツンと上を向き胸には服の上からでも良く見える乳房の形、彼は彼女達先輩を見て自分が惨めに見え、そして女として未熟であって自分は男なのだと実感させられた。
だが、そんな彼を元気付けたのは見た目はどう見ても男性にしか見えない先輩女達の存在だった。
背丈も高くスリムなボディーには女性特有の丸みは無くそして女性のシンボルとでも言うべき胸のなさに、内心ホッとしてもいた。
彼にとってスリムな彼女達はもはや女性(おんな)ではなく、ある種、自分と似ているような気さえしていた。
そんな彼の高校生活が始まったものの、高校生になって身長も百八十を越える彼にとって、ある重大な問題が発生していた。
それはパンティーストッキングのサイズの問題であった。
田舎の雑貨屋には精々、LLサイズのモノしかなく、百八十を越える彼には通販本に記載されていたサイズであるTLサイズを何処で入手するかと言う難題だった。
自宅通いの彼は通販を使うわけにも行かず、日々愛着するLLのパンティーストッキングを両手に持って伸ばして伸ばしきって履くしか現在のところ手立てが無かった。
だが、そんな折、男並みの身長である百七十前後の女子達は何処でTLさいずのパンティーストッキングを買っているのかと言う素朴な疑問に当たった。
「彼女達は何処で」
彼は長身女子、殆どが先輩達なのだが通学している自宅もマチマチの状態で一体彼女達は何処で買っているのか知りたいと言う気持ちに駆られた。
だが、直接そんなことを聞く訳にも行かない彼は自宅の近くにある雑貨屋には無いTLサイズを求める旅に出るしかない気持ちであった。
そして学校の中では入手出来ない情報を彼は、ヒョンなことから得ることになったのが、バスで二つほど離れた少し大きめの街にある衣料品店のことだった。
衣料品店と聞いた彼は当然のことその専門店を訪れないはずもなく、それから数週間後の日曜日にバスで二つ先の街へ出かけ、話しに聞いた衣料品店を訪ねた。
広々とした駐車場の前に雑貨屋の数百倍はあろうかと言う衣料品店の前、彼はそのスケールに圧倒された。
深呼吸して自動ドアを潜ると中は広々とした空間で天井から商品コーナーの札がブラ下がっていて、彼の欲しいモノの場所が直ぐに解かった。
そして辺りを見回しつつ室内をキョロキョロしたが、時間が早いこともあって客も疎らであることからこれなら何とかなると妙な自信に満ち溢れた彼は料金の清算場を凝視した。
彼は買い物籠を手にすると、そうそう頻繁に来ることも無いだろうと腹を括り目当てのモノの場所へ急ぎ足で移動すると、彼はその品数や色彩豊かで機能性に富んだモノ達に仰天した。
だが、品定めしている暇は無いと辺りを見回した彼は、取敢えずTLを目標にその場を発見すると、その場に屈んで様々な色のTLサイズを買い物籠に入れ最後に男性用のトランクスを一枚紛れ込ませた。
彼は心の中で清算場に居る女性に何か聞かれるのではないかと、心臓の鼓動は次第に早くなりそれを抑えるのに必死でもあった。
彼は額の汗を拭うとまっすぐにわき目も振らずに料金場を目指し、見事に買い物籠をカウンターの上に置いた。
すると、突然店員の視線が彼の眼中に飛び込んできたが、彼は落ち着きをコントロールしようと懸命になりつつ、店員がレジ打ちしている間にひとこと、学校祭で使うんですと、カウンターの女性は頭を軽く振り納得したように清算を始めた。
やった! 彼はこの瞬間、思わず口に出した言い訳に感動しつつ、ニッコリと店員に笑みを浮かべた。
買ったモノはTLサイズのパンティーストッキング五足組のゾッキタイプの色違いを二十枚そしてトランクスを一枚を買い求め、わき目を振らずに真っ直ぐに出入り口へと足を進めた。
何度も何度も通販本で研究を重ね勉強したモノを見事に購入出来た彼は天にも昇る気持ちで店を出ると、その足でバスに乗り帰宅の途についた。
黒、ライトブラウン、アーモンドブラウン、ショコラブラウンの切り替えつきのシームタイプとマチ付きの種類、彼は帰りのバスの中で嬉しさ一杯で早く家に戻りたいと気を焦らせた。
そして家人に見つからぬ様に最新注意をはらって二階の自室に戻った彼は、勉強机に向かって座ると買ってきたモノを袋から出し夜が待ち遠しいと心躍らせた。
「押入れ」
彼は買ってきたモノを押入れに隠すと海中電灯で押入れの中をくまなくチェックし、天井の板が外れることを知った。
そして押入れの中で中腰で天井の板を静かに外し頭を屋根裏に突っ込んで中の様子を確認した。
「割と広い」
彼はホコリっぽい屋根裏の広さにある種の感動を覚え高さを調べると一メートルあることが解かった。
立ち上がる高さは無いものの、着替えるスペースはあると確信した彼は市場か高い場所で一メートル五十センチほどの家の略中央に懐中電灯を当てた。
真っ暗な中、海中電灯は舞うホコリを捉えると同時に様々な電気配線を彼の目に伝えた。
彼は早速、上半身を屋根裏に突き立て照らす場所を細かに確認すると、掃除機を持って来て取敢えずは四畳半程の広さを確保した。
次ぎは拭き掃除とばかりに物音を極力抑え四畳半程のスペースを拭き始めること一時間、バケツの水は真っ黒になり雑巾はボロボロになった。
彼はこの屋根裏に秘密の基地とでも言うか、彼が女装(おんな)になるべくスペースを確保した。
彼は天井裏の四畳半程の広さにビニールシートを張りその上に使っていない毛布を一枚置き、買って来たモノと押入れに隠してあった福袋ごと天井裏の隅に置いた。
そして最後に別の懐中電灯を天井に下げ点等させると辺りはその光に影響を受け彼は新天地を手に入れた気分に浸った。
【六話】
「新天地」
彼は自分の部屋の上に女装(おんな)になるべく新天地を開拓し、粘着テープとダンボールで作った下着入れや衣類置き場を設置し、ここを秘密基地として使うことに喜びを感じた。
懐中電灯の光だけでは足りない薄暗い天井裏の部屋は空気は乾燥しているもののホコリっぽさはなく、少し我慢すれば快適に使えそうな小部屋だった。
長年、押入れに隠していたモノや新規に入れたモノの全てを新天地に移した彼は、ようやく肩の荷を降ろしたかのように安堵の表情を浮かべた。
「これで昼間も女になれる」
新天地の開拓に成功した彼は、家人に見つかる事を恐れそして怯えることなく、昼間でも自由に女になれることに喜びを感じていた。
そして彼の新天地である屋根裏の小部屋は、見る見る間にダンボールの紙を使って壁、天井に床と居心地の良い環境へと様変わりして行った。
「学校では」
学校での彼は男姿にして女である事がバレないように言葉や態度を意図的に変え明るく振舞い、学校が終わって帰宅すると同時に嫌で嫌で仕方のない学生服を速攻で脱ぎ捨て、屋根裏部屋で女装(おんな)になった。
だがそんな事実があると知らない同級生の女子達の中に、彼を慕う女子も居たが彼はその存在に気付くことはなく、意図的に男子を振舞うその姿にその女子は心を熱くして行った。
そんな彼が、高校生活を始めてから欲しくて欲しくて仕方無いモノがあって、どうにも手に入らないモノと諦めつつもモンモンとした気持ちで学校生活を送ることに。
セーラー服は今の彼にとって最大の必需品であるが、まさかセーラー服を買いに行くことも出きず、そして高価でもあって我慢するしか無いと諦めていた。
「俺は変態なんだ」
彼は自分を変態と位置づけることである種の安心感を得ていた。
男の姿をしているのに女になりたいなんて変態としか言いようがなく、他に言葉の見つからない彼は自らを変態と位置づけていた。
そして変態と位置づけつつ屋根裏部屋で女装(おんな)になる彼は、昼となく夜となく自慰をして苦しい胸の内のウサを晴らしていた。
そんな彼が街や学校で見かける女性に対しての見方は他の男とは少々違っていた。
他の男達は女を見て男の性を視線に重ねるものの、彼の場合は男の性ではなく自らを女として視線に入る女達を羨んでいた。
胸と尻の張りに括れた腰を見ては、羨ましいな~と、彼女たちの服装と身体のラインに自分をはめ込んで想像した。
普通の男なら綺麗な女を見れば、味見してみたいと思うところ彼の場合は、あんな姿で味見されてみたいだった。
「俺は変態なんだ」
彼の自慰は他の男達の自慰と変わっていた。
彼の自慰の殆どが誰かに抱かれていることを想像し常に相手側は男が殆どだった。
だが不思議と女装(おんな)になっている彼はそのペニスを勃起させることなく、常にフニャフニャの半起ち状態で下手をすれば半起ちも間々ならないことも多かった。
パンティーストッキングの下、パンティー中で下半身を覆う彼のペニスさは硬くなることをせず縮んだまま、透明な液体を溢れさせパンティーストッキングにまでその液体は滲んだ。
自分の手が届く範囲でパンティーストッキングに包まれた下半身を指で滑りつつ、開いたブラウスの中に手を入れ乳首を指で触れ時には摘む行為で彼は女の喜びに浸った。
そして様々なポーズで夢の中の男子に犯され辱められ又は優しく抱かれ、スカートを尻まで捲りブラウスを肩まで押し下げスリップそしてブラジャーの肩紐を外し顔の右頬を床につけた。
そしてパンティーストッキングに包まれたパンティーの上から縮んだペニスの先っぽに中指を滑らせ、片方の手で小さく膨らんだ乳房を揉み回すと、彼はクウゥっと喘ぎ声を上げた。
彼の想像の中の男達は様々な手法で女装(おんな)になった彼を責めたて、時には折檻されるがごとく、彼は自らの尻を物差しで叩き激しい音を立てた。
そして時にはパンティーストッキングに包まれた彼の太ももは、ロープで縛られ自由を奪われ大きく広げさせられてその内モモにムチと化したロープが音を立てた。
彼の想像する男たちは様々な性癖を持って様々な手法で彼を味わいそして犯して行った。
そして彼はでんぐり返って自分の口目掛けて射精をするとその液体を開いた口の中で下を転がし飲み干した。
「やっぱり俺は変態だ」
彼は自慰を終えると必ず自己嫌悪に陥った。
自分の身体から出た精液を自分で飲むと言う行為は第三者的に見ても変態そのものだった。
しかも自分の身体をロープで縛り縄跳びの紐で打ちつけたり、男に犯され恥辱に涙する女を演じたりと、彼は激しい自己嫌悪に陥っていた。
そして時には自分の左手の平に出した精液を自ら顔に塗りつけ出した舌で舐め取ると言う、もはおプレイと言った方が近い状態でもあった。
そしてペニスを絞って全てを出し切っては再び女装(おんな)に戻っては、鏡に映った自分を見てウットリするものの、顔は見ることはしなかった。
彼の自慰に出てくるのは決まって女性ではなく様々な性癖を持つ男性であった。
「高校二年生」
自分は変態なのだと位置づけつつも彼は二年生へと進級し持っている衣服にも限界が迫っていた。
着ていた女物の服やブラウスは次第に破れそして擦りきれて行き、そろそろ買い替えを迫られていた。
彼は以前、パンスト類を買った二つ隣の少し大きな街の衣料品店を訪れていたが、恥ずかしさが突然湧き出し店に入るのをためらっていた。
そして三十分ほどして決心した彼は、その店に入ると真っ直ぐに婦人服売り場へと足を運んだ。
するとどう見ても男と言わんばかりの三十過ぎくらいのオカマが堂々と買い物籠に女物を入れているのを発見した。
彼が呆気に取られていると、そのオカマは自分の身体に服を合わせ見してその姿を鏡に映しては別の服を取って鏡に映していた。
彼はその様子を見て大きく深呼吸すると、買い物籠を手に前々から欲しかったタイトスカートとブラウス、そして必要分のパンティーストッキングと下着類を籠に入れた。
彼はオカマが堂々と女物を買っている姿に勇気つけられたのだろうか、持っていた現金を全て女物の衣類につぎ込んで、オカマが精算所へ行くのを待ってから足を急がせた。
そしてオカマが精算所のカウンターの前に立った瞬間、彼は意を決して足早にオカマの隣に並んで輝かしい栄光を掴んだ。
彼は夢にまで見たAAカップのブラジャーを二枚も手に入れた。
【七話】
「誰かに触れられたい」
彼はストッキング越しに触れる感触に女の喜びを感じつつ、日々誰かに触手されてみたいと言う願いを内に秘めていた。
スリップ越しに滑る指からの肌に感じる心地よさにウットリしブラジャー越しに感じる乳首の心地よさが彼を自慰に引き込む。
彼は自分の指だけでこれだけ感じるのだから他人にされたらと、他人からの触手に夢を抱いていたが、現実的には相当難しいことだった。
そんな彼は今日もまた屋根裏の秘密基地で女装(おんな)になり、斜め座りして宿題を仕上げようとしていた。
タンボール箱の机の上の前で女座りして勉強する彼は、足と足が身体とスリップが擦れる度に小さな喘ぎ声を上げた。
「一度でいいから」
彼は勉強の合間に一度でいいから女装(おんな)の姿で外を歩いて見たい、もし駄目ならせめて家中だけでもと、機会をうかがった。
そんな彼の夢を叶えるべく日が、遠からず彼の前に飛び込んできた。
数日後、親戚に不幸があって両親と大学生の姉が半日ほど掛かるところへ急遽出かけることになって彼は留守番を両親から頼まれた。
彼はこの吉報に歓喜しつつも、暗い表情を両親にして見せつつ、内心は沸きに沸いた。
「これで夢が叶う」
彼は昼過ぎ両親と姉を玄関先でタクシーの窓越しに見送り、ワクワクして踊る心をグッと我慢して家に入ると玄関の中でガッツポーズをした。
玄関から上がった彼は自宅の廊下をスキップしつつ、二階の自室の窓から家族の乗ったタクシーが戻って来ないか確認すること三十分が経過した。
そして更に三十分が経過した頃、彼は再び窓から外を眺め家の前の通りを目を細めて見据えると、玄関に戻って鍵の他にチェーンを掛けた。
チェーンを掛けておけば万一、家族が帰宅しても直ぐには入れないだろうと工作しつつ、再び二階の自室の秘密基地へとその身を移した。
彼は慣れた手つきで裸体になるとパンティー、パンティーストッキングそしてAAカップのブラジャーにスリップで全身を包み、ブラウスとタイトスカートを着衣した。
そして秘密基地から自室に降りた彼は突然、一階の裏口のことを思い出し、慌しくストッキングで滑る階段を降り廊下かせ居間、そして台所横の風呂場の横のドアに到達した。
彼は裏口のドアに掛かっている鍵を見据えると、満面の笑みを浮かべてゆっくりした足取りで冷蔵庫の中から冷えた麦茶を出して、ゆっくりと飲み干した。
そして再び自室の秘密基地へ移動した彼はいつかは役に立つだろうと買って置いたスリッパを持って自室へ降り立つと、その足で用もないのに階段を降り家中を歩き回った。
その容姿はまるで女性のような足裁きであって後ろ見には到底、男とは思えないほどであった。
彼は通販の本をヒザの上に乗せるとソファーの上に腰掛け足組して本に目を通した。
夢にまで見たワンシーンを彼は実現していた。
彼は女装(おんな)になったままで一昼夜を過ごそうと、夕方の五時過ぎ母親が用意してくれた晩御飯を女装(おんな)として済ませると、シンクの前に立って食器を洗い片付けた。
やること全てが女の彼にとっては新鮮で且つ、美しいモノであった。
掃除機を手に一階の居間を掃除したり廊下や台所の床の拭き掃除に至るまでを女装(おんな)と、して一通りすると、窓に掛かっているレースカーテの上に厚物のカーテンを滑らせた。
彼は再びソファーに座って麦茶を飲むと、落ち着かない自分を抑えて風呂場に行き脱衣場で全裸になってシャワーを浴びた。
そして胸にクッキリと残るブラジャーのワイヤーの跡を見てニッコリと笑みして身体を洗い流した。
夢にまで見たシーンに彼は幸福感を覚えた。
そして汗が引くの待ってから再び着衣すると、カーテンの隙間から外が暗くなっているか確認して裏口へと向かった。
湯上がりの身体の火照りを冷まそうと裏口から外に出ると、ブロック塀伝いに左側の中庭へと足を移動させた。
彼の家の周囲の民家は裏の一軒と玄関に向かって右側の一軒だけであって、中庭が面している隣地は空き地になっていた。
彼は薄暗くなった外に居て誰の目をも気にせずに二つ目の夢を叶え、サンダルを脱いで柔らかい芝生の上に斜め座りし幸福感を噛み締めた。
そしてこの夜、女装(おんな)として時間を過ごした彼は、ブラウスとスカートを脱ぎパンティーストッキングと一緒に椅子の背もたれに掛けるとスリップ姿で布団にその身を入れた。
女として過ごした時間を瞼の裏側に焼付けた彼はこの夜、本物の女になった夢を見て熟睡した。
そして朝、早めに目を覚ました彼は再びパンティーストッキングを履きブラウスとタイトスカートで身体を包み一階へ降りて厚物カーテンを開き、そのまま洗面所へ移動した。
女としてする行為の全てが彼には新鮮で、歯磨き一つにしても幸福感で一杯だった。
そんな彼に朝の八時過ぎに吉報が母親から電話で届いた。
「もう一泊」
彼は母親からもう一泊するからと言う連絡に心躍らせる日曜の朝を迎え、手を叩いて飛び跳ねて喜び、その姿は女の子そのものだった。
そして彼は母親からの電話の後、燦々と光を放つ太陽の下、裏口から中庭に出ると全身で太陽の光を浴びつつ三人掛けのベンチに腰を下ろした。
風が彼の火照った両脚を通過しスカートの中の熱を奪い去る瞬間、彼は自分が女であることを実感した。
このまま時間が止まってしまえばいいのにと心の中で呟いた彼は、瞼を閉じて眩しい光を肌で感じた。
そして一時間ほど経過した後、彼は家中に戻ってインスタントラーメンで腹を満たすと、二階自室の秘密基地に入りブラウスをそのままにタイトスカートをデニムのショートパンツに替えた。
彼はブラウスの袖を巻くり上げ胸のボタンを二つ外すと再び中庭に出るとベンチにゴロンと横になって足組して目をつぶると、スカートは違った風を両脚全体に感じた。
そして彼はこの日の夜、明かりを落として自慰に入ると、両足と尻を壁伝いに縦に這わせつつ自らの精液を自分の顔に掛け舌舐めずりして精液を飲み干し一日を追えた。
彼にとってこの身体の精液は自分のモノではなく、我が身を襲った男の精液そのものであった。
【八話】
「進学はしない」
高校三年生になっていた彼は進学しないことを両親に伝え、担任教師にも就職して自立したい趣旨を話したが両親からは当然反対された。
彼は早くこの家を出て自活して自由な暮らしを手に入れたかったが、それはある意味彼の不純な動悸からだった。
一人暮らしをして女装(おんな)とし暮らす時間を手にいれたかった彼は、是可否でも自立の道を歩むべく進学の話しで両親と対立していた。
だが、彼は諦めずに両親を説得して就職先を探す方向で準備を始めたものの、彼の頭の中は女装(おんな)として暮らすことで一杯だった。
一人暮らしを始めれば欲しいものは通販でも買え仕事に行く時だけ男を装えばいいと考えていた。
「就職先」
高校を卒業した彼は適当に選んだ工務店に就職したものの、日々の仕事に追われ夢見ていた一人暮らしも間々ならぬ状態だった。
朝、出勤して仕事を終えて帰宅する頃には既に日は落ちクタクタになるの繰り返しで女装(おんな)になって暮らすどころではなかった。
最初の二年間は研修状態で現場作業がメインの彼にとって、働くと言うことがこれほどに辛いモノだとは考えてはたなかった。
そして半年が過ぎる頃にはプヨプヨしていた身体は筋肉質となって、男らしさに更に磨きがかかり、彼にとっては耐え難い屈辱でもあった。
そんな彼が女装(おんな)になって居られたのは日曜日のみであって、土曜日も現場作業の続く彼にとっては週一度の切ないものだった。
そして就職して二年目を迎えた頃には殆ど女装(おんな)になることも無くなっていた彼は、職場を通じて知り合った取引先の女性と月、一~二度のデートをするようになっていた。
彼は彼女と付き合っている内に心の中に抱えていた病気が消えて行きつつあることに気付いた。
そして交際して数ヶ月も経った頃、彼は初めて本物の女性の肌に触れる機会に我を忘れ将来は結婚をと考えるようになり、彼はアパートの部屋に隠してあった女性用の衣類の全てを廃棄した。
彼は男として女性を愛し幼少期より持っていた病気も徐々にその陰を消して行ったが、彼女との愛欲の時間、彼は一度として完全な勃起を経験したことは無かった。
やがて彼は現場作業から現場監督へ昇進し、その後、数年間続いた彼女と結婚した。
「結婚生活」
結婚して数ヶ月後、彼は自らの身体に違和感を覚えるようになっていた。
それは妻と愛欲していてもペニスは常に半起ち状態で完全な勃起は無く、常に半起ち状態のままでの挿入と言う男として半人前以下の性行為だった。
妻とは結婚前から性生活はあったものの、彼は妻の裸体には興味を示さずむしろ妻の下着姿やストッキングに包まれた下半身に興味を示していた。
それ故に妻との愛欲は常に半起ち状態であり右手でペニスを支えながらのセックスであったし、妻の全裸を見て興奮することはなかった。
そして彼が二十三歳の時、妻は妊娠し子供を出産したものの、父親であることを自覚しつつも、彼は以後、妻に欲情することなく二人の間からセックスと言う言葉は消えて行った。
「起業」
彼は若干、二十五歳で工務店を退職し独立すべく自らの会社を興し、少しずつながらも収益を上げ彼の生活は平穏なモノにんりつつあった。
そして起業して三年目の二十八歳の頃、彼は自宅から車で三十分ほどの街中に自分の事務所を立ち上げ順風満帆な第一歩を踏み出した。
だが、妻と結婚し妻が妊娠出産を機に彼は妻と交わることをせず、また妻も愛欲を求めずの月日が経過して行った。
そして彼が起業して会社の経営が完全に軌道に乗った辺り、心の中に抱えていた生活の不安や仕事のストレスから解放された頃、ようやく彼は男を発揮すべく自宅寝室で妻を求めた。
だが、妻は求めに応じず彼は拒絶を数回繰り返された後、会社事務所の社長室で一人で自慰を繰り返すようになったが、妻との関係が壊れた訳ではなかった。
そしてそれから数年経過したが彼は週数回、会社の事務所で自慰することを止めなかったが、子供はドンドン成長し彼もまた父親として子供の成長を大いに喜んだ。
「切っ掛け」
この頃、会社は起業当初と比べ物にならない規模に成長を遂げ、女性事務員を雇用出来るまでになっていて、彼の自慰生活は事務員が休みの土日か祭日の日に移行していた。
そんなある日のこと、ゲーム等には一切興味を示さなかった彼に、事務員が会社の近くに出来たゲームセンターの話しをし、彼は事務員に誘われるままゲームセンターに出かけた。
そして様々なゲームをしている内に、UFOキャッチャーと言うゲームに嵌まった彼は、数百円使った辺りでようやくガチャガチャのような丸い玉をキャッチした。
そして丸い玉を開けて見るとそこに入っていたのは、女性用の地味なパンティーだった。
彼は照れながら女性事務員に君が履けばと、手渡すと女性事務員はこんなの履けないと顔を真っ赤にして彼につき返し、事務員は奥様に持って行かれればと彼に助言した。
だが、仕事を終え女性事務員や従業員たちが会社を後にした時、彼はUFOキャッチャーで取ったパンティーを手に何故か胸をドキドキさせた。
彼は会社中の窓のブラインドを閉じ玄関に内鍵をかけると、そのまま社長室に移動し誰のモノでもないグレーのビキニタイプのパンティーを机の上に置いた。
「何年ぶりだろう」
彼は机の上に置いたパンティーをジッと見つめると、無言でズボンとトランクスを脱ぎ高鳴る心臓に深呼吸してそのパンティーを履いて見た。
心臓更にドキドキ感を高鳴らせ、彼は何年ぶりかで女装(おんな)姿の自分を真上から見下ろして顔を火照らせ恥らった。
ゲームセンターで取ったパンティー一枚が彼の心の中で眠っていた女心を目覚めさせ、彼の胸をモンモンとさせた。
そして社長室に置いてあるPCから通販サイトを検索すると、パンティーを履いたまま女性用のページに目を釘付けした。
そして気付けば彼は通販サイトから注文葉書を印刷し、昔捨てたはずの女装(おんな)になるための衣類を注文していた。
彼は従業員や事務員が会社に来ない日を選び葉書の必要項目を○で囲み時間帯を指定し女性名でその葉書をその日の内に投函した。
彼の消えていた女心に一枚のパンティーが再び火を点けたようだった。
【九話】
「勤勉実直」
勤勉実直な彼は日曜、祭日を含む全ての日を殆ど会社で過ごし帰宅するのは寝に帰るだけの生活になっていた。
正月の一日も半日会社で仕事に励み休むと言えば精々、お盆休みの数日間で、彼は子供の運動会や学芸会すら行ったことのない猛烈社長であった。
賭け事をする訳でも女遊びをする訳でもない彼は父親としては駄目な父親だったが、社長としてはその働きぶりは取引先をも驚かせるほどだった。
そんな彼を昔の病気に戻してしまったグレーのパンティーは今や、その仲間を増やし、彼は社長室の中のクローゼットの中に秘密の小箱を置いた。
小箱は木で出来ていて鍵のかかる縦横四十センチ程のモノで、今やこの箱の中は女性用品がギッシリ詰まっていて会社が休みの折、彼は早朝から女装(おんな)を楽しんだ。
普段から会社人間だった彼は通販で買った女性用の下着や衣類を小箱に詰め込み、会社が休みの日だけ女装(おんな)になって、会社の中を自由に歩き回り、またある日は事務視よと繋がっている車庫の中の車の中で時間を過ごした。
そして必ず会社に備え付けられたシャワーで身体を洗い熱い湯でブラジャーのワイヤーの跡を消して帰宅の途に着いていた。
「性同一障害」
彼が性同一障害と言う言葉を知ったのは四十歳を過ぎた頃だった。
PCのネットの輪も大いに広がり幼少期から抱えていた自分の病気について検索をする日が続いた頃、彼はようやく自分の本当の病名を知った。
そして初めて女性の肌に触れた時のことを思い出し、半起ち状態のままセックスへ突入した時のことや右手で半起ちのペニスを押さえて挿入し射精したことを思い出した。
「やっぱり病気」
彼はネット検索している内に自分が性同一障害であることを突き止めたが、自分はこの病気を隠して墓まで持って行こうと考えていた。
実際、四十を過ぎて会社を経営している男が実は女でしたと世間に訴える必要性の無さから、彼は見た目通り男として人生を全うしようと思い詰めた。
ただ、女装(おんな)になることは人生の生き甲斐として楽しむと言うことで続けようとも思っていて、止めることは毛頭考えてはいなかった。
そんな彼の所謂、持病とも言うべき肩凝りが酷く月に一度は筋肉注射を打ちに内科へと足を運び、酷いときには力自慢の従業員に日当を払い揉み解しを頼んでいた。
従業員達は仕事よりも辛いと、中々引き受け手もなかったが文句一つ言わずに彼の背中を揉み解す数人の男たちが居て、その日もうつ伏せになった彼の背中を入念に揉み解していた。
元来、他人に身体を触れられることに心地よさをも感じていた彼だったが、大抵は数時間の揉み解しでうつ伏せのまま熟睡してしまう彼を横目に、男にお茶を出す事務員もソコにいた。
そしてそんな状況で数人しか居なかった肩凝りの揉み解しニンは一人脱落し、また一人脱落して最後に残った男は現場では見習い中の大した力も無い青白い顔をした男だった。
彼は引き受け手の無さから止む得ずその青白い顔した見習いを、週数日間の専属のマッサージャーと位置づけたが、力は無いが指使いの絶妙さが彼の背中のツボにピタリと収まっていたことで、ソコソコ満足はしていた。
そんな折、雑談中にマッサージャーから突然の告白とも取れる話しを聞かされた彼は動揺した。
「告白」
実は、僕… 以前から……
彼は専属マッサージャーからとんでもない事実を聞かされ動揺はしたものの、自分には無関係とその場をやり過ごした。
だが専属マッサージャーは自分はホモではないがと話しを続け、誰のモノでも良い訳ではないが男のペニスをシャブって見たいと顔を真っ赤にして照れ笑いを彼に聞かせた。
彼は突然の話しの内容に一瞬ひらめいた事をマッサージャーに告げた。
実は俺もホモではないが身体中の隅々を舐められたい欲求があって、誰でも良い訳ではないが一度で良いから愛撫されて見たいと顔を火照らせた。
するとマッサージャーは彼の目を見つめ、彼はその熱い視線を避けつつ、だが二人で全裸は困る、ホモではないからなと話しを続けた。
そして重々しい数分間の沈黙の後、マッサージャーは、僕で良ければ、その、社長さえ良ければ、その役を僕にやらせて貰えないでしょうかと、真っ赤になった顔をテープルにむけた。
彼はマッサージャーからの申し出を躊躇うことなく無言でうなずくと、マッサージャーはどうすれば良いでしょうかと声を小さくして彼を見つめた。
そんなマッサージャーに彼は、男同士と言う設定では気分が悪いからと、自分が女装して女の役をするから君は女性を愛撫するがことくして貰えないだろうかと、声を絞った。
すると、マッサージャーは真剣な表情を彼に見せると、女性用の衣類は僕が用意しますかと彼に聞き、彼はそれでは申し訳ないからと自分で用意するからと切り返した。
そんな彼の言葉を聞いたマッサージャーは彼に、では衣類は社長が用意して下さい、但し衣類の代金は自分が支払いますからと彼に声を絞った。
マッサージャーは彼に、僕の夢を叶えてくれるんですねと、いい続け、社長のなら僕は嬉しいですと話を結んだ。
彼はマッサージャーを一旦帰宅させると、数日間、現場勤務に戻しその間に自分が普段から持っている女装(おんな)用の衣類を選別し、初めての全身愛撫に備えた。
そして更に数日後、彼は明日頼むよと仕事を終えて現場から戻ったマッサージャーの肩をポンと軽く叩いて帰宅させた。
彼は突然やってきた長年の夢を叶える相手に心の中で感謝しつつも、男にペニスを味見されることに少なからず抵抗しつつ女になるチャンスを逃したくないと思った。
「そして土曜日」
彼は従業員達を現場に送り出すと、心臓をドキドキ胸中をモンモンとさせ社長室で女装(おんな)になるべく、衣類をクローゼットの小箱から取り出すと、全裸になってピンクのパンティーで下半身を包んだ。
そして酷く緊張する彼はライトブラウンのパンティーストッキングで下半身を覆うと、白いブラジャーに白いスリップを見に着け、タイトスカートとブラウスで全身を包んだ。
彼は完璧な女装(おんな)になると、床に仮眠用のマットレスを敷き枕を一つ置いてマッサージャーが出社する八時を七時から待ち続けた。
その間、彼は心の中で、あの男で本当に良いのかと自問自答を数度繰り返し、自ら操をあの男に捧げる決心していた。
勿論、彼の夢は誰かに愛撫されることであって、最後までする意志は全くなかったが、もしも相手が望めば操の全てを捧げる決心はしていた。
そして相手の男が出社する時間の十分前に一階へ降りて玄関のドアチャイムが鳴るのをジッと待った。
彼の心臓は鼓動を早め酷い緊張感に嘔吐しそうになりつつ乾いた喉を水で何度も潤した。
そんな彼のブラウスのポケットにはアイマスクが折りたたまれて入れられていた。
「無言で」
玄関チャイムが鳴った瞬間、彼は胸をドキッとさせ事務椅子から降りると、ドア越し誰? と、声を発し相手がマッサージャーだと知ると素早くドアの鍵を外し中へ招きいれた。
そして再びドアに鍵を掛けると、後ろに居たマッサージャーは彼の足から頭の先まで後ろから見渡して突然、彼に後ろから抱きつきスカートの中に手を入れてきた。
彼は突然の出来事に体を屈め二階の社長室へ行こうと相手に全身を強張らせて誘うと、相手はスカートの中から手を抜いて彼の手を引きながら事務所へ入り二階へ続く階段を上り始めた。
そして相手は二階の社長室のドアを勝手に開いて彼をマットレスの上に、彼は恥ずかしいからメガネを外すよう言うと、メガネ無しではハッキリ見えない相手は渋々ながらメガネを外し仰向けになって彼を跨いで膝たちした。
「名前は」
相手は女装(おんな)になった彼を見下ろし、彼は恥ずかしいとばかりに首を横に倒し真子って呼んで欲しいと相手に小声で囁くと、相手は真子ちゃんか~ いい名前だと、自らの身体を彼の右横に横倒しになった。
彼は右横に熱い体温を感じながら長年の夢を実現すべくブラウスのポケットからアイマスクを取り出すと瞼を閉じたままアイマスクで両目を覆った。
すると相手は彼の耳元で、僕は今から真子ちゃんの彼氏だからねと呟き、今日は真子ちゃんの全てを味見させて貰うからと彼の右耳に軽いキスをした。
アイマスクをしていた彼はその小さなキスにドキッとして身体を強張らせた。
【十話】
「一度は諦めた女性への道」
アイマスクで両目を覆い隠した彼は愛の言うまま、身体から力を抜いてブラウスの前ボタンを一つまた一つ外され肌で室内の温度を感じつつ相手の指が肌に当たる瞬間、身体を強張らせた。
そしてブラウスのボンが全て外された瞬間、彼はブラジャーの上、スリップ越しに相手の熱い吐息を感じ、これで女性(おんな)になれると心の中で喜びを得ながらスリップとブラジャーの肩紐が外されたことに感動した。
妻子ある身でありながら女性(おんな)として扱われる彼は今、全ての記憶を一瞬だけ自らの脳裏から消し去り女性(おんな)として、相手からの愛撫を受け入れんばかりだった。
相手は彼の耳元に囁くように真子ちゃんと小さく呼んで彼の乳房を露にした瞬間、彼はこれでようやく女性(おんな)として扱われることにアイマスクの下、閉じた瞼の内側で目を潤ませた。
そして相手の驚く声に彼は唇を窄め頬を紅く染めた。
「真子ちゃんの乳首… 大きいね」
「真子ちゃん!」
相手は彼の乳房に両手を這わせると手の平で彼の乳首を回しつつ喉をゴクリと鳴らして彼の乳首に吸い付いた。
「うぁん!」
彼は生まれて初めて受ける乳首への愛撫に思わず驚きの喘ぎ声を奏でると、相手は左乳房を手の平で回しながら右乳首に舌ほ滑らせ赤子が母親の乳房を吸うように恥ずかしい音を立てた。
「真子ちゃん可愛いよ」
相手は彼の胸元で少し声を大きくしながら彼の下半身を包むライトブラウンのパンティーストッキング越しに右手を触手し、上へ下へ右に左にと撫で滑らせた。
「あああんっ!」
彼はストッキング越しに滑る相手の右手に身悶えして恥ずかしい声を放つと、相手は突然のその手の動きを早め彼の身悶えを確かめながらその手を徐々に太ももへと近づけた。
「あひぃ!」
相手の手が太ももに達した瞬間、背筋に電気が流れたかごとく彼は声を裏返して腰をビクゥンと仰け反らせストッキング越しの愛撫にウットリしつつも全身を震わせた。
彼の乳房は交互に相手の舌が乳首を滑り彼の乳首は見事にピンッと勃起してその硬さに相手は乳首を甘噛みした。
「あひぃ! うぁん!」
乳首を甘噛みされた瞬間、彼は仰け反って脳裏を真っ白にさせ、相手は休むことなく両手で彼の太ももを攻め立てた。
彼は真っ白な脳裏のまま相手にブラウスを脱がされ、そしてブラジャーを外されスリップの両肩紐は乳房の下へと押し下げられた。
相手はズボンの中で硬くなったモノを彼の股間に押し付け尻を前後に振りながら、彼の両腕の脇の下を舐めまわしその舌で上半身を隅々まで舐めました。
彼は余りにも強い刺激に身悶えこそするものの奏でる声を失ったように艶かしい吐息を立て腰を仰け反らせ、下半身を覆うタイトスカートをスルリと外されパンティーストッキングに包まれた下半身を露にさせられた。
そして身悶えする彼の右太ももにしがみ付くように愛撫を重ねた相手は、ストッキング越しにザラつく舌を滑らせプルプルと揺れる裏モモに両手を這わせその揺れを楽しみつつストッキングの上から彼の生肌にムシャブリついた。
彼は右に左に上半身を捻り、太ももに感じる舌の感触といやらしい手つきに両脚のつま先をギュッと閉じて激しい快感に耐え嫌らしい声を喉の奥に溜めた。
そして相手の舌と両手が逆側の太ももに移り始めると、彼はパンティーの中で縮んでいるペニスの先っぽからオビタダシイ量の愛液を溢れさせ、その液体はパンティーストッキングにまで滲んだ。
相手は手の動きと舌の動きを止めることなく、彼の下半身からパンティーストッキングを少しずつ剥がすと、露出したヘソの中に舌先を捻じ込んで滑らせて回した。
彼は全てが生まれて初めての愛撫に全身をビク付かせ全身を隅々まで蕩けさせ、相手の言いなりになるがこどく身体の全てを任せたまま相手にパンティーストッキングを剥がし取られた。
そして相手の舌先をペニスを覆うパンティーに感じた瞬間、彼は限界まで仰け反って両手足を握り締めた。
相手は彼を焦らすに片方ずつ太ももを舐めまわし両手で尻横を辱め相手の舌先は彼の足の指にまで舐め啜ることをやめなかった。
そして数十分が経過した辺り、相手は彼の乳首を再び攻め始めグッタリして動かない彼の下半身から一気にパンティーを剥ぎ取った。
そして次ぎの瞬間! 彼は唸り声にも似た重々しい喘ぎ声を発した!
「ゥギユウゥゥ!!」
突然、グッショリと濡れた彼のペニスにムシャブリついた相手は入念過ぎるほどに彼から溢れた愛液を舌で舐め取りそして尚も、舌先を彼のペニスに巻き付け滑らせた。
彼は腰を仰け反らせつつ上半身を左右に激しく悶え、相手はその様子を笑みして見据えると、口の中一杯に彼のペニスと玉袋を同時に入れて飴玉でもシャブルように舌を滑らせた。
彼は両膝をガクガクと大きく震わせ全身を痙攣させて物凄い快感(しげき)に、首をも仰け反らせ仰け反った首を左右に振って再び愛液を溢れさせた。
相手は口中に溢れる愛液を舐め取りそして飲み込んではハァハァと息苦しさを彼の恥ずかしい部分全体に吐き掛けた。
そして相手に愛撫されて一時間が経過した頃、彼は突然両足を相手に持ち上げられ激しい電撃が彼の脳を焼き尽くした。
相手は大きく開いた彼の肛門に舌先を押し付け回し滑らせつつ、両手の指で彼の両乳首を摘んで回した。
彼は肛門からの刺激に両脚を大きく揺らし尚も肛門の中に入って来る相手の舌先に両手でマットレスを鷲掴みした。
相手は彼の肛門を左右から強い力で左右に広げ舌先をその内側に入れヌルヌルと唾液を絡ませ回し続けた。
そしてグッタリした彼の身体を四つん這いにさせた相手は、彼の胸をマットレスに押し付け両膝を立てさせると尻を再び左右に大きく広げ彼の肛門に舌先を捻じ込んだ。
彼はスリップ一枚身に着け両腕をマットレスから投げ出し、突き出した尻からの壮絶な快感に奥歯を噛み締め恥ずかしい女の喜びに息を止めた。
すると相手はズボンを脱がないままスウェットの下に隠れている硬いモノを彼の尻に擦り付け、その容姿はまるでセックスしているかのようだった。
「全てが終わって」
彼はスリップ一枚でマットレスの上にグッタリして身体を真横にしていると、相手の男は服を着たままの姿で彼を後ろから抱くように右腕を彼の肩に這わした。
そして彼の腰にスウェットの中の硬いモノをグイグイと押し付け、何かを要求するかのごとく彼を誘ったが、グッタリして動けない彼はその要求が何なのか解からなかった。
「今度、ゴム用意しとけよ…」
相手の男は彼を征服したかのごとくな態度で彼の右耳の中に舌先を入れてクチュクチュと舐めると、彼の肩に回した手で彼のペニスを上下に扱き始めた。
だが、彼のペニスは身体同様に縮んでグッタリしていて、相手の男の思うようにはならならず、相手の男は彼の右尻に手を滑らせムギュッと肌を掴んでその揺れを楽しんだ。
そして真横になってグッタリする彼から離れた相手の男は、彼から離れると壁に背中を凭れさせてタバコに火を点け彼の後姿を見ていた。
彼は予想だにしなかった相手のゴムを用意しとけと言う言葉に顔を強張らせつつ、起き上がると辺りに散らばった下着や衣類を一箇所に纏めた。
ただ、彼はあまりの恥ずかしさに相手の男の顔を見ることが出来ず、相手に後ろ向きのままシャワーを浴びて来ると言い残して全裸のまま社長室を出ていった。
相手の男はソコに残されたピンクのパンティーに顔を埋めるとパンティーの匂いを嗅ぎながら、硬くなったペニスを出してマスターベーションをし始めた。
彼は全身の隅々まで石鹸とシャワーで洗い流すと、自分がこのまま相手のモノにななるのではと困惑して顔をしかめた。
【薔薇の根元は百合の花】