心の闇。①

今回、自身初となる主人公がいじめる側のいじめ作品を書かせていただきました☆
いやぁ、なかなか難しいですね。
みなさん、読んで感想聞かせてくださいな笑

存在の価値

美緒side––––––

太陽が指す雲一つない青空。
時々吹く風に髪が揺さぶられ、葉の音が重なる。

春先とはいえ、まだ肌寒い日が続くこの時期。

体調を崩す人が急激に増え、風邪が流行りかけていた。

「行ってくる」

「あらもう行くの?ちょっと待って。–––––––はい!これ薬。」

「ん」

私、蕾美緒(つぼみみお)は母にそっけない態度をとって玄関を開けた。

「おはよー♪」

「おはよ」

笑顔で手を振り挨拶をしてくる親友、咲良優璃(さくらゆり)。

私も挨拶は返すが、母にニヤニヤと勘違いされるのが嫌ですぐにドアを閉めた。

「ねぇ、ずっと言ってるじゃん。母親の前で笑顔で挨拶しないでって。」

「え?あー、ごめんごめん美緒のこと見ると、ついつい安心しちゃってさ。」

「…本当、気をつけてよね」

本当は嬉しいのに、素直に喜べない私。

神様が本当にいるなら、私はなんて残酷な性格を受けたのだろう。

喜ばしいことを喜べないなんて、辛すぎる。

「ヒッ……」

前にいた子が後ろを振り返り、私たちを見て小さく短い悲鳴を上げた。

––––––––そりゃそうか。

私のおもちゃにされてるんだもんね(笑)

この子は白凪雛子(しらなぎひなこ)。

クラスの…いいえ、学校の女王である私の大切なおもちゃ。

この子がいるから私は学校が楽しく思えるのよね(笑)

「お、おはようございますっ、美緒様っ…」

怯えたような目で私を見てぺこりと頭を下げると、雛子は走って行った。

(今日も楽しませてもらうわよ。)

私の返事も待たずに走って行った。

クスッ…

ほんっと、どれだけ遊ばれたいのかしら?

私が教室に入ると、ドアの前にいた生徒たちが左右に分かれ道を開ける。

団体で固まっている子たちも、私が近づくとすぐに離れた。

「おはようございます!」
「今日も綺麗ですねーっ♡」
「羨ましいですっ!!」

口々に私を褒め、機嫌を取ろうとするクラスメイト達。
私の機嫌を損ねてしまえば一巻の終わり。

そいつは私のおもちゃとなる。

「わざとらしいわね。…まぁいいわ。褒められて嫌にはならないし。」

今は…ね(笑)

そのうち飽きてきて、同じセリフばっかりかけてくる奴はおもちゃにするだろうけど。

「ひーなこ♪さっき私に返事させる暇も与えなかったねー。急いでたの?」

「えっ…あ…それは…」

「何よ?ハッキリしなさいよ!」

バンッッ!!

勢いよく机を蹴ると、雛子は縮こまり震え出した。

「ったく、弱っちい奴。飽きてきたわ。」

「…すみません…」

「は?何?なんか言った?」

「すみません…」

「聞こえないんだよ!声小さすぎんだっつーの!」

また机を蹴る。

この動作、何回すればこいつはわかるんだ?

「ひぃっ!す、すみませんでしたぁっ!」

「そうそう♡その意気ね?忘れちゃダメよ?」

「は、はい」

私が雛子から離れるやいなや、一瞬でどっと人だかりができた。

「おもちゃ増やさないんですか?」
「飽きてきません?」
「おもちゃ変更しましょうよ!」

相当自分に自信があるのか、そんなこと言ってくる人までいる。

…ま、そろそろ飽きてきたし悪くないかもね。

でも、普通に変更するのは面白くないわ。

「ねーねー雛子?」

「は、はいっ?」

「もうやめてほしいって思う?」

「えっ…」

「思うの?」

「ゆ、許してほしいです…」

「あんた何も悪くないのに?(笑)」

「えっ?じゃ、じゃあっ!」

雛子が私を期待の眼差しで見つめてくる。

ふふっ…どういう反応するかしら!

「奈緒におもちゃ変更して下さいって土下座して?」

奈緒とは、柊奈緒(ひいらぎなお)のことで、雛子が私のおもちゃになる前一番雛子と仲良しだった子。

でも、友達を助けもしない、そんな儚い友情なんて雛子も望まないはず。

なら、自分から言ってもらおう と考えたの。

「…そ…そんな…」

「あいつはね、私の機嫌取るために雛子を捨てて裏切って、自分ばっかり安全地帯に残って、雛子のことなんてどうでもいいみたいにしてたのよ?そんなの許せる?」

「…」

「雛子っ!!違うっっ!!」

「あんたは黙ってなさい!!」

さぁ、楽しい楽しい裏切り争いの時間よ。

「そ、そうしたら私は…許されるんですか…?」

「許すもなにも、悪いことしてないからね。」

いつの間にか静まり返っていた教室に、私と雛子のやり取りが響く。

すると雛子は、少し考えてから床に膝をついた。

「ひ、柊…な、奈緒に…おもちゃ変更してくださいっ…」

「え?なんてなんて?聞こえなかったー。」

わざと大きい声で言わせようと、私は耳に手を当て聞こえないふりをした。

「さっきの意気はどうしたのかしら。それとも何?まだやめて欲しくないの?」

「っ…。柊奈緒におもちゃ変更して下さいっっ!!!」

「雛…子…あんた…っ」

…言った…。言っちゃったっ…!!

ほんっと雛子って面白いんだからっっ!!

「きゃはははは!」

私の笑いに続けるように、雛子と奈緒を除く全員の笑い声が教室に響いた。

本当に学校って楽しいわ!!

心の闇。①

いかがでしたでしょうか?
まだ第1話なのに、衝撃の展開Σ(・□・;)
これからどうなるんでしょうね…笑
次回もお楽しみに!

心の闇。①

学校の楽しみ=おもちゃで遊ぶこと そんな考えを持つ主人公が、クラスメイト達と共に自分の考えを正していく物語です。 是非読んでみてくださいね!

  • 小説
  • 掌編
  • 青春
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2015-04-24

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted